中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<10月27日アコラ・ミニ・コンサートの曲目紹介>

ロベルト・ド・ヴィゼー : エントラーダとジーグ


セゴヴィアの改作とセゴヴィアの自作

 10月27日に予定しているアコラでのミニ・コンサートの曲目紹介の続きです。この「エントラーダとジーグ」はバロック時代のフランスのギタリストのロベルト・ド・ヴィゼーの作品となっていますが、セゴヴィアのLPの紹介のところでもお話したとおり、これには若干説明が必要です。

 私がこのような形で表記したのは、1944年のセゴヴィアの録音によるもので、実際には、「エントラーダ」はド・ヴィゼーの二短調組曲のメヌエットⅠをセゴヴィアがアレンジしたもの、「ジーグ」の方はセゴヴィア自身の作曲です。

 「エントラーダ」とは「イントロダクション」つまり導入部ということで、おそらくセゴヴィアが改題したものと思われます。メヌエットは本来は軽快な舞曲ですが、セゴヴィアは若干音を厚くし、テンポも遅めにとっています。1944年の録音では、この「エントラーダ」と自作の「ジーグ」を組み合わせて演奏しています(どちらもド・ヴィゼー作曲として)。


セゴヴィア自身3回録音している愛着の強い曲

 「ジーグ」の方はセゴヴィアは3度録音していて、最初(1939年)はフローベルガー作、2度目(1944年)はド・ヴィゼー作、そして3度目(1961年)は作者不明とし、曲名の「ジーガ・メランコリア」としています。さすがに3回目は他の作曲家の名を借りるのは気がひけたのでしょうか。細かく見ると3度目の「ジーガ・メランコリア」のほうは以前のものに比べ、1小節ほど長くなっています。

 セゴヴィアには「光のない練習曲」など正式に自分の作品としたものもあるのですが、セゴヴィア自身では正式に”認知”していないこの「ジーグ」の方にいっそう愛着があるようです。


バロック時代の様式を踏まえて作曲されている

 今回は前述のとおり、1944年の録音に従って、この2曲を演奏します。因みに「ジーグ」はバロック持代の作曲様式を踏まえ、対位法的に書かれていて、小品ですがなかなか魅力的な曲です。なおどちらの曲も正式に出版されておらず、現在出ている譜面はセゴヴィアの演奏のコピー譜と思われます。




フリードリヒ・ヘンデル : ソナタ二短調

 ヘンデルはドイツに生まれ、イタリアで修行し、イギリスで名声を得たバロック時代の作曲家ですが、当時はバッハなどよりも評価が高かったのではないかと思います。ヘンデルはバッハのようにリュートのための作品は書いていませんが、ハープシコードなどの作品のいくつかはギターにアレンジされて演奏されています。


かつて渡辺範彦さんの演奏で聴いた

 「ソナタ二短調」はセゴヴィアがギターにアレンジした「アイレスフォードの8つの小品」に含まれるものです。セゴヴィアは1967年に録音していますが、私自身では8年ほど前に亡くなった渡辺範彦さんのデビュー・アルバムで聴き、その印象が鮮明です。

 渡辺範彦さんについては、私と同世代の愛好者でしたら説明の必要がないと思いますが、1969年に日本人として初めてパリ国際ギターコンクールで優勝したギタリストです。荘村清志さんなどと同世代ですが、1989年を最後に演奏活動をしなくなり、2004年に世を去りました。今でもその美しい音に魅せられた多くのファンがいるのではないかと思います。


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渡辺範彦さんのデビュー・アルバムの復刻CD(現代ギター社盤) フレスコバルディの「アリアと変奏」、ヘンデルの「ソナタ二短調」、「サラバンド」などが入っている


 渡辺さんはこのようなバロックの小品をよく演奏していましたが、その中では私にとってこの「ソナタ二短調」がもっとも印象的でした。この「ソナタ二短調」も最近ではあまり演奏されることが少なくなりましたが、なかなかメロディの美しい曲です。渡辺さんの演奏のようにはゆかないかも知れませんが・・・・・




ヘンデル : サラバンド

 ギターでもよく演奏されるこの「サラバンド」は「ハープシコード組曲第11番」からのもです。おそらくギターに詳しくない方でもどこかでこの曲、あるいはこのメロディは聴いたことがあるのではないかと思います。


よく知られたメロディ

 このメロディはヘンデルが作曲したというより「スペインのフォリア」として有名なもので、いろいろな人の作品の中に取り入れられています。前述のド・ヴィゼーの「二短調組曲」の「サラバンド」も同じメロディを使っています(映画「禁じられた遊び」にも使われている)。


ほぼ原曲どおり

 ヘンデルの作品ではそのサラバンドに二つの変奏が付いています。私が今回演奏するのはピアノ用の譜面から編曲したものですが、ハープシコード曲としては比較的音が少なく、また音域も狭く、ほとんど原曲どおりにギターで弾くことが出来ます。
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