中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

アリア ~管弦楽組曲第3番BWV1068より(中村編)


「G線上のアリア」と呼ばれているが

 一般には「G線上のアリア」として知られている曲ですが、これはウィルヘルミというヴァイオリストが、ヴァイオリンの最も低い弦のG線のみで演奏出来るように編曲し(もちろんピアノの伴奏付き)、それが有名になったので、このように呼ばれるています。ただし、今回の演奏ではヴァイオリンでも、また「G線のみ」で演奏するわけではないので、単に「アリア」とだけしておきましょう。


音が伸びないのはちょと辛いが

 もともと4声部の弦楽合奏のための曲なので、それをギター独奏(伴奏なしの)で演奏するのはあまり簡単なことではありません。さらに、ギターでは冒頭の部分など、持続音が出せないのは正直辛い。

 それならこの曲をプログラムに載せるべきではないのでしょうが、しかし何といってもこの「アリア」は美しく魅力的な曲、この名曲をギター独奏で弾いたらどうなるか、ということで今回弾いてみることのしました。





リュートのためのパルティータイ短調BVW997 ~リュート組曲第2番(原曲ハ短調)

 Ⅰ.プレリュード  Ⅱ.フーガ  Ⅲ.サラバンド  Ⅳ.ジグ  Ⅴ.ドゥーブル




鍵盤譜の写しとリュート用のタブラチュアが残されている

 このパルティータ(組曲(suite)と表記されることもある)にはバッハの自筆譜は残されてなく、いくつかの写しと、当時のリュート奏者(ヴァイラウフ)によるタブラチュアが残されています。そのタブラチュアはプレリュード、サラバンド、ジグの3曲のみとなっていて、フーガとジグは除かれています。

 そのフーガとドゥーブルがリュート用のタブラチュアに記されなかった理由は明らかで、フーガとドゥーブルは実際のリュートでは演奏不可能と考えたからでしょう。これはこのタブラチュアの筆者のヴァイラウホの技量の問題というより、それが当時の一般的なリュートの演奏技術だったのでしょう。



実際にリュートで演奏されていた

 このタブラチュアが残されているということは、少なくともこのプレリュードとサラバンドとジグはバッハの生存中より実際にリュートで演奏されいたということを示しています。

 4つの組曲など、現在バッハのリュートのための作品とされている曲のすべてが、実際にリュートで演奏されてはいなかったとしても、一部の曲はこのようにバッハの周辺のリューティストによりタブラチュアに書き直されて、実際にリュートで演奏されていたのでしょう


当時のリューティストには弾けなかった?

 現在では、リューティストにしろ、ギタリストにしろ、このパルティータを演奏する時はフーガやドゥーブルも含めて全曲演奏するのが常識となっています。当時のリューティストにしても、おそらく全く弾けなかったというわけではなく、このパルティータのフーガやドゥーブルを演奏するには、それなりの練習時間が必要だったのでしょう。当時としては一つの曲を演奏するのに、何ヶ月間も練習するという発想はあり得なかったのでは。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



この前カントールに

 この前、カントールに「今度、リュートのために曲を書いたから、弾いてみなさい」と譜面を渡されてね。 ・・・・いやタブラチュアじゃなくて鍵盤譜のほう。 ・・・・そうそう、カントール・バッハはリュート用のタブラチュアは書けないから。

 相変わらずカントールの曲は難しいね、ヴァイオリン1台でもフーガ弾いちゃうくらいの人だからしょうがないけどね。カントールはリュート曲だって言い張っているけど、何しろ鍵盤譜だし、ありゃリュート曲じゃないよね、どうみてもチェンバロ曲だ。

 リュートと言えば、結構いいリュート持っているよ、カントールは。あれ、作りもいいし、結構したんじゃないの。 ・・・・ホントのところ、カントールはたいして弾けないんだから、ちょっともったいないと思うけどね。

 この前、カントールがそのリュートを自慢しながら、ちょろちょろと弾き始めたんだけど「こりゃダメだ」といってすぐやめちゃった。オレがリュート弾きだっていうこと気が付いたんだと思うけどね。楽器は何でもこなすカントールだけど、さすがにリュートだけはダメみたいね、そりゃそうだよね。



奥さんもたいへんだよね

 カントールはかなりの”しまり屋”のくせに、楽器と子供の教育にだけは糸目をつけない感じ、奥さんもたいへんだよね。 ・・・・そう、その若い奥さん。なんでも、カントールの前の職場でソプラノ歌ってたて聞いているけど、そこで見初めたんだろうね。今でも家では歌っていてね。・・・・そう、いい声だよ、なかなか、結構かわいいしね。 

 カントールは何といってもカントールだからね、それなりの収入だと思うけど、食べるものなんかはオレ達のとあまり変らないみたいだね。なんと言っても大家族だしね、内弟子もたくさんいるし、客人もよくいる。

 おっといけない、オレもよく晩ごはんご馳走になっている。仕事でもだいぶ世話になっているし、まあ、オレもカントールには足を向けて寝られない方だね。



オレたちプロはだませない

 そういえば、先月だったか、カントールのところに行ったら、リビングのとなりの部屋からリュートの音が聴こえてくるじゃない、それもかなり上手い感じ! 最初はどえりゃリュート弾きが来ているのかなと思ったんだけど、でもよく聴くとちょっと変! そおっと部屋に入ってみるとカントールがリュートでなくて、チェンバロ弾いているじゃない。

 そこで思い出したよ、なるほど、これが前に言っていたリュート・チェンバロってやつかって。確かにリュートっぽい音だ、しかもカントールはリュートっぽく聴かせるために、時々崩し気味に弾いたり、難しそうな和音の前でわざと間を開けたりしてね。オレたちリューティストが弾くような弾き方で弾いているつもりなんだろうね、おかしくなっちゃうよね。

 カントールにはオレたちのリュートがあんなふうに聴こえているのかも知れないね。ちょっとがっかりかな。でもよく出来ているよ、あのチェンバロ。素人が聴いたら本当にリュートだと思うだろうね。そりゃ、オレたちプロはだませないけど。

 それにしても不思議だよね、なんでカントールはあんなにリュートにこだわるんだろ? あのリュートの音の出るチェンバロだって、相当かかっているはずだね、普通のチェンバロよりもずっと手間かかるし。カントールはかなり細かいところまで注文付けて作らせたみたいだね。



でも、どうなんだろうね、リュートってさあ・・・・

 でも、どうなんだろうね、リュートってさあ・・・・ 最近あまり使われないじゃない。オレなんかガキのころから親父に仕込まれたけど、最近の若いのでリュート弾いているの、そんなにいないじゃない。 ・・・・・オヤジ厳しかったな・・・・ 稽古さぼってよく殴られたよ。晩メシ食わせてもらえない時もあってさ。そんな時オフクロがオヤジに内緒でそおっとスープ持ってきてくれてさ ・・・・・もっと孝行しておきたかったなあ。

 オレの息子たちにも多少はリュートはやらせたけど、商売にはさせたくないね。リュートなんかやってもメシ食えないし。最近ではどの教会や、どの殿様のところでもリュートだといい顔されないしね。やはり時代遅れかな・・・・・

 時代遅れと言えば、去年ハンブルクに行った時、ガキの頃からの友達が、最近ではウチのカントールの曲みたいな、やたら入り組んでいて、しちめんどくさい曲は時代遅れだって。今のハンブルクではもっとわかりやすくて、誰が聴いても楽しい曲が流行っているてさ。 ・・・・そう、そのテレマンとか。



本当にリスペクトしているってば!

 ・・・・いや、いや、オレはそんなこと思っていないよ、絶対に! そいつが言ってるだけだって。 ・・・・オレはカントールのことは人間としても、音楽家としてもリスペクトしてるよ。たとえ時代遅れだって、本当だって。

 カントールの曲が凄いのはオレだってよく知っている、まあ、よくわかんない曲もあるけど。それにオルガン弾かせたら、この辺じゃウチのカントールの右に出るものがいない、なんてことは誰もが言ってるじゃない!

 ただリュートに関して言えば、オレがプロで、カントールがシロウトってこと。そりゃ間違いない。わりぃけど。 


  


  ・・・・・・以上、勝手な妄想でした。
 
スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する