中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

アンドレス・セゴヴィア オン・ステージ 1967年5月録音


パーセル : 前奏曲、メヌエット、新しいアイルランドの歌、ジーグ、ロンド
スカルラッティ : ソナタイ長調L483
ヘンデル : ソナタ二短調、フゲッタ、メヌエット、エア、パスピエ
バッハ : サラバンド、ブーレとドゥーブル(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番より)
デュアート : イギリス組曲
カサド : 序奏とサルダーナ




しばらくぶりですが、セゴヴィアのLPの紹介を再開します

 セゴヴィアのLPの紹介を中断してから2ヶ月以上経ってしまいましたね。昨年はほぼこのテーマで終始してしまいましたが、ここまで来た以上なんとか最後までがんばりましょう。



今回のLPは小品集

 前回(といっても昨年の11月上旬ですが)はタンスマンの「ポーランド組曲」とモンポウの「コンポステラ組曲」の録音、前々回はテデスコの「プラーテーロと私」とポンセの「ソナタ・ロマンティカ」と言うようにこの時代セゴヴィアは現在でも主要なギターのレパートリーとされている、まとまった内容の充実したLPを発表しています。そういった意味では今回のLPは久々の小品集といえます。



イギリスの音楽家に因んだ作品?

 曲目を見ると、このLPはバロック作品の編曲がほとんどで、それにデユアートのイギリス組曲とチェリストのガスパル・カサドの作品が収録されています。このLPはパーセルやヘンデル、そしてデュアートのイギリス組曲とイギリスに因んだプログラムということなのかも知れませんね、完全ではありませんが。



パーセルの「ロンド」は青少年管弦楽入門に使われた曲

 ヘンリー・パーセルはバロック時代のイギリスの作曲家で、チェンバロ曲などから小品をセゴヴィアが編曲して演奏しています。「ロンド」はブリテンの「青少年ための管弦楽入門」に用いられた曲で、ジュリアン・ブリームも独自に編曲しており、なかなかギターによく合う曲だと思います。

 スカルラッティのソナタイ長調L483(K322)は原調のままの演奏で、編曲は弟子にあたるジョン・ウィリアムスの編曲となっています。何度か話に出てきたホ短調(K11)とは対照的に明るく軽快な曲です。



エイルズフォードの8つの小品より

 これも以前に(セゴヴィアのLPの紹介、および10月の私のコンサートなどで)紹介しましたが、ヘンデルの「エイルズフォードの8つの小品」の中から5曲ですが、以前にもメヌエットイ短調(アレグレット・グラッチオーソ)とガボットを録音しているので、全8曲中、サラバンドハ長調を除いて7曲録音したことになります。サラバンドハ長調は有名なサラバンド二短調に比べると若干聴き映えしないとかんじたのでしょうか。



大筋では変らないが、細かい部分はかなり楽譜と違う

 ソナタ二短調(これも私のコンサートのところでお話しましたが)は8曲中、最も充実した曲と思いますが、セゴヴィアの編曲譜を見ながら聴くと、このLPでの演奏は譜面とは細かい部分ではだいぶ異なるようです。と言ってもやや枝葉的な部分についてのみで、主旋律など曲の重要な部分では特に変りはないので、ざっと聴いた感じでは譜面どおりにには聴こえます。

 おそらくこの曲を弾きこんで行くうちに伴奏部分の扱いなどどんどん変っていったのpではないかと思います。他の曲についてもそれぞれ譜面と演奏では若干異なるのですが、このソナタ二短調が最も異なるようです。それだけこの曲はよく弾きこんだということでしょうか。



リョベットの録音から40年ほど経つが

 バッハの「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番ロ短調」からサラバンドとブーレ、ドゥーブルを録音していますが、サラバンドと言えば、このタイトルの最初の頃に紹介したリョベットの強烈な演奏が思い出されます。セゴヴィアの演奏には確かにそのリョベットから影響を受けた部分は感じ取れますが、そのリョベットの録音からすでに40年ほど経ち、その影響もかなり薄くなっています。

 テンポは中庸といったところで、イン・テンポに近いというのはチェロ組曲第3番の時と同様ですが、肉厚な豊かな音で演奏しています。

 サラバンドにはドゥーブルをつけていませんが、ブーレ(正確にはテンポ・ディ・ボレア)にはドゥーブルをつけていて、編曲譜も出版しています(ショット社)。ブーレはアラ・ブレーヴェ(2分の2拍子)となっていて、速めのテンポが想定されますが、セゴヴィアの演奏はややゆっくり目に演奏しています。その分ドゥーブルのほうはブーレよりも速いテンポで、いっそう軽快に弾いています。重い音と軽い音の対比などはなかなかの聴きものだと思います。



イギリスの民謡をもとに作曲したイギリス組曲

 「イギリス組曲」はイギリスの作曲家、デュアート(バッハのチェロ組曲の編曲でも有名)がイギリスの民謡をもとに作曲した曲で、親しみやすく現在でもよく演奏されます。セゴヴィアは全体にやや軽めの音で演奏していますが、第2楽章などはクレシェンド+アチュレランドを巧みに用い、強い表現をしています。

 ガスパル・カサドの曲は音源がないのでコメントできませんが、解説などによるとここに録音されている「サルダーナ」は55年に録音した曲とは別の曲だそうです。セゴヴィアの同郷の友人の曲ということになるのでしょう。
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