中村俊三 ブログ

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アンドレス・セゴヴィアの芸術  1969年4月録音

バッハ : アルマンド(リュート組曲第1番)、 サラバンド、ジーグ(リュート組曲第2番)
ヴィラ・ロボス : 前奏曲第1番
アルベニス : マジョルカ
ルイス・ミラン : 6つのパヴァーナ
タンスマン : 前奏曲(組曲「ショパンを讃えて」より)
アルバート・ハリス : ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ



毎年1枚ずつLPを発表

 この頃のセゴヴィアは1年に1枚のLPを録音していますが、この69年にはこのLPを発表しています。バッハのリュート組曲第1番の「アルマンド」は1928年以来約50年ぶりの録音となりますが、その時と同様にイ短調で演奏しています(原曲ホ短調)。



この時期のバッハはイン・テンポが多くなってきたけれども

 60年代以降のセゴヴィアのバッハ演奏は、かなりイン・テンポに近くなってきましたが、この曲については50年前ほどではないにしても、テンポは自由に演奏しています。この「アルマンド」に引き続きリュート組曲第2番の「サラバンド」と「ジーグ」を演奏していて、こちらもイ短調なので、そういった点での統一感はあります。

 「サラバンド」は、サラバンドとしてはかなり速めのテンポで演奏しています。「ジーグ」も音価(音符の長さ)が比較的自由に取られ、好みの分かれるところかも知れませんが、少なくとも古典舞曲的ではありません。



「情緒のメロディ」らしい演奏

 ヴィラ・ロボスの「前奏曲第1番」は1952年以来の録音となりますが、これも基本的な演奏スタイルはあまり変っていません。若干テンポがゆっくりになり、やや伴奏の和音がいくぶん大きめに感じられますが、中間部の8分の3拍子になるところの2拍目をかなり短くしているところなどは全く同じです。

 52年の演奏は神秘的な感じがしますが、この69年の録音は何か「アット・ホーム」な感じがします。いずれにしても低音のメロディじっくりと歌わせ、まさに「情緒のメロディ」といった感じの演奏です。



「マジョルカ」はセゴヴィアの名演奏の一つ

 アルベニスの「マジョルカ」はギターで演奏するアルベニスの曲の中でも、またセゴヴィアの演奏するアルベニスの中でもひときわ人気の高い曲で、確かにセゴヴィアは美しい音でこの名曲を演奏しています。アンダンティーノの指示がありますが、セゴヴィアはやや速めのテンポで弾いています。



様式を意識した演奏

 16世紀のヴィウエラの作品のミランのパヴァーナをセゴヴィアはよく演奏していますが、全6曲を録音したのはこの時が唯一のようです(ライヴ録音を別にすれば)。セゴヴィアの演奏は対位法的に書かれた作品を十分に考慮したもので、ここではテンポのデフォルメ等はありません。セゴヴィアらしい質感のある音質で、太い線構造を描き出しています。

 なお6曲の演奏順は原曲と異なり、1、6、3、5、2、4番の順で演奏しています。その意図などはよくわかりません。



ショパン風の短い前奏曲

タンスマンの組曲「ショパンを讃えて」からの前奏曲は2分ほどの短い曲です。全曲同じ音価の音符(おそらく4部音符)からなり、ホ短調ですが、最後は長調に変ります。この組曲は楽譜も出版されていますが、セゴヴィアはこの組曲からはこの前奏曲以外の曲は録音していません。



ヘンデルの「パスピエ」を主題にした変奏曲、なかなか聴きやすい曲

 アルバート・ハリスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」は何度か登場した「エルフィーズの8つの小品」中の「パスピエ」を主題にとったものです(原曲の方は1967年に録音)。ハリスはイギリス生まれで(1916年)アメリカで活動した作曲家で、ギターも演奏したそうです。

 ギター・ファンには比較的馴染みのあるテーマに7つの変奏が付いていますが、前衛的な書法は取られておらず、比較的聴きやすい曲です。約12分ほどの比較的長い曲で、第6変奏はトレモロ奏法、第7変奏はフーガとなっています。セゴヴィア以外のギタリストによってはあまり演奏されませんが、リサイタルなどに取り上げても悪くない曲ではないかと思います。
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