中村俊三 ブログ

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セゴヴィア・リサイタル   1968年3月10日 ロカルノ(Locarno スイス)


ルイス・ミラン : 6つのパヴァーナ
G.フレスコヴァルディ : アリアと変奏
J.S.バッハ : シチアーナ、 ブーレ
A.ハリス : ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
A.タンスマン : カヴァティーナ組曲
M.カステルヌォーヴォ・テデスコ : プラテーロ、メランコリア、春(プラテーロと私より)
I.アルベニス : 朱色の塔、 セビージャ
F.モレーノ・トロバ : 松のロマンセ
H.ヴィラ・ロボス : 練習曲第1番




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ドキュメント社の10枚組で聴くことが出来る

 このCDは1968年にスイスのロカルノと言う都市でのライブ録音で、写真のとおり、単売もされていますが、現在入手出来るかどうかは不明です。その代わりに例の10枚組(ドキュメント・レーヴェル)にも収録されていて、最近までHMVでは在庫切れでしたが、現在は入手可能のようで、HMVでは1000円くらいで入手出来ます。



ステレオ録音らしいゆとりのある音

 ステレオ録音なので、やはり音に拡がりと余裕が感じられます。ノイズも少なく、なかなか良い録音と言えるでしょう。ただリアルさという点からすると1955年の2枚のほうに歩がありますが、聴きやすさと言う点ではこの録音の方でしょう。



やはりこの年の前後に録音した曲が中心

 上記の曲目リストでは「6つのパヴァーナ」と「ヘンデルの主題による変奏曲」など、この年の前後にスタジオ録音した曲がならんでおり、タンスマンの「カヴァティーナ組曲」はこのリサイタルでもプログラムにのせています。やはりセゴヴィアの愛奏曲の一つと言えるでしょう。



変奏の間に別の作品?

 ちょっと面白いのはフレスコバルディの「アリアと変奏」で、原曲の「アリアと変奏」の間にフレスコバルディ
の他の作品を挟んでいます。詳しくは次のような順で演奏しています。

 アリア(ホ短調) - 第1変奏(同) - ガリアルド(二短調) - コレンテ(ホ短調) - 第3変奏 - コレンテ(イ短調) - 第2変奏(ホ短調) - アリア(同)


巨匠だけに許される

 変奏曲の間に別の曲を挿入するなどと言うことは普通やりませんし、また上記のとおり調もばらばらです。相変わらず自由な演奏ですが、こうしたことは巨匠だけに許される演奏法といえるでしょうか。また本来の第4変奏にあたる「コレンテ」は外して、その代わりに別のコレンテを2曲演奏しています。本来のコレンテの方は巨匠の好みに合わなかったのでしょうか。


ちょっとご愛嬌?

 テーマの前半の繰り返しのところで、出だしの音(ミ)を6フレットで弾いてしまい、グリサンド風に半音下げて次の音に進んでいます。それがまるで装飾音を付けたようにも聴こえます(ちょっと変な装飾音ですが)。これも巨匠の技の一つでしょう。
 


ロマンティックなシチリアーナ

 バッハの曲は必ずと言ってよいほどプログラムには載せていますが、この2曲(シチリアーナ、ブーレ)も名演です。特にシチリアーナはとてもロマンティックな演奏で、他のギタリストの演奏では味わえないものでしょう。



巨匠のメンデルゾーンは魅力的

 メンデルスゾーンの「カンツォネッタ」はセゴヴィアのレパートリーの中でも特に人気の高いものですが、相変わらずすばらしい演奏です。録音からしてもスタジオ録音のもよりゆとりか感じられます。「ベニスの舟歌」のほうは曲からすれば、ややスッカートな演奏がちょっと気になりますが、ハイポジションの音色を引き立たせるためでしょうか。


ハリスの曲は縮小版

 ハリスの「ヘンデルの主題による変奏曲」は以前にも紹介しましたが、「エイルズフォードの8つの小品」からの「パスピエ」を主題にとったもので、20世紀の作品ですが親しみやすい作品です。本来は12分ほどかかる曲ですが、第3、6,7変奏を省略して6分弱で演奏しています。スタジオ録音は1969年ですが、こちら方が美しい音に聴こえます。



セゴヴィア・トーンが十分に堪能できる一枚

 後半のプログラムは、全く鑑賞の妨げになるものではないにせよ、1955年の録音に比べると若干細かいミスも聴き取れれます。さすがの偉人にも年齢ということが現実となりつつあるのでしょうか。セゴヴィア、この年75才になります。

 しかし全体にはたいへん内容の濃い、またボリュームのある一枚(10枚組のほうでは2枚にまたがる)と言え、セゴヴィアの音の美しさが十分に堪能できる満足のCDです。
 
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