中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<勝手に選ぶセゴヴィア名録音 第3位>


A.タンスマン : ポーランド風組曲  1965年録音



ブログ 085



カヴァティーナ組曲のほうが有名だが

 ポーランドの作曲家、タンスマンのギターのための作品はポンセほど多くはないが、セゴヴィアにとっては重要な作品であることは間違いなく、リサイタルでもよく取り上げている。タンスマンの作品としては、一般的に「カヴァティーナ組曲」のほうが有名で、演奏される機会も多い。セゴヴィア自身でもそのカヴァティーナ組曲のほうがリサイタルでもよく弾いていて、1955年には録音(スタジオ録音)している。

 確かにその「カヴァティーナ組曲」の録音も名演だが、今回じっくり聴きなおしてみた感じでは、セゴヴィアの演奏としてはこの「ポーランド風組曲」のほうが印象的で、感銘度も高く、音質(録音の)もすばらしい。やはりこちらの方を上位にすべきと感じた。



録音時期は1,2位の曲とほぼ同時期で、曲へのアプローチも共通している

 録音時期は、第1位、2位の「プラテーロと私」、「ソナタ・ロマンティカ」とほぼ同じで(それらのLPの録音の翌年)、したがってセゴヴィアの曲へのアプローチ姿勢も共通している。セゴヴィアはこれらの録音では、作品の内容に関係なく自らの演奏スタイルを前面に出したり、また直観力だけに頼ることもなく、真摯にその作品の内容に迫っている。

 こうしたことは、この年代のセゴヴィアの演奏一つの特徴と考えてよいだろう。またこの1960年代には、セゴヴィアはソナタや組曲の全曲録音など、まとまった内容のLP、あるいはテーマを絞ったLPの発表に意欲的だったこともその一つと言える。



素朴でしみじみした曲

 このタンスマンの「ポーランド組曲」は「カヴァティーナ組曲」に比べるとやや素朴な音楽と言え、ポーランドの民謡などをモチーフにしたメロディックな曲といえる。タンスマンはどちらかと言えば保守的な作曲家だが、この曲はさらに古風な感じがあり、バロックかルネサンス時代の作品のようにも聴こえる。

 この組曲の中のそれぞれの曲も、なかなか美しく、また親しみやすい曲でもあり、比較的早い時期に録音されていたらもっと浸透していたかも知れない。また曲数が多い(オリジナルでは9曲、セゴヴィアの演奏では10曲)ことも、この曲をリサイタルなどで取り上げにくくしている理由かもしれない。

 録音は「プラテーロ」、「ロマンティカ」同様優れた美しいものだが、人工的な残響は若干感じる。もちろん前述のとおり感銘度の高い演奏で、ぜひ聴いていただきたい演奏の一つ。現在でもDG(ドイツ・グラモフォン)盤などで聴くことが出来るようだ。






<勝手に選ぶセゴヴィア名録音 第4位>

F.モンポウ : コンポステラ組曲  1965年録音
 



演奏内容や曲の内容は1~3位の曲と遜色ない

 私がこの曲を上位に挙げたのは1~3位までの録音とほぼ同じ理由だが、この順位になったのはセゴヴィアの演奏と作品の個々の問題というよりも、両者の相性といったものだ。

 モンポウはたいへん優れた作曲家だが、セゴヴィアとの相性と言った点では、テデスコ、ポンセ、タンスマンには及ばない。もっとも華やかさから全く背を向けたようなモンポウの音楽と相性のよい演奏家やギタリストはそれほど多くはいないだろう。



音の美しさ、重量感、密度

 不要なアクセントやタイミングのデフォルメなどがない、あるいはかなり少ないと言ったことは1~3位の曲と同じで、その分セゴヴィアの音の美しさ、あるいは重量感、高密度といったものが前面に出ている。プレリュードはいくぶん速めのテンポで演奏され、中間の4つの楽章も非常に存在感のある音で歌っている。

 この「コンポステラ組曲」は最近でも人気が高く、多くのギタリストによって演奏されているが、この録音には他のギタリストでは聴けないところがたくさんある。

 


私のランキングは偏っているが

 この「コンポステラ組曲」は、当初のLPでは第3位の「ポーランド組曲」とカップリングされて発売されている。つまり私のランキングは、LPで言うと、1964年録音の「プラテーロ」、「ロマンティカ」のLPが第1位、と2位、1965年録音の「ポーランド組曲」、「コンポステラ組曲」のLPが第3位、4位ということになる。

 私のランキングはかなり偏ったものだが、やはり”録音”と限定した場合、この時期のもはたいへんすばらしい。セゴヴィア・ファンも、そうでない人も(あるいは隠れセゴヴィア・ファンも)これら録音をじっくりと聴いてみると、これまでのセゴヴィア像とは多少違ったものが浮かび上がってくるようになるかも知れない。


スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する