中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

明後日は「つくばギター・フェスティヴァル」

 明後日の4月28日はつくば市カピオ・ホールで「第11回つくばギター・フェスティヴァル」が行なわれ、水戸ギター・アンサンブルも出演します。出演団体は水戸GEの他、主催団体のギターアンサンブル・リベルタなど8団体で、ゲスト出演はデュオの「いちむじん」です。

 開場13:30、開演14:00で、入場無料です。なお水戸ギター・アンサンブルではイサーク・アルベニスの「アストゥリアス」、「カディス」、「コルドバ」で、これらの曲は普通ギター独奏で演奏されますが、今回はギター合奏で演奏します。





<勝手に選ぶセゴヴィア名録音 第5位>


F.モレーノ・トロバ : ソナチネ  1952年録音




1970年録音の「スペインの城」が気になるところだが

 スペインの作曲家、モレーノ・トロバとはセゴビアは親交も深く、ポンセ同様にかなりの作品を演奏し、録音している。それらの中では1970年に録音された「スペインの城(全8曲)」が気になるところだが、その音源が手元になく、発売当時友人(大学のギター部の後輩)宅で聴かせてもらって以来聴いていない。従ってこの曲は残念ながら今回は対象外とするしかない。

 その他では1958年に録音された「特性的小品集」や「マドローニョス」、「ノクトゥルノ」などの小品が上位候補として考えられるが、やはりその中では1952年に全曲録音されたこの「ソナチネ」が真っ先に挙げられるだろう。



私たちがよく知っているセゴヴィア

 やっと1950年代の録音の登場で、これまでの1960年代の演奏とはだいぶ異なる。この時代のセゴヴィアの演奏は、私たちがよく知っているセゴヴィアの演奏と言うことも出来る。かつて多くのギター・ファンを虜にしたあのセゴヴィアの演奏だ!

 「アレグレット」の楽譜の指示からすればかなり速めに演奏されている第1楽章は、たいへん”キレ”よく演奏されていて、まさにセゴヴィアの演奏の醍醐味といったところ。セゴヴィアの”弾き癖”といったものは1960年代の録音に比べるとよく出ているが、しかしこの曲に関してはそれほど崩しているというほどのものではない。



緊張感を削ぐことなく、細部もきっちり

 第2楽章もじっくりと歌っているが、遅すぎることもなく、聴き手の集中力を削ぐことはない。しっかりと最後まで緊張感を保っている。速いテンポで演奏されている終楽章も見事で、細かい音型もきっちりと演奏され、聴いていて小気味よい。



若さ溢れる59歳の演奏

 この「ソナチネ」はトロバの若い頃の作品で、ラヴェルに絶賛されたと言う話もあるが、確かに名曲だ。セゴヴィアの演奏もそれを裏付けている。セゴヴィアの演奏にも若さを感じるが、この年セゴヴィアは59歳! この歳で”若い”と形容されるのギタリストはセゴヴィアくらいだろう。使用楽器はもちろんハウザーⅠ、音のキレも確かにラミレスよりよい。

 音質のほうは、やはり1950年代のモノラル録音ということで、前述の1960年代の録音に比べると耳障りな点が若干あるのはやむを得ないが、鑑賞の妨げにはそれほどならない。




<勝手に選ぶセゴヴィア名録音 第6位>

M.M.ポンセ : ソナタ第3番より 第2、第3楽章    1955年ライヴ録音(イタリア アスコーナ)



同じ年にスタジオでも録音しているが

 セゴヴィアは1955年にこの「ソナタ第3番」をスタジオ録音していて、その録音も優れたものだが、その上を行くのが同じ年のアスコーナでのライヴ録音。一般にはあまり知られていなく、また全曲ではなく2,3楽章のみの録音だが、いろいろな面でともかくすばらしい。

 まず録音だが、相当力を入れて録音されたと思われる同年のスタジオ録音に比べて、このライヴ録音は遜色ないどころか、むしろこちらの録音のほうが優れている。

 ノイズの少なさからして、おそらくマイクは演奏者にかなり近いところにあったと考えられる。また人工的に音質を操作していることはないと思われるが、会場の自然な残響がたいへんよい効果をもたらしているようだ。



伝説のセゴヴィア・トーンがリアルに聴こえてくる、奇跡の録音

 セゴヴィアのポルタメントやヴィヴラートがたいへん美しく録音されており、伝説の「セゴヴィア・トーン」が決して録音技術により、人口的に作られたり改造されたものではないことが証明される。

 第2楽章はともかく美しく、第3楽章ではさっそうとしたテクニックのキレを見せている。また観客席からのノイズもかなり少なく、演奏だけを聴いているとスタジオ録音のようだ、ライヴだとわかるのは熱狂的な拍手の時だけだ。再度だが、観客にも拍手を送りたい。おそらく選ばれた質の高い観客なのだろう。

 今から60年近く前の録音だが、まるですぐ目の前でセゴヴィアが演奏しているようなリアルさのある録音で、ある意味奇跡的な録音といってよいだろう。
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