中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

昨日(5月4日)石岡市ギター文化館で第8回シニア・ギター・コンクールが行われ、今回も審査員を務めました。結果は以下のとおりです。

シニアの部(55歳以上)

第1位   清水博之(千葉県) <本選演奏曲> 練習曲第1番(レゴンディ)
第2位   鈴木幸男(茨城県) プレリュードホ長調(ポンセ)、カプリース第22番、第7番(レニャーニ)
第3位   加瀬英子(千葉県) 練習曲イ長調作品6-12~セゴヴィア番号NO.14(ソル)
第4位   鹿野誠一(北海道) アリアと変奏(フレスコバルディ)
第5位   上原和男(千葉県) 光のない練習曲(セゴヴィア)、プレリュードBWV1006(バッハ)     第6位   荻島樹夫(千葉県) アラビア風奇想曲(タレガ)




 清水さんはメカニックでは決して易しくないレゴンディの練習曲をたいへん美しく、また完璧に演奏し、第1位を獲得しました。ただし第1位を獲得するには、ヴォリューム的にこの1曲でのみでは少なすぎるのではと言う声もあり、審査員の間で鈴木さんと意見が分かれ、最終的に浜田審査委員長の判断でこの結果となりました。

 鈴木さんの演奏もいつものとおり表現力のある演奏でしたが、今回はやや音の弾きこぼしがやや目立ちこの結果となりました。しかし前述のとおりたいへん印象度が強く、清水さんと接戦になりました。

 加瀬さんはソルの練習曲をたいへん美しく弾きました。高音のメロディもしっかりと歌い、中間の声部とのバランスもたいへんよかったと思います。さらに低音も響くとソルらしいハーモニーが聴けるのではと思いました。

 鹿野さんの「アリアと変奏」もたいへん美しく演奏されていました。またバスなどもしっかりと鳴らし、バランスのとれた和音を聴かせていました。若干のミスからテンポなどを崩してしまったのが惜しまれます。

 上原さんはセゴヴィアの自作とバッハの難曲というたいへん意欲的な選曲でした。セゴヴィアの曲もなかなか難しい曲で、メロディを上手く歌わせるのはかなりの技術が必要なのでしょう。バッハの「プレリュード」もクリヤーな音で最後まで弾ききるの相当難しい曲ですね。

 荻島さんの「アラビア風奇想曲」もタレガの曲らしい美しい音で演奏されていましたが、冒頭のスケールやスラー奏法などがもう少しクリヤーに聴こえてくれば良かったのでしょう。またグリサンドの掛け方などもよく研究してみるとよいでしょう。




ミドル部門(35歳~54歳)

第1位  三谷光恵(千葉県)  ワルツ第4番(バリオス)
第2位  増田康隆(石川県)  フーガBWV997(バッハ)
第3位  坂本 亮(東京都)  ハンガリー幻想曲(メルツ)
第4位  松田利枝(滋賀県)  ラ・ミラレーゼ(クレンジャンス)、水神の踊り(フェレール)
第5位  山本孔彦(東京都)  魔笛の主題による変奏曲(ソル)
第6位  桧山政広(青森県)  バスク風前奏曲(ドノステア)、郷愁のショーロ(バリオス)



 三谷さんは、昨年はスペイン舞曲第5番を弾いたと思いますが、今年はバリオスのワルツと、若干難易度が上がりました。しかし大きな破綻もなく丁寧に曲をまとめていました。また後半では調子もずいぶん上がってきたようです。やや音が小さくダイナミックス・レンジが狭いのが若干気になるところですが、いずれはそうしたことこもクリヤーされてゆくことでしょう。

 増田さんは前述のプレリュードとは違った意味でのバッハの難曲に挑みました。特に前、後半部分では声部の弾き分けもしっかり出来ていて、フーガらしい演奏でした。中間部で記憶が混乱してしまいましたが、こうした曲の完璧な記憶というのは本当に難しいものです。

 坂本さんはメルツの曲をヴィルトーゾ的に演奏し、冒頭の部分や後半のチャルダッシュのところなどたいへんすばらしかったのですが、途中やはり記憶が混乱してしまいました。

 松田さんの「ラ・ミラレーゼ」は少しクリヤーさの欠ける演奏になってしまいましたが、「水神の踊り」のほうは、序奏では音量の変化を際立たせ、また全体に舞曲らしい速めのテンポで曲の持ち味をうまく出していました。

 山本さんの「魔笛」はテンポも正確に、また和音の解決などにも気を配った好感のもてる演奏でしたが、全体の線が細く、低音などにももっと気を配ればさらによかったかなと思いました。
 
 桧山さんの演奏は、2曲ともメロディを表情込めて歌ってゆこうという姿勢で、共感は持てました。しかし音も小さく、全体に消極的な印象を与えてしまったかも知れません。



 今回はエントリー者がシニアで26人、ミドルで14人とこれまでにない数で、ますますこのコンクールも盛り上がっているようです。その分予選通過も難しくなってくるわけですが、実力者と言えど、予選ではなるべく無難にといった演奏になりがちのようです。しかしこれだけ出場者が多くなれば、ただ間違えずに弾ければ予選が通るということにはならなくなってくるでしょう。

 予選においても自分の特徴を出す、つまり他の出場者より強い印象を審査員に与えなくてはなりません。ソルの「エチュード」なども、練習曲だから楽譜に書いてないことはやってはいけないのではなく、この楽譜の音楽をいかに膨らませるか、と考えたいものです。予選課題曲といえど決して原典方式ではなく、加点方式と考えたほうがよいでしょう。
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