中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

バーチャルQ&A アコスティック・ギターって 2


Q : 60代男性 ギター暦約30年(長期中断あり) 1967年河野使用

 最近「アコースティック・ギター」と言う言葉をよく聴きます。かつてはギターは「クラシック・ギター」、「エレキ・ギター」、「フォーク・ギター」の3種類だったと思います。まあ、だいたいの意味はわかるのですが、「アコースティック・ギター」という言葉の正確な意味を教えてください。 




A :

 ・・・・・前回の続き

 前回の話をまとめると、「アコースティック・ギター」とはエレキ・ギターの反意語で、「アンプを使わないギター」、「生ギター」と言った意味になり、スチール弦を使用したもの、ナイロン弦のもの両方とも言葉上ではアコースティック・ギターとなります。確かにポピュラー系の音楽をやっている人は弦の種類に関らず、エレキ・ギターでないものはアコースティック・ギターと呼んでいます。



楽器としては、アコースティック・ギター = スチール弦使用の生ギター 

  しかしクラシック・ギター(ナイロン弦の)をやっている人は、アンプ使用という概念は基本的にないので、自らの楽器に「アコ-スティック」と形容詞を付ける習慣はありません。したがってクラシック・ギタリストは自らの楽器を”クラシック・ギター”、あるいは単に”ギター”と呼ぶのが一般的です。

 結果的に「アコースティック・ギター」とうのは「スチール弦使用の生ギター」つまりかつてのフォーク・ギターを継承したものとなります。しかしこれはあくまで楽器上の問題で、音楽ジャンルとしてはアコースティック・ギターとフォーク・ギターは別物と考えてよいでしょう。



アンプを使わないと言う意味ではない

 若干余談かも知れませんが、アコースティック・ギターとは「アンプを使わなくても音が出る楽器」ということですが、しかしアコスティック・ギタリストが「アンプを使わない」と言う意味ではありません。


 クラシック・ギタリストはコンサートの際、アンプを使うことは基本的になく、多少大きめのホールであってもアンプは使いませんが、アコースティック・ギタリストの方は仮に小さなライヴ・ハウスでもほとんどの場合アンプを使用しています。



アンプ使用=ポピュラー音楽  アンプ不使用=クラシック音楽

 歌の方に例えれば、オペラなどを歌う声楽家はマイクを使うことはありませんが、ポピュラー歌手はマイクなしで歌うことはないのと同じことかも知れません。クラシック音楽とポピュラー音楽はその内容の上でははっきりと線を引けないこともありますが、こうした点ではかなりはっきりしているようです。アンプ使用=ポピュラー音楽、アンプ不使用=クラシック音楽、といったことはかなりの度合いで言うことが出来ると思います。



アコースティック・ギターでどんなジャンル?

 ところで、クラシック。ギターと言えば、全体的にどういったもので、どういった曲があり(アランブラの想いでやアランフェス協奏曲とか)、どんなギタリスト(セゴヴィア、イエペスなど)がいるかなどということは、多少クラシック・ギターをやっていると、わかりかなと思います。ではアコースティック・ギターにはどんな有名な曲があり、どんなギタリストがいるか、ということですが、これにお答えするのはたいへん難しい。

 というのも「アコースティック・ギター」とは広い意味では音楽の中の一つのジャンル名ではなく、「アコースティック・ギタリスト」とはエレキ・ギターでないギターを弾く人すべての総称だからなのです。前述のとおりクラシック、ジャズ、ボサノバ、フラメンコ・・・・・ などあらゆるギタリストが含まれてしまいます。



狭い意味ではある程度絞れる

 しかしそうは言っても、今現在「アコースティック・ギタリスト」というと、狭い意味ではある程度絞れるでしょう。言ってみればクラシックとかジャズ、ボサノバといったはっきりとしたジャンルにくくれないギタリストということになるでしょうか。


最も知られているのは、押尾コータロー、中川イサト

 日本人のアコースティック・ギタリストとして最も有名な人といえば、まず押尾コータローさんが挙げられるでしょうか、押尾さんはテレビなどにも時折出演していて、ファンの方もたくさんいるでしょう。

 押尾さんの演奏はパーカッションとコードを華麗に刻みながら、メロディもしっかり弾くというもので、音だけ聴いていたらどう聴いてもソロではなくバンドの演奏にしか聴こえない感じです。映像を見ていると、弾いているというよりほとんど弦などを叩いているようにしか見えません。

 押尾さんのようなスタイルを最近では「叩き系」などと呼んでいるようですが、現在アコースティック・ギターの主流のようです。比較的若いアコースティック・ギタリストはほとんどこのスタイルです。



フィンガー・ピッカーという言葉もある

 中川イサトさんは、アコースティック・ギター界の重鎮といったところで、やはり多くのファンがいます。プレー・スタイルとしてはアルペジオに載せてメロディをじっくりと歌わせるタイプといったところです。また中川さんは若いギタリストたちに大きな影響を与え、優れたギタリストもたくさん育てているようです。

 他に岸辺真明、岡崎倫典、小川倫生さんなどが挙げられますが、これらのギタリストを「フィンガー・ピッカー」とも呼ぶこともあります。



ギターをキーボードのように?

 ギターは「左指でフレットを押さえて、右指で弦を弾く」楽器というのはあまりにも当然な常識のはずなのですが、これらのギタリストの演奏を聴いていると、そうした常識は通用しないようです。中にはギターをキーボードのように横に置いて左右の両方の手で鍵盤を叩くように指版を叩いて演奏している人もいます。



アコースティック・ギターの名曲ってある?

 アコースティック・ギターにクラシック・ギターのような名曲が存在するのかどうかということですが、ほとんどのアコースティック・ギタリストはオリジナル作品を演奏して、基本的にクラシック的な意味での名曲はないようです。私が知らないだけかも知れませんが、少なくともアコースティック・ギターに詳しくない人でも知っているといった意味での”名曲”は存在しないのではと思います。



名曲をアコースティック・ギターで弾いている

 「ギターの調べ」シリーズで知られている南澤大介さんなどは一般の有名な曲をアレンジして演奏、あるいは出版しています。南澤さんのレパートリーは確かに名曲ですが、これはアコースティック・ギターの名曲というより、元々の名曲をアコースティイク・ギターで弾いているということです。

 押尾さんはじめ、多くのアコースティック・ギタリストは華麗でオリジナリティに富んだ演奏をしています。その譜面も出ていますが、これらを忠実コピーするのはたいへん難しい。何といっても他の人には出来ないことをしていることがこれらのギタリストの存在理由ですから。



あなた次第

 南澤さんは一般的によく知られた曲をのアコースティック・ギター的な奏法でアレンジしており、そのアレンジは決して超絶技巧的なものではなく(すごく易しいということでもないが)、アマチュアの人でもがんばれば弾けるものになっています。

 なんといっても誰かに聞かせた場合「あ、この曲知っている」となるでしょうから。もちろん「カッコいいわね!」となるかどうかはあなた次第です。


  
スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する