中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

合わせられない


Q : 最近、ギター合奏を主にやっているサークルに入りました。20~30代の頃約10年間ほどのギターを習っていたので、パート譜などは特に問題なく弾けるの出来るのですが、他の人となかなか合いません。

 同じパートの人とでもずれてしまうようですし、他のパートとは合っているかどうか、よくわかりません。自分ではちゃんと合っていると思って、気持ちよく弾いていても、リーダーの人にすぐ止められて「〇〇さん速いです。ちゃんと合わせてください」とか、「〇〇さん、1拍ずれています。他のパートの音をよく聴いてください」などと、いつも言われてしまいます。

 サークルに入って初めてわかったのですが、私の場合他の人と合わないだけでなく、4分音符や8分音符などの長さが正確に取れないようです。

 以前習っていた頃は合奏とか、二重奏とかやったことがなかったので、そういったことはわかりませんでした。またレッスンの時にも、時折「音の長さが違っている」と言われることはありましたが、音符の長さを取る練習などは特にやりませんでした。

 他の人と上手く合わせられたり、正しいテンポで弾けるようになる練習というのはあるんでしょうか。あるいはこうしたことは先天的なもので、今からでどうにかなるものではないのでしょうか? せっかく入ったサークルなので、何とか他の人に迷惑かけない程度にはなりたと思います。

 因みに私には高2と大学1年の娘がいて、二人ともピアノを習わせました。私が言うのは何ですが、二人ともピアノはかなり上手で、発表会などでも、他の子とひと味違った演奏でした。その証拠に、演奏が終わった後の拍手も、いつも他の子よりはずいぶん大きな感じです。

 特に高2の娘のほうは今でも習っていて、本人もやる気なので、音大を受けさせようかと思っています。その娘からは、私がギターを弾いていると、「お父さん、そこちょっと変だよ」とよく言われてしまいます。娘は私が弾いてる曲など他で聴いたことありませんから、間違っているなんてわからないはずです。何でわかるんでしょうか、やはり天才的な耳をしているのでしょうか?
                          

                                     50代 男性 会社員 




A : 


 たいへん力の入った質問ですね。確かに教室入学の問い合わせでも、質問は二の次でご自分の現状を切々と訴えるといった方もいます。ともかく誰かに聞いてほしいということなのでしょう、そういったこともギター教師の仕事のうちかも知れません・・・・


ギター教室の発表会くらい?

 音楽において一定の速さで演奏することは、あまりにも当前のことで、私たちが音楽を聴く時、特に意識することはありません。今現在、CDやテレビ、さらにスマホ、電気製品に至るまで様々なところから音楽が聴こえてきますが、それらからテンポの狂っているものなど聴く機会は皆無といってよいでしょう。もしそれを聴ける機会があるとすれば、ギター教室の発表会くらいでしょうか(・・・・ジギャク?)。

 一定のテンポで演奏することは、いわば空気のようなものですが、しかし空気のようなものだとすれば、それがなくなったら音楽が窒息死してしまうということでしょう。

 

私も出来なかった

 質問者のように独学などでギターを練習していて、ギターの合奏サークルなどに入った場合、音符の長さが正確にとれなかったり、また他のパートの音を聴くことが出来ずに、他の人と合わせられないということは、確かによくあるケースです。また場合によっては、質問者のように長年ギター教室で習っていた人でも、こうしたことがあります。

 私も長く(7~8年)独学でギターをやっていたので、大学のギター部に入った時、他の人と上手く合わせられませんでした。メトロノームに合わせて音階を弾くことも出来なかったし、他のパートと合っているかどうかもよくわかりませんでした。

 でもギター合奏がとても楽しかったので、必死に練習し、2~3ヶ月くらいでそうした問題をある程度解消出来ました。また譜面を読みながら弾くことも、入部当初は出来なかったのですが、これも2~3ヶ月で出来るようになり、比較的簡単なものなら初見演奏も出来るようになりました。本当にまる一日中ギターを弾いていた頃です。



コメントする立場ではないが

 娘さんの耳が”天才的”かどうかをコメント出来る立場ではありませんが、日頃音楽に親しんでいれば、初めて聴く曲でも音符の長さなどが正確かどうかはある程度わかるでしょう。それにしても娘さん及びご家族への愛情のにじみ出た質問ですね、たいへん幸せなご家庭であることが窺われます。



演奏における時間的諸問題

 本題に入る前に、まず言葉の問題ですが、上記のような事柄を正しい”テンポ”が取れないとか、”リズム”が取れないとか表現すると思いますが、正確に表現すれば「演奏における時間的諸問題」ということで、基本的に”タイミング”と表現してゆきます。また文脈によって、テンポ、拍子、リズムといった言葉も用いてゆきます。

 

先天的?

 さて、この”タイミングが取れない”ということが先天的な問題かどうかということですが、確かにそういった点はあるでしょう。同じような環境で音楽をやっていても(あるいはやっていなくても)、タイミングに全く問題ない人と、そうでない人はいるでしょう。



それ以上に大きいのが、音楽を始める年齢

 しかしそれ以上に大きく関係するのは音楽を始める年齢ということになるでしょう。必ずしも小さいうちからギターを始めると上手になるというわけではありませんが、音程やタイミングの取り方などに関しては、やはり小さいうちから始めるほうがより有利です。ただし個人差はかなりあります。



成人してからでも、根気よくやれば

 年齢が高くなってから音楽を始めると、確かにこうしたことはだんだん難しくなるわけですが、それでも正しい方法で根気よくトレーニングすれば、成人してからギターを始めても、特に難しいものでなければ、タイミングは取れるようになると思います。

 この質問者の場合、ギター教室でギターを始めた段階で、こうしたトレーニングを十分にやっておけば、あまり問題にはならなかったかも知れません。



ギター教室の先生がちゃんと教えなかったせい?

 では、質問者が正確なタイミングが取れないのは、最初に習った先生がちゃんと指導しなかったからなのか、ということですが、確かにそういった面を否定することは出来ません。しかしこの先生には、やはりそれなりの考えがあってこのようなレッスンを行なっていたのではないかと思います。

 ギター教室というのは、その先生によってかなり教え方が違うということは以前にも言いました。確かにこういった基本的なことを徹底して指導する先生もいると思います。しかし少なくともカルチャー・センターや楽器店などに併設されているギター教室、いわゆる”街のギター教室”では、基礎を徹底的に指導する先生というのは、私の知る限りではむしろ少数派のようです。



苦痛を伴うレッスンは避ける傾向にある

 こうした”街のギター教室(私の教室もこのジャンルに入りますが)”では、プロのギタリストを目指し、厳しいトレーニングを期待して習いに来る人は決して多くはないでしょう。こうした人たちは、基本的に趣味として習うわけで、余暇を楽しむためとか、仕事の疲れをとり、リラックスするためといった目的が主でしょう。

 一般にこのような教室の指導者としては、自らの生徒さんたちに、たとえそれがたいへん重要な問題であったとしても、本人にとって苦痛を伴うようなトレーニングはなるべく避ける傾向にあります。そしてなるべく本人が希望する曲や内容のレッスンを行なう場合が多いようです。その曲が正しく弾けるかどうかも二の次になることもあります。


結果的にギターへの愛情を失うことはなかった

 質問者の先生としても、もしこの質問者が元々タイミングにそれほど問題がなかったら、逆にそういったことをちゃんとレッスンしていたかもしれません。実際にこの質問者にはそれを徹底しなかったのは、この質問者がタイミングを取るのがかなり苦手そうで、仮にそれを行なうとなるとレッスンに膨大な時間が必要となり、この質問者にも相当の労力、忍耐力、持続力を課することになると思ったからでしょう。

 質問の内容からしても、この先生が質問者のタイミングの問題を気にしていたことがわかりますが、しかしこの先生は自らの生徒さんに苦痛を伴うようなレッスンをすることは自分の仕事とは考えなかったのでしょう。

 結果からしてもその先生の考えどおり、この質問者はギターを10年習うことが出来、またギターへの愛情も失うことがなく今日に至ったのではないかと思います。  
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