中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

暗譜

 前回は読譜力ということでしたが、今回はその反対の「暗譜」の話です。現在のギター独奏のリサイタルなどは普通、暗譜で演奏しています。皆さんも有名なギタリストのコンサートに行った時などにはそのギタリストの前に譜面台が置かれているのを見たことは少ないと思います。ピアノやヴァイオリンなどでもソリストはたいてい暗譜で演奏します。独奏=暗譜というのが現在の常識ということでしょう。たまに譜面を使って弾くこともありますが、あまり評判はよくないようです。コンサートの聴衆にとっては、そのギタリストが練習不足、あるいはその曲をあまりよく把握できていないのではないかいう印象も受けます。特にギターの場合は視覚的にも、音響的にもじゃまになります。



暗譜はプロの必要条件

 暗譜で弾くということはそのギタリストが、その曲を非常によく理解し、そのコンサートのために丹念に準備したことのアピールにもなっています。また暗譜能力はプロの演奏家の必要条件であるので、多くのギター・コンクールでは暗譜で弾くことを課せられます。アマチュアの人でも発表会などで独奏をする場合は暗譜で弾くことが多いようです。



頭の中真っ白!

 ということで、練習の時はともかく、コンサートや、発表会などでは暗譜で弾くことが必要になってきます。暗譜そのものは、練習さえすればそれほど難しいものではありませんが、そうした場で弾いたことのある人はたいてい経験があると思いますが、発表会など、聴いている人がいるところで弾くと、普段の練習では絶対忘れたりしない曲でも、途中で分からなくなってしまうことがあります。



譜忘れの心配をしていたのでは

 一人で弾いている時には何事もなく弾けるのに、そうした場で弾くとその次どう弾くのだったかさっぱり出てこなくなってしまう、などということがよくあります。もちろんそれは緊張のせいで、そういう時には指の方も思うように行かないのだから、仕方がないと言えば仕方がないのですが、部分的に弾けないのと、その先が全く分からないのではそうとう差がありますから、やはり暗譜の混乱はたいへん困ります。また本当に忘れてしまわないまでも、譜忘れの心配をしながら弾いていたのではなかなかよい演奏はできません。



弾かずに覚える

 暗譜で弾くということは常に譜忘れの心配と隣り合わせということになります。さて、ではどうしたらこの「譜忘れ」の心配から開放されるのかということですが、暗譜といってもその覚え方は人それぞれで、「指の動きで覚える」人、「音で覚える」人、などがいます。前者は、なんとなく繰り返して練習しているうちにだんだん楽譜を見ないで弾けるようになるという人の場合で、大多数の人はこうした覚え方をします、私もこのタイプに属します。後者の「音で覚える」人の場合は、絶対音感がある人が多く、このような人の場合は実際にギターを弾かなくても楽譜を読むだけで曲が覚えられるようです。スペインの有名なギタリストのナルシソ・イエペスは飛行機の中などで曲を覚えたりするそうです。



運指を忘れる?

 「音で覚える」タイプの人は暗譜に時間はかからず、また一度覚えると忘れたりもしないようです。このような人は多少緊張しても譜忘れをすることはないようで、また特に暗譜するための特別な工夫や練習も必要ないようです。歌を歌う時もも歌詞を忘れることはありますが、メロディを忘れることはないのと同じく、自然に覚えられるようです。こうした人はもちろん少数派ですが、私の知っている人でも何人かいます。こうした人は二重奏とか、合奏でもすぐに覚えてしまうので、一緒にやったりする時はこちらが困ってしまいます。もっともこうした人は音は覚えていても、運指がわからなくなってしまうことはあるようで、例えば「ミ」であることはわかるのだが、それが①弦だったか、②弦だったかがわからなくなってしまうとか。



条件反射

 やはり暗譜が問題になるのは、何回も繰り返して弾いて覚える「指で覚える」タイプの人です。確かに何度も繰り返して同じ曲を弾いているといつのまにか譜面を見ないでも弾けるようになります。これは一種の条件反射で、何度も同じ作業を繰り返しているうちに頭で考えなくても指などが自動的に動くようになるというものです。もっともギターを弾く場合、条件反射といってもひざを叩いた時のように本当に大脳に関係なく指が動く訳ではなく、ある程度大脳との情報の行き来はあるでしょうが、大脳を介さない部分も出てきます。実際、何度も弾いている曲だと、他の事を考えながらでも弾けてしまうと思います。何も考えずに自動的に弾けてしまう、などというのはたいへんよいことのようですが、実はこれが問題になるのです。

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