中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

Q : 独学で「アルハンブラの想い出」を練習しています。どのような練習をしたら村治佳織さんのようなトレモロが弾けるのでしょうか。やはり「アルハンブラの想い出」は教室で習わないと弾けるようにはならないんでしょうか? また習った場合、どれくらいで弾けるようになるんでしょうか? 


                                    40代男性
 

A : その3   トレモロ奏法いろいろ



 前回はアルペジオ練習だったので、今回はトレモロ練習になるところですが、前にお話したとおり、前回のようなアルペジオがちゃんと弾ければ、トレモロ奏法については特に問題ありません。おそらく美しく、クリヤーなトレモロが弾けるでしょう。

 トレモロ奏法でも、通常のpamiの指順だけでなく、いろいろ違った弾き方をする人もいるので、今回はそのいろいろなトレモロ奏法の話をしましょう。



薬指を使わないトレモロ(pmim など)

 昨年つくばでリサイタルを聴いたアナ・ヴィドヴィッチはトレモロを3本の指、おそらくpmimで弾いているようです。速さは普通くらいといった感じですが(おそらく80前後)、1音1音粒が揃っていてたいへん美しいトレモロです。

 もちろんこれは普通の人に出来ることではなく、すぐれた運動性能の指を持つヴィドヴィッチだから出来ることですが、確かに薬指を使うより人差し指と中指で弾いたほうが、よりコントロールがよいので、これからの若いギタリストには流行るかもしれませんね。



逆弾きトレモロ(pima)

 私の場合、逆弾きトレモロ、つまりpimaは、まだ試行段階ですが、ギタリストの中にはこの指順でたいへん美しく弾く人もいます。人によってはこの順のほうが弾きやすいかも知れないので、pamiの指順で上手く行かない人は試してみる価値はありそうです。



フラメンコのトレモロは1個、または2個音が多い(piami pmiami など)

 フラメンコ奏者の場合はトレモロを3個ではなく、4個、あるいは5個で弾いたりします。指順としてはpiami、pmiami といったものだと思いますが、1個や2個多いトレモロでも相当な速さで、なおかつ勢いのある音で弾くので、恐れ入ります。



ピックでアランブラ

 話によれば、アコースティック・ギタリストの中にはフラット・ピックだけでアランブラの想い出などのトレモロを(もちろん低音もメロディも)弾いてしまう人もいるようです。これも一つの超絶技巧でしょう。



ヴァイオリンのアランブラもある

 かつて、LP時代にルッジェーロ・リッチというヴァイオリストが、アランブラの想い出を弾いていました。ヴァイオリンでアランブラを弾くというと、普通はピアノ伴奏でヴァイオリンが優雅にメロディを弾くといったことを思い浮かべるところですが、このリッチは、なんと、低音からトレモロの1音1音まで、ギター譜面をそのまま1台のヴァイオリンで弾くといったものです。まさに超絶技巧ですが、優雅な感じというよりは、かなりスリリングです。



人差し指だけのトレモロ奏法

 ギター合奏などでは、メロディをマンドリンのトレモロのように、人差し指の往復によるトレモロ奏法を用います。この方法でメロディ部分を弾き、低音部分を別のギターで弾く形の、二重奏にすると比較的簡単にアランブラの想い出が弾けます。人差し指の爪を上手く使うと、独奏よりもかえって美しく聴こえることもあります。


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アランブラの想い出の二重奏版。独奏の譜面から簡単に作れる。このようにすると簡単な曲に見える。メロディは通常の弾き方でもよいが、人差し指の往復によるトレモロ奏法を用いるとより原曲に近くなる。


 

次回は「アランブラの想い出」の弾き方

 これまでトレモロ奏法など、右手のことを中心に話してきましたが、次回は曲の出来方、曲想や左手の運指など、「アランブラの想い出」の弾き方の全般的なことについてお話します。

 ところで、些細な問題かも知れませんが、この曲の曲名について確認しておきましょう。この件についてはすでに何度かお話しましたが、10~20年くらい前までは、どのCDや楽譜でも「アルハンブラの想い出」と日本語表記されていましたが、最近の日本のギター界では「アランブラの想い出」と表記されることが多くなりました。

 原語の綴りは「Alhambra」ですが、この「h」は間違いなく発音されることはなく。原語の発音からすれば「アランブラ」のほうが近いと言えます。もっとも海外では他国語の場合、原語の発音などあまり気にせず自国の原語に則した発音をしています。例えば「バッハ」はアメリカでは「バック」で、モーツアルトのフランスでは「ムザルト」と発音しています。

 ですから世界的に見れば「アルハンブラ」だろうと、「アランブラ」だろうとどっちでもよいのですが、最近の傾向が「アランブラ」となっている以上、当ブログでも原則上この表記を用います。しかしまだまだ一般には「アルハンブラ」のほうが馴染まれているのも確かですので、場合によってはこの表記も用います。

 また「アランブラ宮殿の想い出」とも表記されたりすることもありますが、「アランブラ」は「赤い城」という意味だそうで、「宮殿」の意味合いも含まれるので「宮殿」とあえて添える必要はないようです。

 さらに「思い出」という漢字を用いる場合もありますが「想い出」のほうが一般的なようですので、こちらの表記にします。
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