中村俊三 ブログ

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大ソナタイ長調

 基本的にパガニーニのヴァイオリンとギターのための曲は、ヴァイオリンが主旋律、およびヴィルトーゾ的なパッセージを受け持ち、ギターがそれを和音でサポートするといった形のものですが、この「ヴァイオリンの助奏を伴うギターのための大ソナタイ長調」はちょっと変わっています。


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大ソナタイ長調のギター・パート これだけでも独奏曲として成り立つ



ヴァイオリンはほんのちょっと音を加えているだけ

 譜面からもわかるとおり、ギターのパートはこれだけでもギター独奏曲として成り立つくらい充実したものですが、一方ヴァイオリンのパートはかなり地味でギター・ソロにほんのちょっと音を加えているだけです。これなら初心者でも弾けそうです。


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大ソナタのヴァイオリン・パート ギター・ソロにほんの少し音を加えている程度


パガニーニのVnとGのための曲のなかでも最大の規模

 また他のヴァイオリンとギターのためのソナタはほとんど、いやすべての曲が2楽章構成で、演奏時間も数分程度のものですが、この「大ソナタ」は3楽章構成で、演奏時間も多少テンポを上げて演奏しても20分以上かかる、かなり規模の大きい作品となっています。パガニーニのヴァイオリンとギターのための作品の中でも最大規模の曲といえるでしょう。



パガニーニがギターの方を弾いたと考えられる

 パガニーニのヴァイオリンとギターのためのソナタは、基本的にパガニーニがヴァイオリンを担当したと考えられますが、この曲についてはパガニーニがギターを弾いたといわれています。そのとおりかも知れません、この”地味”なヴァイオリン・パートをパガニーニが担当したとは考えにくいでしょう。

 パガニーニの相手をしたギタリストはイタリアのギタリストのレニャーニと言われ、確かにレニャーニはパガニーニの24のカプリースに影響を受けたと思われる「36のカプリース」を作曲しています。



相方は誰?

 一説にはスペインのギタリストのデシオド・アグアードだとされることもありますが、状況的にその可能性は低いのではと思います。いずれにせよ、この曲に関しては、そのギタリストと楽器を交換して、つまりギタリストの方がヴァイオリンを担当したと言われていますが、納得しやすいところでしょう。



実際にパガニーニがこの曲を弾いたかどうかということは不明だが

 実際にこの大ソナタをパガニーニが公開の場で演奏したという記録は残されていないようですが、パガニーニがカリスマ的超絶技巧のヴァイオリストとして一般に知られるようになったのは晩年の1828年(46歳)からだそうで、仮に演奏したとしてもそれ以前かも知れません。もし1828年以降にこの曲を演奏していればそれなりに話題となって、何らかの記録が残されるでしょう。

 もっとも、作曲して、譜面に書いた以上、何らかの形で演奏した、おそらく公開の場で演奏したと考えるのが妥当でしょう。書いただけで演奏しないというような無駄なことはしないでしょう。



ヴァイオリン的な技法で弾いた?

 この曲のギターパートは結構難しく、オクターブで動き回るところや、非常に高い音域の音が用いられています。これらの高い音はハーモニックス奏法でないと演奏不可能ですが、パガニーニは、おそらく今日一般的に行われているギターのオクターブ・ハーモニックス奏法ではなく、ヴァイオリン的なフラジオレット奏法を用いていたのではないかと想像出来ます。



第1楽章は堂々たるソナタ形式

 この曲の第1楽章アレグロ・リソルトは堂々たるソナタ形式の曲で、この楽章だけでも10分以上かかります。旋律を歌わせるところと、ヴィルトーゾ的なパッセージと、聴きどころは満載です。展開部では嬰ヘ短調などの短調の傾向が強く、前後の明るい部分と対照的になっています。再現部では第1主題は再現されず、第2主題のみの再現で、最後は華やかに終わります。



第2楽章「ロマンス」はよく知られている

 第2楽章は「ロマンス」ですが、この曲は溝渕編カルカッシギター教本などにも載せられ、愛好者にもなじみのある曲と思います。シチリア舞曲風で、感傷的な美しいメロディの曲で、単独でもよく演奏されます。



第3楽章は軽快な変奏曲

 第3楽章は軽快感溢れる魅力的なアンダンティーノの主題と6つの変奏からなります。華やかな変奏が多くなっていますが、ヴァイオリンの曲のような超絶技巧というほどではありません。ギター曲としては常識的な範囲と言えるでしょう。



私の編曲では

 この曲、確かにギターのパート譜だけでも曲になりますが、やはり音は少な目なので、この曲をギターのみで演奏する場合、多くのギタリストはヴァイオリンのパート譜を参考に音を付け加えています。そうした形での演奏として、ジュリアン・ブリームやジョン・ウィリアムスなどが知られています。



自作のカデンツァを挿入

 私のアレンジも控えめではありますが、ギター・ソロの譜面に若干音を加えてあります。さらに第1楽章(展開部と再現部の間に)と第2楽章にはカデンツァ(即興的な部分)を挿入しています。第1楽章では再現が省略された第1主題の断片を、再現の代わりにあしらってみました。第2楽章の方は譜面にもカデンツァを弾くように指示があります。
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