中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

譜忘れしないための練習法

 今回は「譜忘れしないため」の練習法について話をします。例えば、皆さんにたいへん得意な曲があったとします。完全に暗譜してあって、もちろん楽譜など見なくてもすらすらと弾ける曲だったとしましょう、その曲で次の3つのことをやってみて下さい。

 ①その曲のある部分だけを弾く

 ②スピードを2~3倍くらい遅くして弾く

 ③その曲を楽譜に書いてみる



 本当に暗譜してあれば、当然どれも何事もなく出来るはずです、暗譜してあるのですから・・・・ でも実際にはなかなか理屈通りにはならないのではないでしょうか、実際に③まで出来る人はかなり少ないと思います。もしどれも問題なく出来た人は、この先を読む必要はありません。


指と頭で連絡取り合う

 以上の3つがうまく出来なかった人はこの先も読んでみて下さい。①と②の方法は、指などで、あるいは「作業手順」として覚えている曲を、もう一度頭で考え直すためです。途中から始めたり、速度を変えて弾くことでもう一度考え直して弾くことになります。何度も繰り返して弾いている曲はだんだん条件反射的になってしまい、大脳を通さずに作業を行ってしまいます。これは一見よいことのようで、決してそうではありません、よい演奏をするためにも、また譜忘れをせずに弾くためにも、常に大脳を働かせて練習する必要があります。①②の練習は指などの末梢神経と大脳がもう一度連絡を取り合うための練習といえます。


合理的な運指のためにも

 またこれらの練習は、単に譜忘れしないためだけでなく、指の動きを確認したり、またなんといっても自分で弾いている音をしっかりと自覚する目的もあります。何となく弾いていては、自分がどんな音を弾いているとか、どのように弾いているとかがわからなくなったしまいます、特にテンポを落として弾く練習は非常に大切です。そうすることにより間違えて覚えてしまったり、合理的でない運指で弾いてしまったりすることも防げるでしょう。


時間はかかるけども

 ③の楽譜に書くというのは①、②をさらに徹底した練習で、時間も労力も必要ですが、暗譜を完璧にしたい人はぜひやってみて下さい。私の場合、重要なコンサートで暗譜で弾く場合はたいてい実行しています。特にバッハの曲を暗譜で弾く場合は必ず行います。これは譜忘れのためだけでなくその曲を理解するためにも行います。「何でこの音の次はこの音なのか」とか考えながらやります。もっともその音楽を完全に理解していれば譜忘れなどするはずもないでしょう、忘れるということはその曲が理解が出来ていないからということもできます。また「アルハンブラの想い出」とか「アストゥリアス」など今までたくさん弾いた曲はいつでも楽譜に出来ると思います(ホントかな?)。


ピアソラの場合酒を飲みながら・・・・・

 他にイメージ・トレーニング的に、ギターを実際には弾かずに、頭の中だけで弾く方法もあります。タンゴの巨匠、アストル・ピアソラはバーなどで酒を飲みながら頭の中だけで次の日のコンサートのリハーサルをするそうです。私の場合も比較的簡単な曲の場合は、譜面には書かずにこれだけで済ませますが、これは以外とたいへんでかなり頭が疲れます。どちらかと言えば書いた方が楽で、また時間も意外とかかります。というのもなかなか集中して頭の中で曲を追うことが難しいからです、途中でいつのまにか全然違うことを考えてしまったりします。どちらかといえばイメージ力のある人向きなのですが、とりあえず試みてみるのもよいでしょう。


日にちがあれば細かく、近くなったら大雑把に

 このイメージ・トレーニングも、大雑把にその曲を頭の中でさらうのと、本当に細かく、ここは「レ」でこういう運指で、などと細かくやるのとあると思いますが、コンサートまでまだ日にちがある場合は時間がかかっても細かく、コンサートに近くなったら大雑把に実際の曲のテンポくらいでやるとよいと思います。


複数のシステムで

 人間の記憶というのは、なるべく多数の神経細胞と関連付けておく方が、その記憶を保存し、また呼び戻しやすいのだそうです。指を動かす神経、音として覚える神経、あるいは視覚的に楽譜で覚える神経など、それぞれ異なるシステムだと思いますが、それぞれ別個に記憶し、また頻繁に連絡し合うことがスムーズに記憶を呼び出すにためにはもっともよいことだと思いますし、また何かトラブルがあった時の対処もしやすくなると思います。予期せぬトラブルあった場合でも、多数の乗客を安全に運ぶため、旅客機などは独立した複数の操縦システムを持っているそうですが、この話と少し似ているかも知れません。



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