中村俊三 ブログ

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クラシック・ギター名曲ランキング


なるべく主観を交えず

 さて、それでは今回は本当にランキングに入りましょう。「名曲」とは一般的に「優れた曲」ということも意味するでしょうが、ここでは「知名度の高い曲」または「人気のある曲」といった意味で捉えます。

 なるべく私の主観を含めないように努め、ランキング上位の曲についてはギターを趣味とはしない一般の人の知名度も考え、下位になるにしたがって、ギターに詳しい人の人気度といったものによってランキングしてゆこうと思います。




一般的にクラシック・ギターの曲として演奏されているもの

 また「クラシック・ギター」のカテゴリーについても厳密には定義しにくいものですが、これも一般的に現在クラシック・ギターで演奏されるもの、あるいはクラシック・ギターのコンサートのプログラムに載るもの、クラシック・ギターのCDに収録されるものといったことで考えます。



堂々と第1位から

 前述のとおり、なるべく自分の主観は交えないように心がけますが、なにぶんはっきりとしたデータや根拠がないことなので、これも下位になるにしたがって若干の主観が紛れてしまうことはご容赦ください。それではテレビなどのように下位から発表するなどと言った姑息な手段はとらずに、正々堂々と第1位から発表して行きましょう。




<第1位>    禁じられた遊び (ロマンス、練習曲ホ短調 ~アントニオ・ルビラ)


20年ほど前に生徒さんにアンケートを行った

 クラシック・ギター曲の知名度ランキングということだったら、もう皆さんも1位と2位についてはおわかりと思います。後はどちらを1位とするかだけだと思います。

 客観的なデータはないと言いましたが、じつは20年ほど前、私の曲室の生徒さん25人に「クラシク・ギターの有名な曲、知っている曲を10曲まで書いてください」といったアンケートを行いました。

 これは基本的に「好きな曲」や「優れた曲」といったものではなく、「有名だと思う曲」「知っている曲」を書いてもらうといった趣旨で行いました。とはいってもやはり生徒さん自身の好みなどは含まれるものだったと思います。



「アランブラの想い出」が1位

 その集計では「アランブラの想い出」が満票の25票、「禁じられた遊び」が24票でした。さすがにギターを習っている人で「アランブラの想い出」を知らない人はいませんでした。

 一人の人だけ「禁じられた遊び」を書かなかったわけですが、これはもちろんこの曲を知らなかったわけではなく、この曲はクラシック・ギターの曲ではないと判断したか、あるいは内容的な問題で書かなかったのではないかと思います。



アランブラの想い出と言えど、一般的には絶対的知名度ではない

 といった訳で、実際にギターをやっている人では、クラシック・ギターを代表する曲としては、まず「アランブラの想い出」が挙げられるのは間違いないと思います。

 文字通りクラシック・ギターの看板曲といってよいでしょう。しかし特にギターに興味がない一般の人まで含めると、「アランブラの想い出」といえど、絶対的な知名度と言う訳には行かないようです。



一般の人の知名度を考えれば

 私のところにギターを習いにくる人で、これまで「禁じられた遊び」を知らなかった人はさすがにいなかったのですが(幼児などを除いて)、「アランブラの想い出」を知らない人は時折います。

 そうしたことから、クラシック・ギター曲の”知名度”と定義すれば、第1位は「禁じられた遊び」となるでしょう。



これまで何度か書いているが

 この曲の話については当ブログでも何度か書いていますし、また皆さんもよくご存じかなと思いますが、この際なので、一通りおさらいしておきましょう。

 まず日本でこの曲が知られるようになったのは、1950年、ルネ・クレマン監督による映画「禁じられた遊び」によってであるのは言うまでもないことでしょう。

 しかし、この曲は「禁じられた遊び」より前に、別の映画の音楽としても使われ、また戦前からこの曲の譜面を持っている人もいたようで、我が国で、全く知られていなかったわけではないようです。

 とは言え、ギターをやっている人も、やっていない人も、ほとんどの人はこの映画でこの曲を知ることになり、この映画の人気とともに、この曲の知名度や人気が高まり、そしてそれ以前は無名のギタリストだった、ナルシソ・イエペスも一躍著名なギタリストとなりました。


特に曲名表示もなく、自然に「禁じられた遊び」と呼ばれるようになった

 映画の中ではこの曲のタイトルなどは一切表示もなく、となればごく自然に、この曲が映画のタイトルの「禁じられた遊び」と呼ばれるようになります。

 そしてこの「禁じられた遊び」の影響により多くのギター・ファン、あるいはプロのギタリストが誕生したのも事実でしょう。



ギター世界初録音はこの曲だった、ただしソルの練習曲として

 この曲の原曲については一昨年の現代ギター誌に譜面が掲載されましたが(1920年頃アルゼンチンで出版されたもの)、19世紀のスペインのギタリスト、アントニオ・ルビラの「練習曲」ということになります。

 19世紀末から20世紀初頭頃では、特に南米やスペインでは結構有名な曲だったらしく、クラシック・ギターにおける、史上初録音(蝋管録音)の曲としてこの曲が選ばれています(CD入手可能)。そのアナウンスでは、どうも「フェルナンド・ソル」と言っているようです。


耳コピーで広まったのでは

 しかしおそらくこの曲を演奏したイエペスはこの曲の作曲者や正しい曲名はわからなかったようです。当時のスペインでは、この曲が、曲名や作曲者名がわからないまま有名になっていたようです。私の勝手な想像では、この曲は比較的シンプルな曲なので、楽譜がなくても演奏出来、伝言ゲームのように”耳コピー”で広まっていったのかも知れません。



原曲とはメロディは全く変わらないが、その他の点では若干違っている

 イエペスが弾いているものと現代ギター誌に掲載された1920年の譜面(おそらく原曲に近い)とを比べると、メロディは全く変わりなく、低音や和音が少し違っています。最も違うのはアルペジオの順番で、イエペスの演奏では①②③弦の順ですが、1920年版では①③②の順になっています。



漠然と聴けば大きな違いはない

 つまり伝言ゲームの際に、メロディは正しく伝わったが、和音や低音、そしてアルペジオの順には多少の誤差が生じたと言う訳です。これらの違いは漠然と聞けば特に違和感のない程度で、自分でこの曲を弾いていない限り、その違いには気づかない程度でしょう。特にアルペジオの順が違ってもほとんど印象には差はありません。



原曲、それとも流通版、どっちで弾く?

 しかし、これからこの曲を演奏する人(特にプロのギタリスト)はなるべくアントニオ・ルビラの原曲に近いほうで演奏するか。あるいはイエペスの演奏のコピーによる一般流通版で演奏するか迷うところでしょう。



今後この曲はどう呼ばれるようになるのか

 因みに、この曲の曲名としては、「禁じられた遊び」の他に、海外では「ロマンス」と呼ばれ、日本では「愛のロマンス」とも呼ばれます。またスペイン民謡とかイエペス作曲とか言われることもありますが、全く事実ではありません。

 作曲者の功績をたたえれば、アントニオ・ルビラ作曲「練習曲ホ短調」となるでしょうが、それが今後一般に認知されて行くのかどうかは、何とも言えないところでしょう。

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