中村俊三 ブログ

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クラシック・ギター名曲ランキング

<第14位>

カタルーニャ民謡集~全13曲(ミゲル・リョベット)

1.アメリアの遺言
2.盗賊の歌
3.糸を紡ぐ娘
4.王子
5.うぐいす
6.哀歌
7.先生
8.あとつぎのリエラ
9.商人の娘
10.凍れる12月
11.レリダの囚人
12.羊飼いの娘
13.聖母の御子

 



反則

 「カタルーニャ民謡集」と一括りにしたのはちょっと反則気味かも知れませんが、「アメリアの遺言」、「盗賊の歌」など1曲ごとにランキングしたらたいへんなのと、1曲1曲は短いの、まとめてのランキングとしました。確かに最近ではこの13曲をひとまとめにして録音したり、演奏することも多くなりました。

 編曲者のミゲル・リョベットにつては当ブログで何度か紹介したのでプロフィールなどは省略します。これらの曲の最初の出版などに関してはあまり情報がありませんが、現在入手できる譜面は、細部にいたるまですべて同じなので、初版を基にしたものと考えられます。

 この13曲のうち、1~10までの10曲はまとめて出版されたらしく、1960年代にはその10曲まとめた譜面が国内でも発売されていました。現在では国内版でも海外版でも13曲とも入手できます。


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現代ギター社版リョベット作品集 「カルーニャ民謡集」13曲入っている



継母に夫を寝取られ、自らの命をも奪われる

 これらのうち最も有名なのは「アメリアの遺言」で、映画「禁じられた遊び」にも使われました(1度しか出てこないが)。リョベット自身でも録音していて、セゴヴィアも録音しています。リョベットもおそらくこれらの曲の代表と考えていたのでしょう。

 「アメリアの遺言」は、メロディとしては8+8×2=24小節の短いものですが、物語歌になっているので、歌詞が8番まである長い歌です。ギターのアレンジでは2番までとなっています(リョベット自身の録音では3回繰り返している)

 歌詞の内容は、若い継母に夫を寝取られ、さらに自らの命を奪われるアメリア姫の、最後の言葉という形になっています。死の床で、兄と父親へフランスの城を3つずつ遺すと言い、「私には何をくれるの」という継母の催促に対しては、「お母様には私の夫を差し上げますから、いつでもお好きな時にお抱き下さい」といった言葉で返しています。



フランスに城を7つ

 確かに悲劇のお姫様ではありますが、ただのか弱いお姫様ではなさそうです。それにしても相当な財産持ちですね、城を7つ持っているそうです。そのうち3つをお父さん、つまり王様にあげると言っているのですが、娘が父親に遺産を残すというのは、我々の感覚ではよく理解できませんね。



その美貌と色香で

 継母の方は、その美貌と色香で、王様のみならず、その娘婿まで手に入れ、さらに邪魔者のアメリア姫を消すという、かなりの悪女となっています。しかしよく考えてみると父親の王様にしろ、アメリア姫の夫にしろ、それらの男たちには、かなり問題があるようですね。



本当に責任があるのは

 アメリア姫の悲劇は、継母だけでなく、この二人の男たちによっても起きていると言えるでしょう。むしろアメリア姫を守るべき立場でもある分、この二人の男の方には、より責任があるのでは。 

 この歌にはこれらの男たちの姿はありませんが、大事な時にはいつも逃げてしまうのが男たちなのか・・・・・ でもアメリア姫はこれらの男たちには恨み言は言っていないようです、アメリア姫は男にはやさしいのでしょうか。



他の歌もこんな感じ

 他の曲も、だいたいこういったような物語になっていて、おそらく実際にあった話、あるいは噂話などを基に歌が出来ていると思われます。それぞれ面白い内容なのですが、それらに触れていると、きりがないので今回はやめておきましょう。

 「盗賊の歌」、「糸を紡ぐ娘」、「商人の娘」、「あととりのリエラ」は5月25日のギター文化館でのコンサートで演奏しますので、これらの曲についてはその時にまたお話しましょう。



メロディはシンプルだが、編曲は難しい

 これらの曲はもともとシンプルなメロディで出来ていますが、それだけにリョベットのアレンジはかなり凝ったもの、かなりギター的なものになっています。曲が短いからと言ってなかなか侮れません。ちゃんと弾くにはかなりの技術が必要でしょう。

 リョベットのアレンジの特徴としては、後期ロマン派風の変化のある和声、自然、および人口ハーモニックスの多用、主旋律が高音域から中音、低音と移動し、特に低音弦のハイポジションの使用などが挙げられます。同じメロディの繰り返しには必ずと言ってよいほど和声が変わります(つまり押さえ方が変わる)。



聖母の御子、先生

 「聖母の御子」も人気曲の一つですが、リョベットのアレンジは前半、後半ともリピートする形のシンプルなものですが、セゴヴィアは多少手を加えて演奏していますが、そのセゴヴィア版をイエペスや荘村清志さんも演奏しています。確かにセゴヴィア版のほうが聴きごたえはあるでしょう。

 「先生」はこれらの中で最も長く(と言っても2ページで、3分ちょっとくらいだが)、充実した作品となっています。リョベット自身でも録音を残し、セゴヴィアの愛奏曲にもなっています。



リョベットの自演を聴くことが出来る

 CDとしては、何といってもリョベット自身の録音があり、これらの曲を練習する人は是非聴いておくべきでしょう。下のCDはSP盤からの復刻ですが、おそらく現在でも入手可能でしょう。また「セゴヴィアと同時代のギタリスト」シリーズでも聴くことが出来ます(Vol.12)。


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リョベットの残したSP盤の復刻CD

 セゴヴィアはこの民謡集のうち「アメリアの遺言」、「先生」、「聖母の御子」を録音しています。イエペスは「盗賊の歌」など5曲を録音し、現在でもCDで聴くことが出来ます。ジョン・ウィリアムスも1991年に9曲録音しています。


ブログ 046
1991年のジョン・ウィリアムスの録音 「カタルーニャ民謡詩集」9曲入っている

 ステファノ・グロンドーナは2000年代半ば頃にリョベット作品全集として他のリョベットのオリジナル作品や編曲作品の他に、この民謡集13曲全曲を録音しています。

ブログ 035
 グロンドーナのリョベット作品全集のCD(2枚組)

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