中村俊三 ブログ

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クラシック・ギター名曲ランキング

<第17位>  "さくら"の主題による変奏曲(横尾幸弘)



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今まさに

 今まさに桜のシーズン、全国各地からさくらのたよりが聞こえてくる今日この頃です。水戸では昨日(29日)に開花宣言されました。よくわかないが、この時期はなんとなくウキウキしますね、日本人としてのDNAがそうさせるのでしょうか。それにしても極めてよいタイミングでのこの曲の登場ですね、まるで図ったかのよう・・・・・



「さくら」もいろいろあるが

 それにしても「さくら」という題名の曲、または歌、本当にたくさんありますね。「さくら」、「桜」、「SAKURA」と表記は違うとしても、森山直太朗、コブクロ、ケツメイシ、川口省吾、いきものががり・・・・ そういえばAKBにも「桜ナントカ」というのいくつかありましたね。そういった曲のほとんどは卒業ソングでもあるようですが。



もともとは琴の練習曲

 もちろん今回の「さくら」は最も伝統的な「さくら、さくら、やよいの空は」の日本古謡のほうです。日本人でなくとも知っているこの「さくら」ですが、もともとは歌ではなく、江戸時代のお琴の練習曲だったそうです。習い始めの子供のための曲だということで、ほぼメロディだけだったのではないかと思います。



琴では宮城道雄作 ~3台の琴のため

 古くから歌詞が付けられて歌われていたようですが、現在知られている歌詞は明治時代の中頃付けられたそうです。琴の方では「春の海」で名高い宮城道雄の「さくら変奏曲」が有名で、お正月などによく聞こえてくるのは、ほぼこの「さくら」です。全体で10分くらいの曲ですが、もちろん私たちが聴いているのは、この曲の最初の部分だけです。

 この「さくら変奏曲」は2台の琴(通常の13弦)と17弦の琴の三重奏の形になっていて、変化に富む聴きごたえのある曲です。たまには全曲通してじっくり聴くのもよいのではないかと思います。さらにピアノ伴奏の歌曲としては山田耕作の編曲もあり、声楽家などが歌うのは、このバージョンになっています。



かつてたくさんの「さくら変奏曲」があったが

 さて、ギターの方でも数々の「さくら変奏曲」があるわけですが、私も子供のころ国枝和枝編の「さくら変奏曲」を弾いていました。また私より上の年代のギタリストの多くは自分の「さくら変奏曲」を作曲して演奏していた人も多かったのではないかと思います。



1974年にウィリアムスが録音し話題になった

 この横尾幸弘作の「さくら変奏曲」(正式には「”さくら”の主題による変奏曲」だが)が一般に知られるようになったのは、1974年にジョン・ウィリアムスが録音がきっかけです。「あのウィリアムスが『さくら』を弾いた」ということで、たいへん話題になりました。


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「ウィリアムスがさくらを弾いた」と話題になったLPジャケット。今では世界中のギタリストがこの「さくら」を弾いている。1974年の録音で、他にポンセの「南のソナチネ」、バリオスの「パラグアイ舞曲」などが入っている。


「さくら変奏曲」といえば横尾編

 ウィリアムスの切れのよい演奏と「さくら」は意外なほど相性がよいもので、当時LPでよく聴きました。その後日本だけでなく、世界でも演奏される曲となり、イェラン・セルシェルやエドアルト・フェルナンデスなどのギタリトも録音しています。

 このウィリアムスの録音以来、ギター独奏で「さくら変奏」といえば、ほぼこの横尾幸弘作を言うようになり、現在のギター界では、たくさんある「さくら変奏曲」の筆頭の地位についています。



二つの版がある

 厳密には横尾作の「さくらの主題による変奏曲」には二つの版があり、これらを仮に「初稿」、「改訂版」としておきましょう。初稿は序奏、主題、3つの変奏、コーダですが、改訂版のほうは変奏が6つとなっています。

 初稿のほうは「さくら」の旋律をほぼトレースしたシンプルなものになっていますが、改定版のほうではより変化のあるものになっています。改訂版のほうが横尾氏のオリジナリティがより多く感じられますが、一般にわかりやすいのは初稿のほうでしょう。

 どちらの版も琴の演奏をイメージした曲になっていますが、特に特定のもの、例えば宮城編などをコピーしたものでなく、完全に横尾氏のオリジナリティで曲が出来ていると言ってよいでしょう。



初稿に改訂版の第2変奏を加えている

 ウィリアムスはほぼ初稿で演奏していいますが、それに改訂版の第2変奏を付け加えてります(これをウィリアムス版としておきましょう)。この第2変奏はさくらのメロディからは遠いのですが、お琴の感じがよく出た変奏でウィリアムスも気に入ったのでしょう、確かになかなかよい変奏です。



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大萩康司君は改訂版(6つの変奏)で録音している。この版での録音は珍しい


ギター文化館に自筆譜が展示されている

 セルシェルや、フェルナンデスが弾いてるのも、このウィリアムス版です。改訂版のほうは大萩康司君が録音しています。ギター文化館(茨城県石岡市)には横尾氏の手書きの譜面が寄贈され、展示してありますが、内容はこのウィリアムス版となっています。横尾氏もこのウィリアムス版が決定稿と考えていたのでしょうか(横尾氏はすでに故人となっています)。



私も基本的にウィリアムス版

 私の場合も基本的にウィリアムス版ですが、ハーモニックスの変奏は省略しています。その理由としてはこの曲をアンコール曲として演奏することが多いので、なるべく時間が短い方がよいということが表向きの理由なのですが、一時期オクターブ・ハーモニックスが苦手なことがあって、その時期にこの曲を弾き始めたので、いまでもハーモニックス抜きで演奏しているというのが本当の理由?

 毎年のように、お正月からこの時期にかけてこの曲を弾くことが多いのですが、残念ながら(?)今年はこの時期にコンサートの予定がなく、演奏する機会がありません。来年は何とか弾こう! 



最初は耳コピーして演奏していた

 かつては改訂版のほうしか譜面が出てなかったので、私の場合、ウィリアムスのLPから耳コピーしてウィリアムス版を弾いていました。その後初稿の譜面が手に入ったのでそれで若干修正しました。今ではウィリアムス版も入手出来るのではないかと思います。なお改訂版のほうはドレミ出版の「ギター名曲170選-B」に収められています。

 
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