中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

クラシック・ギター名曲ランキング

<第18位>  スペイン風セレナータ《スペイン・セレナード》 (ホアキン・マラッツ)






アストゥリアスやスペイン舞曲第5番と同じく

 作曲家のホアキン・マラッツはアルベニスやグラナドスと同じく19世紀末から20世紀初頭にかけてのスペインの作曲家で、主にピアノ曲を中心に作曲しています。この「スペイン風セレナータ」も原曲はピアノ曲で、タレガの編曲でギター曲として知られています。

 要するに前に登場した「アストゥリアス」や「スペイン舞曲第5番」などと同じ経過をたどった曲といえるでしょう。ギター曲としての認知度、人気度もそれらの曲に迫るものがあります。

 ただ、アルベニスやグラナドスの曲の場合と違うのは、マラッツの作品のうちこの作品だけがギターで演奏され、他の作品は全く演奏されないということでしょう。またピアノのほうでもこの曲を含め、マラッツの作品はほとんど演奏されません。



かつてラローチャの録音があったと思うが

 このスペイン風セレナータのピアノ演奏とか、マラッツの他の作品のCDなども探してみたのですが、残念ながら簡単には入手出来ないようです。以前に確かラローチャのLPが出ていたように思うのですが、CDになっているかどうかわかりません。



IMG_201404052158039e4.jpg
ピアノの演奏のCDは入手出来なかったが、近くの図書館でこの曲の原曲(ピアノ)の譜面をみつけた。こうした曲を弾くピアニストというのはあまりいないのだろう



あまり情報がないが、短い生涯だったよう

 また作曲家のマラッツについての情報も少なく、CDの解説で「生没年1872~1912、スペインの名ピアニスト、アルベニスやグラナドスとも親交があった」といったことがわかる程度です。年齢の順からするとアルベニス→グラナドス→マラッツとなり、3人の中では最も年下となります。40歳で亡くなったようで、短い生涯だったようですね。



一発屋?

 要するに、一般的にマラッツのことで知られているのは、この「スペイン風セレナータ」関してのみということになります。いわば「一発屋」といったところですが、もちろんこれは我々後世の人がそうしてしまっただけで、本人には一切責任のないことでしょう。



作曲自身の録音が残されている

 といったわけで、ここでも作曲家マラッツについてや、マラッツの他の作品については触れることができなにのですが、かろうじて近くの図書館で原曲(ピアノ)の譜面が入手出来ました。またマラッツ自身のピアノの演奏も残されているようです。時代的にはタレガの録音同様瘻管(ワックス・シリンダー)によるものでしょう。

 マラッツがこの曲を録音しているということは、マラッツ自身もこの曲を自らの代表作と考えていたのでしょう。またタレガの編曲があるということは、マラッツの生存中よりギターで演奏され、ギター曲としても知られていたことも想像できます。



タレガのギターへの編曲が知られている

 タレガの編曲は、他の曲同様、比較的自由にギター曲へと移し替えられていて、グリサンドなどの多用の他、原曲にはない繰り返しが付け加えられ、原曲よりも演奏時間が長くなっています。




セゴヴィアは原曲にそって若干修正して演奏している

 録音の方では、何といってもセゴヴィアのものが知られていますが、セゴヴィアは少なくとも2回録音しています(1930、1954)。現在一般に聴かれているのは1954年のLPモノラル録音のほうですが、この年代にしては音質もよく、多くのファンに愛聴された録音です。この曲の人気に大きくかかわる録音といってよいでしょう。

IMGP0096_convert_20120402011723.jpg
スペイン風セレナータが収録されているセゴヴィアのLP「プレイズ」(1954年録音)。セゴヴィア・ファンにはたまらない1枚


 セゴヴィアは基本的にはタレガの編曲を用いていますが、グリサンドや原曲にない繰り返しなどを省略するなど、原曲に近い形に修正して演奏していて、後続のギタリストもほぼこのタレガ-セゴヴィア編にそった形で弾いています。

 因みにこのセゴヴィアの編曲の譜面は出版されていません(たぶん)。セゴヴィアはこのような二次的な編曲ものは基本的に出版しない考えのようです。




IMG_0001_20140405220551537.jpg
イエペスの1989年の録音のCD。他にイエペスとしては珍しい「大聖堂」なども収録されている。しかし現在は入手が難しいかも。セゴヴィア、ブリーム、イエペスとも不思議と晩年の録音は入手が難しくなっている。3人とも晩年にレコード会社を変えているからか。ちなみにジュリアン・ブリームは健在だが演奏活動は行っていない。


イエペスは独自の編曲で演奏している

 ナルシソ・イエペスはタレガ編とは全く別に原曲から直接編曲し、原曲により近い形で演奏しています。録音は1960年前後の6弦ギター時代のものと、10弦ギターを用いた1989年のものがあり、セゴヴィアの演奏などとは全く違った印象があります。なお1960年頃の6弦ギターによるものは今現在でも入手しやすくなっています。
スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する