中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

クラシック・ギター名曲ランキング

<第19位>  ギターのための12の歌 ~12の歌・地球は歌っている (武満徹)

 ロンドンデリーの歌、 オーバー・ザ・レインボー、 サマー・タイム、 早春譜、 失われた恋、 星の世界、 シークレット・ラブ、 ヒア・ゼア・アンド・エブリウェア、 ミッシェル、 ヘイ・ジュード、 イエスタディ、 インターナショナル、




これもちょっと反則ぽいが

 この順位のセレクションも12曲まとめてだとか、本来クラシック・ギターの曲でないとか、やや反則気味ですが、少なくとも今現在ではしっかりとクラシック・ギタリストのレパートリーとして定着していて、リサイタルなどでもしばしば耳にしますので、このランキングの上位を得る権利はあるのではと思います。

 また今回のランキングは音楽的内容よりも知名度や演奏頻度を重視したものではありますが、この曲集はオリジナル作品ではないがギター曲として完成されているといった点は十分に認められているでしょう。


日本が世界に誇る20世紀の作曲家

 日本が世界に誇る20世紀の作曲家、武満徹(1930~1996)氏のギターのための作品としては、「フォリオス」、「すべては薄明の中に」など優れた作品がありますが、演奏される機会としては現在この「12の歌」が最も多くなっています。


IMG_0001_201404172348234ab.jpg
1977年の出版 1曲ずつピースの形で出ていた



荘村清志さんが出版と同時に録音

 この曲集は荘村清志さんのために書かれたもので、1977年に全音出版から楽譜と、東芝から荘村さん演奏のLPが発売されています。1977年の出版では12曲個別にピースとして出版されていましたが、1996年(武満氏の亡くなった年)に12曲まとめた曲集として再発されました。


IMG_0003_201404172349152bb.jpg
1977年の荘村清志さんのLP。 この「12の歌」の初録音。 今年の3月に、荘村さんの初期の他の2枚のLPと3枚組の形でCDとして発売された(現在入手可能)


 その他、全12曲の録音としては、やはり日本人のものが多く、福田進一(1996年)、鈴木大介(1996年)、大萩康司(2008年)さんなどが録音しています。個別の曲としてはジョン・ウィリアムス、村治佳織さんなど、内外の多くのギタリストが録音してます。
 

IMG_0002_20140417234955fc3.jpg
1996年の出版 12曲まとめられている


親しみやすさと深い響き

 武満氏の編曲では、メロディはほぼ原曲通りになっていますが、和声、つまり響きは武満氏独特のものとなっていて、親しみやすさと同時に、音楽の深さも感じられる作品となっています。

 私自信では1980年頃「イエスタディ」、「ミッシェル」などを弾いてみたのですが、なかなか手に負えなかった記憶があります。武満氏も言っている通り、演奏は決して容易ではなく、メロディを気持ちを込めて歌わせながら、武満音楽独特の響きを出すためには、かなりの技術と感性が必要でしょう。しかし最近のギタリストはその両方を当然のごとくやっています。



柔軟な精神へのエチュード

「・・・・・ギタリストたちの固定した風景に、もう一つの窓から別の風景を開きたいと考えたのです。『12の歌』はそれぞれに高度な演奏技巧を必要としますが、それはまずなによりも柔軟な精神へのエチュードなのです。」と武満氏は1977年の出版の際に添え書きしています。

 ギターに精通した大作曲家の、この言葉は大きいと思います。今現在のギター界は武満氏の期待した方向に進んでいるのでしょうか。なお1996年版ではこれらの言葉は省かれています。
スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する