中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<手っ取り早いギター上達法  その7>    ギターの練習曲としては完璧なフェルナンド・ソルのエチュードのみを練習する



多くのギタリストが言っている

 19世紀初頭のスペイン出身の大ギタリスト、フェルナンド・ソルの練習曲は、ギターの練習曲として王道中の王道。 ギターの上達を目指す人なら必ずこの練習曲を学ばなければならない。 このことはセゴヴィアをはじめ、多くのギタリスト、いや、ほとんどのギタリストが言っている。

 手っ取り早くギターが上手になりたいと思ったら、アランブラだの、アストゥリアスだの、有名曲、はやり曲、ポピュラー、J-ポップ・・・・  そんなシロウト受けする軟派な甘っちょろい曲を練習するのではなく、 王道中の王道のソルのエチュードのみを丹念に、心を込めて練習すればよい。 

2倍Fernando_Sor
     フェルナンド・ソル(1778~1839)


男は黙って

 ソルのエチュードは曲数にして約100曲ほどあるが、他人よりギターが上手になるためにはこの程度はやむを得ない。 それでも100曲程度だ、手っ取り早い上達法は、ついにこれで決まり!   男は黙ってソルのエチュード!   オース!   






 私の評価    ☆☆☆ 


神頼みと同レヴェル?

 え、 今度こそド本命の☆5つちゃうの?  じゃ何かい、☆3つ、てーことは”神頼み”程度ってーこと?  なめちゃいかんぜよ、泣く子も黙るギターのベートヴェン=フェルナンド・ソルを!   
 
 ・・・・・・・・ お怒り、ごもっとも。 なめるなんて、とんでもございません。 気に障ったところがあれば、平にご容赦!   ・・・・・ところで、この人何県人?




ソルの作品はクラシック音楽の伝統を一身に受けている

  「ソルの練習曲だけをやっていればよい」といったことは、実際に多くのギター教師がいっていることで、私自身も何度かこのことを聞いたことがあります。 確かにソルのエチュードは初心者のためのものでも、きちんとした和声法で作曲され、仮に技術的には簡単なものでも音楽的にはレヴェルの高いものとなっています。 

 また何といってもソルの音楽は古典派からロマン派にかけての音楽を正統的に踏襲したものとなっていて、典型的なクラシック音楽となっています。 したがって、ソルのエチュードを学ぶことにより、クラシック音楽とは何かと言ったことを学ぶことは出来ると思います。



ダイエットの時と同じように

 しかしここまで私の記事を読んでいただいた読者ならお分かりと思いますが、「・・・のみを」と言ったように限定した練習法は良くないと言ったことは何度か言っていると思います、これが私の基本的な考え方です。 ダイエットの時と同じように。 

 この方法をお薦め出来ないのはソルのエチュードに問題があるのではありません。 これが「カルカッシのエチュード」でも、「コストのエチュード」でも、また「タレガの作品」といったものでも「・・・のみを」といった段階でよい方法とは言えなくなります。



限られた情報、技術では上達出来ない

 ともかく「限られた情報」、 「限られた技術」では効率的な上達は望めません。 私自身10歳頃からギターを弾き始めましたが、18歳になるまで非常に限られた情報(ほとんど無に等しい)の中でギターを弾いていたので、そのことがいかに上達を妨げるかということを身をもって感じました。



一定期間という限定であれば

 しかしある一定期間、なおかつそれを実行するのに最も適した時期に、優れた指導者のもとでソルのエチュードのみに重点を置いて練習するといったことは、決して悪くないでしょう。 あるはぜひとも必要なことかも知れません。 そう言った訳であまり推奨はできませんが、☆3つということで、私としては結構高く評価したつもりです。

 若干言い回しの違いかもしれませんが、「最も適切な時期にソルのエチュードを優れた指導者について、丹念に学ぶ」 といったことであれば、問題なく☆5つとなるでしょう。






<ソルのエチュードの取説>

 ソルの練習曲は確かに音楽的に優れていますが、それだけに教材としての用い方には十分配慮が必要だと思います。 以下にソルの練習曲の用い方について、私の考えや、これまで教室で実践してきたことについてお話します。

  ソルの練習曲には「作品60」、「作品35」、「作品31」など比較的易しいものもあり、いずれも最初の2~3曲は単旋律の練習となっています。 したがって、全くの初心者でも練習できるようにはなっていますが、しかしソルの単旋律曲は、例え単旋律であっても和声的に出来ています。

 これを練習したことのある人はおわかりと思いますが、単旋律のわりには結構弾きにくいものになっています。 少なくともこの練習曲でギターを全く弾いたことがない人が、ポジションを覚えたり、発音練習するのは適切ではありません。



最初は他の教材で始めるべき

 その他のソルの比較的やさしい練習曲でも、やや複雑になっているものが多く、アルペジオや、スラー奏法などの単純な指のトレーニングとして用いることには向きません。 やはり全くのゼロからギターを始める場合には、もっと平易に書かれた他の教材を用いるべきでしょう。

 ギターを始めるにあたって、最も必要なのは音階練習や、単旋律の練習だと思いますが、次に簡単な和音、アルペジオの練習となるでしょう。 さらに簡単な独奏曲や、ギターのための練習曲ととなるでしょうが、この際にもソルのエチュードではなく、カルリやカルカッシなどの平易なエチュードがよいでしょう。 やはりカルリやカルカッシのエチュードは基本的なトレーニングに適しています。



一通りの基本が出来てから 「作品60」、「作品35」、「作品31」のエチュード

 ギター上達の進度にはかなり個人差がありますが、比較的順調に進んでいる人でもソルの「作品60=25曲」、「作品35=24曲」、「作品31=24曲」などに取り組むには、少なくともギターを始めてから3年くらいは必要で、基本的な演奏の仕方や譜面の読み方など、ギター演奏に関する一通りのことが出来るようになってからがよいと思います。 



出来れば和声法も学びたい

 ソルのエチュードの練習には、どうしても和声法の習得が必要で、出来れば同時に和声法も学びたいところです。 確かに現実的にギター愛好者が和声法をちゃんと学ぶのは難しい点もありますが、基本的なことのみであれば、ある程度独学でも学べるので、意欲のある方は是非やってみて下さい。

 これらのソルのエチュードを学んだら、ギターのための小品や名曲など比較的易しいものから、ある程度難しいものまでいろいろ弾いてみて下さい。 クラシック・ギターのレパートリーとしては16世紀~20世紀くらいまであるので、出来れば各時代の曲を一通り弾いていただきたいと思います。



最後の仕上げとして

 そして一通りのギターの作品が弾けるようになったら、改めて最後の仕上げとしてソルの「作品6」、「作品29」などの練習曲に取り組むとよいでしょう。  これらの曲は技術的にも、音楽的にもかなり難しいものになっていて、確かにこれらの曲がちゃんと弾ければ、技術、音楽性ともかなり身に付いたといえるでしょう。 

 また「作品6」、「作品35」、「作品31」など、以前に練習した曲を復習してみるのもよいと思います。 かつてよりもずっと音楽的に演奏出来るようになっているのではないかと思います。 ここまでくればあなたも立派な上級者、あとはお好きな曲をどんどん弾いてください。  ・・・・・先がちょっと長くなってしまったかも知れませんが、人生はそれほど短くないと思いますので・・・・・
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