中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<音階練習の仕方 5>


アルアイレ奏法での練習


独奏の場合、圧倒的にアルアイレ奏法の方が多い

 これまで右手は基本的にアポヤンド奏法使用ということで話を進めてきました。 アポヤンド奏法はアルアイレ奏法に比較し、単音の場合、弾き易く、確実にしっかりした音が出しやすいので、まずはこのアポヤンド奏法から始めるほうが合理的なのは前述のとおりです。 また一般的にも 「音階=アポヤンド奏法」 というイメージもあるでしょう。

 しかし実際の独奏曲では圧倒的にアルアイレ奏法で弾くことが多く、アポヤンド奏法弾く音はかなり限定されます。 そこでアルアイレ奏法での音階練習はたいへん現実的なのですが、アルアイレ奏法は一般にアポヤンド奏法に比べて音が細く、不安定になるといった欠点もあります。
 


欠点は克服しなければならない

 もちろんこれをこ克服しなければギターは上手になれません。 特に最近の優れたプロのギタリストは豊な音から繊細な音までアルアイレ奏法のみで自在に出すことが出来ます。 またそうでなければ現代のプロ・ギタリストは務まらないでしょう。 そこで今回はアルアイレ奏法で美しく、大きな音を、しかも安定して出す方法についての話をします。



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人差し指で①弦をアルイレ奏法で弾くところ。 爪が弦にあたる部分や、角度などはアポヤンド奏法の場合とほぼ同じだが、大きくて柔らかい音を出した場合は、アポヤンド奏法よりもさらに弦に斜めになるようにする。 また手のひら全体をなるべく①弦に近づけるのも重要。



角度などはアポヤンドと同じだが

 上の写真は①弦をアルアイレで弾くところ(弦を弾く直前)です。 爪が弦にあたる部分、角度などは基本的にアポヤンド奏法の場合と同じですが、アルアイレ奏法で強く弾こうとすると、普通細くて硬い音になってしまいます。 それを避けて、大きくても柔らかく美しい音を出すには爪をさらに弦に対して斜めにする(指を弦に対して平行に近くする)とよいでしょう。

 また当ブログでも何度か書いたとおり、弦を”しっかりと掴んでから弾く” つまり弦を離れた位置から”叩く”ように弾くのではなく、一旦爪と指先が弦に触れてから弾くようにします。



手のひら全体を弾きたい弦に近づけるのが重要!

 また、アルアイレ奏法の場合、特に重要なのは”手のひら全体”をなるべく弾きたい弦(この場合①弦)に近くするということです。 手が弦から離れるということは指の関節がやや伸びた状態になるということで、これでは十分に弾く力を弦に伝えられません。 またこの状態で強く弾こうとすると隣の弦まで弾いてしまうことになります。 

 また手が弦から離れれば、当然それだけ指先のコントロールが悪くなり、”空振り”なども増えてしますし、また手のひらの上下動が大きくなってしまいます。 このような弾き方の場合、特に緊張した場では指が震えたり、不安定になり、思うように弾けなくなることもあります。



レッスンの際にもよく言っていることだが

 こうしたことは、私の教室でも常に言っているのですが、実際にはこれが出来ない人はかなり多く、その原因としては、手が弦に近いと窮屈になり、弾きにくく感じる人が多いからだろうと思います。



近めのボールはホームランにしやすい?

 プロ野球の大打者はインコースの体に当たりそうなボールを、腕をうまく折りたたんでしっかりとバットの芯にあて、ホームランに出来るのだそうです(もちろん聞きかじった話ですが)。 普通の人では、体に近いとこのボールを打とうとすると、窮屈になってバットが降りにくく、空振りか、バットの根本に当ててしまうでしょう。

 しかし体に近いボールというのはバットが振れさえすれば、当てやすく、また回転力も付くのでボールもよく飛び、当たった場合はホームランにはなりやすいのでしょう。 もっとも当てられたとしても普通はファウルになってしまう訳ですが、それをホームランにするのが大打者なのでしょう。

 それとこのアルアイレ奏法の件とはよく似ていると思います。 手を弦に近づけると確かにちょっと弾きにくく感じますが、近いところのほうが力が入りやすく、また弦を確実に捉えられます。 他の弦も一緒に弾いてしまうことまなく、また弦を掴みそこなうことも少なくなります。



実は私もアルアイレ奏法が上手く出来なかった

 実は私は比較的最近までアルアイレ奏法が下手で、コンサートなどではよく空振りしたり、音が細くなってしまい、したがって、重要な音はほとんどアポヤンド奏法を使っていました。 

 いろいろ試行錯誤した結果、最近(10数年くらい前から)このようなことを心がけるようになり、かなり改善され、今ではある程度アルアイレ奏法でも安定し、重厚な音も出せるようになりました。 また一時期ステージでは思うように弾けないこともありましたが(右指が不安定になって)、それもかなり改善されたと思います。




低音の付いた音階練習

 なお、アルアイレ奏法の音階練習としては、下のような低音を伴うものの練習も非常に重要でしょう。 これはかなり実践的な練習です。



F.カルリの「ワルツと変奏」

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F.カルリの「ニ長調のワルツと変奏」の第2変奏。 左右どちらの指にもたいへんよい練習で、特に時間をかけて練習したい曲。



M.ジュリアーニのエチュード

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M.ジュリアーニの付点音符の練習曲だが、右手の練習にも良い。 上下ともにクリヤーで美しい音、なおかつ付点音符のリズムを切れの良く刻めればかなりのもの。



M.カルカッシの「25のエチュド集」より

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カルカッシの「25の練習曲集」の第14番。 これを速めのテンポでクリヤー、かつレガート、さらに美しい音で弾ければ上級者(抑揚なども付けられればさらによい)。




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