中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

パク・キュヒ ギター・リサイタル


 昨日(9月15日) 日立市シビックセンター音楽ホールでパク・キュヒさんのリサイタルを聴きました。 最近話題のギタリストなので、皆さんもご存じかも知れません。 キュヒさんは韓国生まれだそうですが、日本での生活も長く、ギターも日本で学んだそうです。



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 そういえば15年くらい前だったか、都内でたまたま彼女がレッスンを受けているところに居合わせた記憶があります。見た感じでは小学生低学年といった感じでしたが、実際はもっと年上だったのかも知れません。 その時、いずれは優れたギタリストになるのではと思いました。


今日は風邪気味の人が

 スカルラッティの3つのソナタからこの日のリサイタルが始まりましたが、このシビック・ホールはギターのリサイタルを聴くには、やや大きすぎ、ちょっと音が遠いかなといった感じがし、またどうも今日は風邪気味の人が多いようで、あちこちからそうした音が聞こえてきます。
 
 しかしそれも最初のうちだけで曲が進むにつれてかなりクリヤーな音に聴こえてきます。 また咳の音もいつの間に家か聞こえなくなり、集中して聴くことが出来るようになりました。 キュヒさんの音はたいへんクリヤーで美しく、また音色の変化も豊かです。



完璧にコントロールされたスカルラッティは美しい

 音楽的にも技術的にも完璧にコントロールされていて、プログラムとしては指ならし的に置かれた曲かも知れませんが、この日の演奏の中で最も優れたものの一つではないかと思いました。 リピートは省略していたようで、やや手短に終わってしまった感じですが、フル・リピートでもよかったかな。



どの変奏も後半に向かってクレシェンド

 美しく演奏し終えたスカルラッティに比べて、ソルの「魔笛の主題による変奏曲」では、各変奏とも次第に盛り上がるように演奏し、情熱を感じる演奏になっていました。 普通押さえ気味に弾かれる短調の第2変奏は力強く、明るい第3変奏は音量をやや落とし、軽めに弾いていたのが印象的でした。



あまり引きずらない?

 バリオスの「フリア・フロリダ」は、譜面上ではメロディが主に低音弦のハイポジション使用になっていて、また急に弦やポジションが変わったりでちょっと弾きにくく、特に主旋律をつなぐのが難しくなっています。 その関係で上手く弾かないと主旋律が行方不明になったりしてしまうこともあります。

 キュヒさんはそうしたものをロー・ポジションを主とした運指に変え、たいへんわかりやすく、すっきりとした演奏になっています。  ・・・・・・・余計なことだが基本的には恋の歌なので、もっと不条理な面があっても  ・・・・・いや最近の若い女性はあまり引きずらないのでしょう。

 同じバリオスの「ワルツ第3番」は、部分的には一般的に出回っている譜面とあまり違いはないのですが、繰り返しの順番など、ちょっと変わっています。 「大聖堂」も一般的な版を使用しているようですが、第3楽章はかなり速く、力強い演奏でした。



やはりトレモロは美しい

 前半の最後は「最後のトレモロ」で締めくくられれました。 最近の若いギタリストの多くは、トレモロ奏法をたいへん美しく弾きますが、キュヒさんもその一人でしょう。 よく聴けば速めのテンポで演奏しているのでしょうが、聴いている感じではその速さはあまり感じられません。 それだけ美しいのでしょう。 40年くらい前だったら、こんなに美しくトレモロを弾く人はあまりいませんでしたね。



小指が外側に曲がる!

 前にキュヒさんの演奏をテレビで見たことがありますが、 体も小さいが、手も小さい。 よくそんな手ででギターが弾けるなと思うくらいです。 しかしキュヒさんの左小指はなんと外側に曲がる! なるほど、これなら手が小さくてもあまり困らないなと思いました。

 私のブログでは今現在「手が小さい」というタイトルで記事を書いていますが、手が小さくても指の関節が柔らかければ全く問題はないといった良い例かも知れません。 キュヒさんはその小さな手で、運指などの変更もなく、しっかりと音を出しています。



ヒナステラのソナタはたいへん楽しめた

 後半のプログラムは「アランブラの想い出」、ジスモンチの2曲、ヴィラ=ロボスの3曲、 そしてヒナステラの「ソナタ」となっていました。 この中でジスモンチとヴィラ=ロボスの曲は最近リリースされたCDからのようです。

 後半のプログラムの中では、何といっても最後のヒナステラが最も印象深ったと思います。 アルゼンチンを代表する作曲家、アルベルト・ヒナステラのギターの作品はこの曲1曲しかありませんが、優れたギターの作品の一つと言えるでしょう。

 この曲はギターの様々な演奏技法が用いられ、どう聴いてもギタリストの作品にしか聴こえませんが、ヒナステラはギタリストところか、全くギターが弾けないそうです。 ギターのことを大変よく研究したのでしょうが、基本的には想像力で作品を書いたのでしょう、恐れ入ります。 4楽章形式のそれなりに長い曲なのですが、キュヒさんの演奏では全く長さを感じることもなく、とても楽しめました。



騙されてはいけない!

 キュヒさんはヴィジュアル的には最近の韓流ポップ・アイドルと言った感じですが、たいへん硬派なところもあるのでしょう。見た目も声もかわいいが、それに騙されてはいけない!
 
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