中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

プログラムの作り方




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この曲、なんで入っているの?
 
 さて、当ブログを読んでいる人はおそらくギターのコンサートなどには時々出かけているのではないかと思います。 コンサート会場でプログラムを受け取って、「そういえば、今日はこんな曲を弾くんっだったな」と思い出すことになりますね。 そのプログラムが自分の聴きたい曲が多く含まれている場合もあれば、そうでない場合もある。 

 その時 「それにしても何でこのギタリスト、今日はこんなプログラムにしたんだろう? この曲あまり面白くなさそうだけどなんで入っているんだろう。 これ聴きたいっていう人いるのかな?」 なんて思う時ありますよね、 今日はそんな疑問にお答えしましょう。 ・・・・・・・あれ? Q&Aシリーズは終わったのでは?  まあ、まあ、そういったことはとりあえず置いておいて・・・・・



クラシック・ギター・リサイタルのプログラムの作り方

 ギターのコンサートと言ってもいろいろありますが、ここではクラシック・ギターの独奏の演奏会で、複数の人が弾くのではなく、一人のギタリストによるギター独奏の演奏会と言うことにしましょう。 こういったものを一般に ”リサイタル=独奏会” と呼びます。 



野球の打順のようなもの

 プログラムの作り方、例えて言えば野球の打順みたいなものでしょうか。 1番バッターは選球眼がよく出塁率が高い、さらに足が速く盗塁も狙える選手。 2番バッターは器用で、バントやヒット・エンドランが得意な選手。

 3番バッターは・・・・・  とそれぞれ役割があり、それに沿った選手を監督は起用するわけです。 どこぞの球団のようにおカネにものを言わせて4番バッターばかりを8人並べてもあまり良い結果は出ないわけですね。



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プログラムに載せる曲は

 そう言った訳で、ギター・リサイタルのプログラムに載せられる曲を、その役割りなどにに応じて区分するとだいたい下のようになるでしょうか。


① そのギタリストが弾きたいと思っている曲

② 聴衆の好みに合う曲

③ リサイタルの冒頭で弾く曲

④ つなぎの役割のある曲

⑤ リサイタルの最後に弾く曲

⑥ 練習しなくても確実に弾ける曲

⑦ プログラムの前半向きの曲

⑧ プログラムの後半向きの曲




例えを間違えたかな? 料理に例えた方が・・・・

 だいたいこんなところでしょうか。 ①の 「ギタリストが弾きたい曲」 というのはそのリサイタルの中核となる曲で、料理で言えばメイン・ディッシュにあたるものです。

   ・・・・・・例えを間違えたかな、野球のオーダーよりも料理のフルコースに例えた方がよかったですね、 オードブルがあり、スープがあって、魚料理、箸休め、肉料理・・・・・  こっちの方がぴったりとはまりますね、確かにリサイタルは料理のフルコースと近いところはあります。 ただしすべて”おまかせ”になりますが。




① はメインデッシュ、 ギタリストが勝負をかける曲

 ①は多少聴衆の好みに合わなかったとしても、そのギタリストが弾きたいと思ってプログラムに入れる曲ですが、 まずそのギタリストが文字通りその曲がとても好きで、ともかく弾いてみたいと思う曲。 また、ギターの作品として音楽的内容に優れている曲。 さらには他のギタリストがあまり弾かない斬新な曲、話題性のある曲など。  

 こうした曲はソナタや組曲など、大曲や難曲になることが多く、リサイタルの中ほどや最後の方に置かれます。 文字通り、そのギタリストが勝負をかける曲といえるでしょう。

 同じリサイタルでもギタリスト自身が企画するものと、マネージメント会社などから依頼される場合とがありますが、特にギタリスト自身が企画したリサイタルの場合、この①に含まれる曲のウエイトは高くなります。




② 大多数の人にアピール出来る曲は絶対に必要

 クラシック・ギターのリサイタルを聴きに来る人というのは、日頃からある程度クラシック・ギターに親しんでいる人が多いと思いますが、もちろんそうでない人も聴きに来ます。 そうでなければなかなか会場の席は埋まらないはずです。

 となると①のような大曲、難曲だけだど 「知らない曲ばかりで、さっぱりわからない。途中で帰りたくなった」 と言った人も続出してしまいます。 そこで②のような誰にでも、特にクラシック・ギターやクラシック音楽に詳しくない人にでも楽しめる曲、つまり ”ウケル” 曲もプログラムに取り込まないといけません。

 このカテゴリの曲目としては、「禁じられた遊び」や「アランブラの想い出」のようにクラシック・ギターでも非常に有名な曲。 あるいはポピュラー曲などの編曲(武満編などがよく演奏される)。  また「アストゥリアス」や「タンゴ・アン・スカイ」などのように華やかで、初めて聴く人にでも好印象を持ってもらえる曲もあります。

 置かれる場所(つまりオーダー)としてはリサイタルの最初。、前半の最後や、後半の最初などに置かれることが多く、もちろんアンコール曲として演奏される場合も多くあります。 




③ 誰しもリサイタルの冒頭でつまずきたくない

 ①のリサイタルの最初に置く曲というのも大事です。 ギタリストの中にはリサイタルの最初から全開で弾ける人もいますが、たいていの場合リサイタルの冒頭は、多少緊張したり、あるいは指が弦にうまくなじまなかったりするものです。

 やはり最初は”指馴らし” 的な曲で始め、徐々に調子を上げ、指も気持も暖まった頃、勝負の曲と行きたいものです。 そうしたわけでこの③の”リサイタルの冒頭で弾く曲”というのもギタリストとしては重要な曲となります。

 曲目としては当然技術的に易しい曲の方が良い訳ですが、多少難しくてもあまり速くない曲や、右手の難しくない曲も可能です。 また聴衆の事を考えて②の”聴衆の好みに合う曲” を冒頭に持ってくることもあります。

 また中にはいきなりジュリアーニの「大序曲」などから始めるギタリストもいますが、そのギタリストにとっては大序曲が一番 ”弾き易い” のでしょう。

 セゴヴィアなどはリサイタルの冒頭にルイス・ミランやダウランドなどルネサンス時代の作品を弾くことが多いです。 これは基本的に曲順を年代順にすると言うことが主な理由ですが、やはり弾きやすさと言った面も大きいでしょう。

 ギタリストなら誰しもリサイタルの冒頭でつまずきたくはないでしょう。 最初につまずくと誰しも 「今日は調子悪いな」 なんて思ってしまったりしてしまいます。 やはりリサイタルの最初はなるべく確実で、またリラックスして弾ける曲を置くことになるでしょう。 

 


④ 2番バッター的な曲もある

 プログラムの中にも”つなぎ”的な曲もあります。 このつなぎにもいろいろなものがありますが、大曲と大曲の間に”箸休め”的に置かれる曲。 また個性的な作品どうしの間の緩衝材的に置かれる曲。 時代順に演奏する場合に間を埋める曲など。 また、意外とチューニングの安定のために置かれる曲などというのもよくあります。

 プログラムも大曲、つまり4番バッターだけでは構成することは出来ず、やはり1番バッターや2番バッターも必要なのです。  ・・・・・あれ? また野球の話に戻ってしまった・・・
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