中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<ギター・リサイタルのプログラムの作り方 2>



プログラムに載せる曲は


① そのギタリストが弾きたいと思っている曲

② 聴衆の人の好みに合う曲

③ リサイタルの冒頭で弾く曲

④ つなぎの役割のある曲

⑤ リサイタルの最後に弾く曲 

⑥ 練習しなくても確実に弾ける曲

⑦ リサイタルの前半向きの曲

⑧ リサイタルの後半向きの曲





⑤ リサイタルの最後の曲は拍手が最も大きくなければならない

 リサイタルの最初の曲も大事ですが、それ以上に最後はもっと大事。 リサイタルが終わって、「とてもよいコンサートだったな」 とか 「もっと聴きたかったな」 と思ってもらわないといけません。

 また最後の曲の拍手が小さかったりするとギタリストも、 「今日の演奏はイマイチだったかな、 聴いている人も早く終わってくれないかな、なんて思っていたかも知れない」 なんて思うこともあります。


  かつては「アストゥリアス」などのアルベニスの曲が定番だったが、最近ではソナタなどの大曲、難曲も

 そこでリサイタルの最後には最も盛り上がる曲を持ってくるということが通例です。 具体的な曲として、かつては、アルベニスの「アストゥリアス」などが最後に弾かれる曲としては定番でした。

 最近では同じアルベニスの曲でも「セビージャ」や「朱色の塔」などの方がよく使われますが、アルベニスの曲が最後に弾かれるということは、最近でもよく行われます。

 また最近では技術の高いギタリストも多くなって、最後にテクニカルな難曲を持ってくることも多くなりました。 例としてはブローウェル、ポンセ、テデスコ、ヒナステラ、アントニオ・ホセなどの「ソナタ」。 ロドリーゴの「祈りと舞踏」、「3つのスペイン風小品」。 ローラン・ディアンス、 アストル・ピアソラ、 バリオスなどの作品といったところでしょうか。

 もちろん①の 「ギタリストが弾きたい曲」と重なることはよくあります。 また②の一般的に人気の高い曲を最後に弾くと言う手もありますが、そういった曲は普通アンコール曲として演奏します。






⑥ 練習の手を抜ける曲、 あるいはどんな場合でも確実に弾ける”鉄板”的な曲も必要

 手抜きのようですが、プログラムに載せる曲、すべての曲を丹念に練習するのは現実にはなかなか難しいものです。 たいていの場合、しっかり練習しなければならない曲と、ほれほど練習しなくてもよい曲と両方あることが多いでしょう。

 特に①の曲などを重点的に練習しようとすれば、やはりある程度練習が少なくても良い曲がプログラムにないといけないでしょう。


  ツアーなどを行うギタリストはこちらの方がメイン

 同じギタリストでも、音楽事務所主催などで全国、あるいは海外コンサート・ツアーを行うギタリストの場合は、この⑥の「練習ないしでも弾ける曲」の割合が多いでしょう。 コンサート・ツアーの場合、同じプログラム(複数の場合もあるが)で何度もリサイタルを行う訳ですから、結果的にそうなるでしょう。



  調子が悪い時の立ち直るきっかけにもなる

 またいつでも確実に弾ける曲も必要で、どの曲も 「弾いてみないと弾けるかどうかわからない」 では困ってしまいます。 それに仮にある曲があまり上手く弾けなかったとしてもこうして「絶対に弾ける」という曲を弾くことで、調子を戻したり、少なくともそのあとの曲にマイナスを引きずることが防げるでしょう。

 




⑦⑧  薄味のものは前半、 濃い味は後半

 フル・コース料理では、いきなりこってりとしたものから始まることはなく、オードブル、スープ、魚料理、肉料理といった順になっています。 リサイタルの場合でも最初から個性的な曲から始まることは少なく、 やはり前半ではやや”薄味”の曲から始め、”濃い味”の作品、つまり個性的な作品は後半で演奏する傾向にあります。



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魚料理は肉料理よりも先に出てくる



  大ざっぱに言えばロマン派以前が前半、 近、現代が後半

 ”薄味的” な曲とは、大ざっぱに言えば、ルネサンス、バロック作品、及び古典、ロマン派の作品で、 ”濃い味” の曲としては20世紀以降の作品と言えます。

 最近のギター・リサイタルでは現代ものの割合が増えていますので、近代、現代の作品でも前半に弾かれることも多くなりました。 そうした現代ものでも、前半に弾かれる場合はやはり”薄味”のものが好まれる傾向にあります。


  近現代ものでも”さっぱり系”の場合は前半向き

 薄味を言い換えれば”さっぱり系” とか”透明感” とかとなると思いますが、そうしたものの代表的なものとすれば印象派の作品でしょうか。 もっともギターには本当の印象派の作品はあまりないので、そういった傾向のある曲ということで、例としてはヴィラ・ロボス、 フランク・マルタン、 、ヘデリーコ・モンポウ、 武満徹の作品などが挙げられるでしょう。



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肉料理ははやり後の方でないと


  スペイン系はやはり味が濃い

 濃い味の代表としては、やはりスペイン系の作品でしょう、前述のアルベニス、グラナドス、ファリャ、モレーノ・トロバ、ホアキン・トゥリーナ、  ホアキン・ロドリーゴなどの作品をリサイタルの前半で弾くことはかなり少ないのではないかと思います。

 仮にバリオスなど、南米の作品とスペイン系の作品との構成によるリサイタルがあるとすると、大半のギタリストは前半に南米の曲、後半でスペインの曲を弾くのではないかと思います。 現代ものでもピアソラ、 ディアンス、 ブローウェル、 ドメニコーニといった作曲家の作品は、やはり後半に弾かれることが多いでしょう。 
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