中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

プログラムの作り方 3 

<私のリサイタル 1>



プログラムを作った本人が語る

 前回はプログラムに組み込む曲目の立ち位置や特徴などを8つに分けてお話しましたが、今回からは具体的にいくつかのギター・リサイタルのプログラムを例に挙げて、その組み立て方などを話してゆきます。

 まずは私の2008年のリサイタルのプログラムからですが、何といってもそのプログラムを作った本人が語るのが一番よいのではということで、この件から始めてゆき、その後でタレガやセゴヴィアなど著名なギタリストのプログラムの作り方について話してゆきます。

 ではその私の2008年のリサイタルのプログラムが次の通りです。





リサイタル




  <第1部>

パガニーニ : カンタービレ ニ長調 (中村俊三編曲)

パガニーニ : ソナタホ短調作品3-6 (中村俊三編曲)

ジュリアーニ : 大序曲

バッハ :  ガヴォット (チェロ組曲第6番より 中村俊三編曲)

バッハ : シャコンヌ (ヴァイオリンパルティータ第2番より 中村俊三編曲)



  <第2部>

アルベニス : アストゥリアス、  グラナダ、  カディス、  朱色の塔、  コルドバ、  セビージャ (中村俊三編曲)



  <アンコール曲>

リョベット : 盗賊の歌

ホセ・ビーニャス : 独創的幻想曲

タレガ : アデリータ



    2008年11月29日(土) ひたちなか市文化会館小ホール





相当気合の入ったプログラム

 だいぶ重厚なプログラムですね、と言うのもそれまでしばらくの間(10数年間)リサイタルを行ってなく久々のリサイタルだったので、相当気合の入ったプログラムになってしまいました。 このリサイタルのプログラムは構想5年といったもので、最終的にこのプログラムに決まるまでかなり紆余曲折がありました。

 それでもプログラムの後半をアルベニスの作品のみにすることや、その曲目はかなり早い段階で決まりましたが、 前半の方は当初の考えからはだいぶ違ったものになりました。 またすべての曲をギターのオリジナルの作品ではなく、編曲ものに統一しようかととも考えたのですが、最終的には「大序曲」のみギター・オリジナル作品となりました。



食べ合わせを考慮し

 前半のプロのほうでは、一時期ショパンやシューマン、あるいはモーツァルトの編曲作品なども考えていましたが、どうも「シャコンヌ」との”食べ合わせ”が悪い感じだったので、結局上記のようにパガニーニとジュリアーニの作品をシャコンヌなどのバッハの作品の前に置くようにしました。

 


・・・・個人的な反省も加えつつ

 それでは前回書いた8項目と照らし合わせながら、それぞれの曲がどういった意味合いで選ばれ、またその順で演奏されたのかを、プログラム曲順にお話してゆきましょう。   ・・・・・個人的な反省も加えつつ。




難し過ぎず、ありきたり過ぎず

 プログラムの最初に置いたのはパガニーニの2つの作品です。 ③で書いたようにリサイタル冒頭でつまずきたくはないので、なるべく無難な曲ということになるのですが、かといって”ありきたり”の曲で始めたくはなかった。

 と言った訳で、あまり難し過ぎず、またありきたり過ぎずといことで、最終的にパガニーニのヴァイオリンとギターのための「カンタービレ」をギター独奏に編曲して演奏することにしました。




易しいけど難しい

 原曲はヴァイオリンによりメロディを美しく歌わせる曲で、ヴァイオリンの名曲の一つにもなっていると思いますが、これをギター独奏で弾くとなると、ある意味たいへん難しい。 技術的に難しいというより、この曲の美しさを出すのが難しい曲と言えるでしょう。 

 当日の演奏自体はそれなりにといったところですが、やはり 「よくわからない」 という声は聴かれました。 確かにこの曲をギター独奏で弾いた人は他にはあまりいないのではとは思いますが、それにちょっとこだわり過ぎたかも知れません。 ・・・・・前にも言った通り、一般にギタリストは誰も弾いたことのない曲を弾きたがる!
 



ソナタホ短調はなかなかギター向き

 2曲目の「ソナタホ短調」もヴァイオリンとギターのための曲ですが、こちらの方はマヌエル・バルエコなどギター独奏で演奏しているギタリストは他にもいます。 曲の前半はホ短調の美しいメロディで出来ていて、後半はホ長調の華やかな部分となっています。

 この曲はメロディもギター独奏向きで、また後半の華やかなパッセージもギターでも十分に映えます。 しかしその後半の華やかなパッセージはなかなか難しく、部分的には次の大序曲よりも難しいくらいです。 聴いた人には、「この曲はなかなか良かった」 と言ってもらいましたが、やはり後半のヴィルトーゾ的なパッセージは十分には弾ききれませんでした。



でも2番バッター向きではない

 しかしこの曲は、このリサイタルの前や後にも別のコンサートで演奏しているのですが、その時はまあまあ弾けていたので、この”2曲目”という位置では難しいと言うことなのでしょう。 つまりこの曲は”2番バッター”ではなく、あくまで”3番バッター”なのでしょう。 やはり打順が違うとよい結果はでないようです。



クリーン・ナップの登場

 と言ったわけで”3番バッター”の登場で、この後のシャコンヌとクリーン・ナップを組むジュリアーニの「大序曲」となります。 この曲は技術的にレヴェルが高く、また人気のある曲で、まさに主軸を担うバッターと言ってよいでしょう。

 しかし実はこの曲、プログラム入りしたのは全曲中最も遅く、パガニーニの2曲とバッハの曲の間を埋める曲はないかといろいろ考えた結果、スターティング・メンバーに入った曲です。 この曲は私が20代~30代の頃に練習していましたが、結局上手く弾けないのでコンサートなどでは弾かないままになっていた曲です。



プログラムの流れ的は最適

 このリサイタルの1年前くらいにとりあえず弾いてみたら、どうやら暗譜だけはしていました。 リスクは若干あるが、プラグラム的に見ればイタリアからドイツ、明るいものからシリアスなものといったようにたいへんすっきりする。

 といったわけで、クラシック・ギターを代表する名曲、難曲ですが、この曲を選んだ最大の理由はリサイタルの流れ、というか、”つじつま”上といったものです。 ちょっと贅沢な使い方をしてしまいました。



やっぱり”つなぎ”になってしまった?

 当日の演奏としては、特に大きなトラブルもなく、何となく”無難”に弾いたと言った感じでしたが、少なくともそれ以上ではないようです。 こうした曲で聴衆を楽しませるのは、やはり有り余ったテクニックが必要でしょう。   ・・・・え、 ”つなぎ”の役割は一応果たした?   チャンスで3番バッターがデット・ボールで出塁するようなもの?   言っていることがよくわからない。

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