中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

シャコンヌってどんな曲?




17世紀初頭に新大陸から

 まずは 「シャコンヌ」とはどんな曲か? ということから始めましょう。 いろいろな資料などからすると、シャコンヌは17世紀の初頭に新大陸からスペインに渡った舞曲だそうで、その由来した地域がメキシコとも、ペルーとも言われています。



シャコンヌ禁止令?

 スペインでは「チャコーナ(chacona)」と呼ばれますが、スペインに渡った当初はギター伴奏による、歌を伴う踊りだったそうで、その歌詞も、庶民的なもの、時にはあまり上品ではないものだったようです。 そのためスペインでは一時期、シャコンヌを歌ったり、踊ったりすることが禁止になったこともあるそうです。



最後のリフレーン部分が

 チャコーナはスペインに渡るとすぐに、イタリア、及びフランスに伝わります。 イタリアでは「ciaccona」と綴られますが、イタリアではチャコーナは定まった低音旋律を持つ形となり、その後私たちが認識しているような 「シャコンヌ(チャコーナ) = 3拍子の舞曲で、低音旋律を主題とする変奏曲」 となって行きました。

 チャコーナが定まった低音を持つようになった由来としては、スペインでのチャコーナが、歌の最後のほうで、定まった和声進行(Ⅰ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅴ)に乗せてリフレーンが行われ、そのリフレーン部分のみをイタリアのチャコーナが受け継いだからのようです。

 イタリアでのチャコーナはその由来からして、明るく軽快なものが多く、短調で作曲されることはあまりなかったそうです。



フランスでは

 チャコーナは時をほぼ同じくして、フランスへも伝わる訳ですが、この17世紀初頭というのは、まさにフランス・バロック・リュートの最盛期と言ったところで、シャコンヌ(フランスではシャコンヌ《chaconne》)はリュート音楽と密接な関係があります。

 シャコンヌはチャコーナと同じく定まった低音主題(バッソ・オスティナート)を持つ形のものもありますが、それとは全く違ったロンド形式のシャコンヌも存在するようになります。 またフランスではシャコンヌは軽快な音楽からゆっくりで、しっとりとしたものが多く、短調で作曲されることも少なくなかったようです。 



バッハはシャコンヌではなくチャコーナを作曲した

 ドイツには、イタリア風の「チャコーナ」が伝わるようになったようで、バッハも“chaconnne”ではなく “ciaccona” つまり「シャコンヌ」ではなく、「チャコーナ」と題しています。 ドイツの有名なリューティストのS.L,ヴァイスも同様に“ciaccona”と綴っています。

 以上のことからして、ドイツの音楽家はイタリア風のチャコーナ、つまり低音主題の変奏曲を作曲することになりますが、フランスの影響も受け、短調で、ゆっくりとしたチャコーナも作曲しています。 



似たものどうし

 ところで、シャコンヌと似た曲にパッサカリアという曲があります。パッサカリアも「3拍子のゆっくりとした舞曲で、低音に主題を持つ変奏曲」ということで、非常に区別がしにくいものです。

 その由来としては全く別物で、パッサカリアはヨーロッパ起源で、舞踏的な性格はあまりなかったそうです。しかし結果的にはシャコンヌの同様に低音主題の変奏曲となり、17世紀には当時の音楽理論家にもその明確な区別が付けられなくなってしまったようです。



当時の理論家でもその違いがよくわからなかった

 18世紀の音楽理論書を書いたマッテゾンや、クヴァンツもシャコンヌとパッサカリアは明確に区別出来ないと言い、他の資料にも、シャコンヌの方がやや速めに演奏されるとか、全く逆にパッサカリアの方が速いとか、全く逆の事が書かれてあり、またどちらが低音主題を厳格に守るか、なども様々な意見があるようです。

 最新の音楽乃友社の辞典では「パッサカリアの方が低音主題を持つ」と書いてありますが、これはあくまでバッハの作品について言えることと、考えた方がよさそうです。

 ただ、いろいろな作品を見たり、聴いたりした限りでは、パッサカリアの方が短調になる傾向が強く、シャコンヌのほうが長調になる傾向があるようです。



本当は明るかったシャコンヌ

 私たちは、シャコンヌというと、どうしてもバッハのシャコンヌを念頭に置いてしまいがちですから、暗く、重厚なイメージをしてしまうのですが、一般的には、明るく、リラックスした感じの曲が多いのは確かです。

 次回はそうしたバッハ以外のシャコンヌについて触れてゆきます
スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する