中村俊三 ブログ

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<バッハ:シャコンヌ再考 3  いろいろなシャコンヌ 1>



まずは、リュートのために 書かれたシャコンヌから

 今回から、バッハ以外の作曲者によって作曲されたシャコンヌについて、具体的に書いてゆきます。 シャコンヌと言えば、まずはリュートとなると思いますので、リュートのために書かれたシャコンヌの話から始めます。



バロック時代初期のイタリア

 最初は、16世紀後半から17世紀初頭にかけて活動したイタリアのリュート奏者、アレッサンドロ・ピッチニーニ(Alessandro Piccinini 1566~1638)の作品です。 時代的にはルネサンス時代からバロック時代への移行期となりますが、まさにシャコンヌがイタリアに渡った当初と言うことになるでしょう。



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ブリラント・レーヴェルの「クラシック・ギター・コレクション (25枚組)」。  ピッチニーニの主要な作品が、2枚のCDに収められている。 この中にチャコーナは2曲ある。



アレッサンドロ・ピッチニーニ

 ピッチニーニはリュートの名手として当時たいへん評価の高かった人ですが、その主な作品は2巻のリュート曲集として、生前、および没後に出版されました。 それらはブリラント・レーヴェルの25枚組のCDアルバム「クラシック・ギター・コレクション」で聴くことが出来ます。 演奏はLuciano Continiによるものです。



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キタローネ(テオルボ)  アーチリュートも見た目はよく似ている



アーチリュートとキタローネ(テオルボ

 バロック・リュートは、通常11、または13コース(1、2コースは単弦で、他は複弦)ですが、ピッチニーニは「アーチ・リュート」と呼ばれる14コースのリュートと、通奏低音用のリュートであるキタローネ(テオルボとも呼ばれる)を使用していました。

 このCDも、そのアーチ・リュートとキタローネによる演奏となっています。 このCDで聴くピッチニーニの作品は、同じバロック・リュートでも、フランスのリューティストや、ヴァイスなどとはかなり違い、またほぼ同時代のイギリスのダウランドなどとも異なる作風です。 



独特のニュアンス

 ピッチニーニの作品は、高い音域や、半音階なども使用し、独特のニュアンスが感じられ、今現在はダウランド、ヴァイスなどに比べればあまり演奏されていませんが、なかなか面白いものです。 曲としてはルネサンス時代のガリャルダやコレンタ、 バロック時代の音楽のトッカータ、チャコーナ、 両時代に共通するリチェルカーレと、 曲名を見るだけでも両時代の移行期と言うことがわかります



短調と長調のチャコーナ

 このアルバムにはピッチニーニの二つのチャコーナが収録されていますが、そのうちの1曲(Ciaccona Marionaリュートで演奏されている)は短調で出来ているようで、テンポもやや遅めに演奏されています。 低音主題は変奏ごとに変化していて、単純な繰り返しではありません。 もう1曲はキタローネで演奏されていて、こちらは明るく、テンポもやや速めで、前回書いた通りのチャコーナとなっています。 



ピッチニーニ同様に高く評価されたカプスベルガー

 同時代のイタリアで、ピッチニーニ同様高く評価されていたリューティストに、ジョバンニ・ジローラモ・カプスベルガー(Giovanni girolamo Kapsberger 1580~1651) がいます。 チャコーナは収録されていませんが、そのCDを紹介しておきましょう。


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17世紀初頭のイタリアで活動したリューティスト、カプスベルガーの作品を収めたCD。 演奏はブルガリア出身の Yavor Genow。



 このCDに収録されている曲は、すべてトッカータ、コレンタ、ガリャルダの3種類の曲となっていて、コレンタ、ガリャルダは確かにルネサンス風(ダウランドの作品のように)、トッカータはバロック風に聴こえます。 なお写真では通常のバロック・リュートを手にしていますが、このCDの演奏はアーチ・リュートとキタローネによるものとなっています。


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