中村俊三 ブログ

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いろいろなシャコンヌ 4 ~ドイツのリュート音楽のその後




バッハとヴァイスで終わったわけではない

 私たちのイメージからすると、バッハとヴァイスをもって、ドイツのリュート音楽、いや、リュート音楽そのものが終わりを告げたといった感じがいます。 しかし1750年、つまりバッハとヴァイスがこの世を去ってからも、まだドイツのリュート音楽は、本当に終わったわけではありません。 少なくともその後50年間は、ヨーロッパの中で唯一ドイツではリュートは愛好され続け、新たな作品も生まれています。




バッハと親しかったヴァイラウフに師事したファルケンハーゲン

 まず、Adam Falckenhagen(1697~1754)は、バッハのリュートのための作品をタブラチュアに書き換えたリューティスト、ヴァイラウフに師事したとされていますが、バイロイトの宮廷でリューティストとして活動しました。 「6つのリュートのためのソナタ作品1」、「6つのリュートのためのパルティータ作品2」などを残しています。


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ファルケンハーゲンの「6つのリュートのためのソナタ」 それぞれ3楽章構成のソナタとなっている。 演奏 Alberto Crugnola


 バッハやヴァイスと時代的にはあまり変わりませんが、作風はかなり違い、古典派に近くなっています。 そのせいか、聴いていると何だかギターぽく聴こえてきます。




ファルケンハーゲンの弟子で、同様にバイロイト宮廷で活動したハーゲン

 Joachim Bernhard Hagen(1720~1787)は、ファルケンハーゲンの弟子で、師と同じくバイロイトの宮廷で活動しました。 時代はすでに前古典派といえ、バッハやヴァイスなどのドイツ・バロック音楽からはさらに遠くなり、いっそう古典派的な音楽となってゆきます。 リュートよる古典的な音楽はあまり聴きなれていないせいか、ちょっと不思議な感じし、前述のとおり、なんだかギターぽく聴こえます。
 

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「バイロイトの宮廷」 ファルケンハーゲン、ハーゲン、シャイトラーのリュートのための作品が収録されている。  演奏 Migue Yisraell



最後のリューティスト? クリスティアン・ゴットリープ・シャイトラー

 私の知る限りでは、最後のリュート奏者はCristian Gottlib Scheidler(1752~1815) ではないかと思います。 シャイトラーといえば、私たちにとっては横尾幸弘氏の二重奏曲集の載っている「ソナタニ長調」なじみが深いもので、私も何度か演奏したことがありす。 この曲は、元はリュートとヴァイオリン、またはフルートのための作品のようで、それを横尾氏がギター二重奏曲にアレンジしたものと思われます。

 上のCDでは、シャイトラー作曲の、「モーツァルトの『ドン・ジョバンニ』のテーマによる変奏曲」が収録されています。 変奏のしかたも、まるでジュリアーニかソルと言った感じです。 シャイトラーはハイドンよりも20歳年下で、モーツアルより4歳年上、ベートヴェンよりも12年ほど早く亡くなっています。



リュートの新たな可能性

 特に印象的な点として、この曲最後の方で、リュートの弦の多さを利用して、ハープように演奏している部分があります。 なかなか面白く、まさにリュートの新しい可能性が感じられます。 残念ながら、それを継承する人は現れず、あらたな可能性は萌芽のみに終わり、開花するまでにはいたりませんでした、




コハウトの協奏曲、ハイドンの室内楽

18世紀後半にウィーンでリューティストとして活動したK.Kohaut(1726~84)は「リュートと弦楽のための協奏曲ヘ長調」を残していて、ジュリアン・ブリームが1970年代に録音していました。 これはもう正真正銘、古典派の協奏曲となっています。


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ジュリアン・ブリームの1970年代の録音 ヴィヴァルディ、ヘンデル、コハウトの協奏曲が収録されている。


 ハイドンの初期の弦楽四重奏曲(作品2-2)など、ハイドンのいくつかの初期の室内楽が、リュートを含むものに編曲されている譜面が残されています。 同時代の編曲と考えられますが、編曲者は特定されていないようです。 ウィーンではこの時代でもリュートを愛好していた人たちが少なくなかったということでしょう。 




150年の眠りにつく

 19世紀に入ってからのリュートに関する情報はあまりありません。 16世紀、あるいはそれ以前から多くの人々に愛好され続けてきたリュートも、ついに永い眠りにつく時がきました。 

 再び目を覚ましたのは、20世紀の半ば頃と言え、その復興の先駆者としては、ヴァルター・ゲルビッヒ、 ジュリアン・ブリームなどが挙げられるでしょう。 この両者とも演奏したのはルネサンス・リュートの方で、バロック・リュートの功労者としては、、オイゲン・ミュラー・ドンボワ、 ミハエル・シェファーの名が挙げられます。


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