中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

バッハ:シャコンヌ再考 7   <いろいろなシャコンヌ 5>



ルイ・クープランのシャコンヌ ~リュート音楽を継承した

 この「シャコンヌ再考」の記事もやや久々となりましたが、今回からはリュート以外の楽器、および編成のために書かれたシャコンヌについて話してゆきます。 しかしシャコンヌがスペイン以外のヨーロッパの国、あるいは地方に広まった17世紀初頭、つまりバロック時代の始め頃は、器楽の中ではリュートが非常に大きな役割を果たしていて、特にチェンバロの音楽はリュート音楽を継承したものとなっています。


IMG_201508040848235ab.jpg



 そうしたもの代表例としてフランスのルイ・クープラン(Louis Couperin 1626~1661)が挙げられます。 ルイ・クープランはリューティストと両ゴーティエなどとともにフランス宮廷で活躍した音楽家で、クラブサン(チェンバロ)やオルガン曲などを残しました。 

 ちなみに、普通、クープランというとルイの甥にあたるフランソワ・クープラン(Francois Couperin 1668~1733)の方を言い、「神秘の障壁」や「夜鳴き鶯」などのクラブサンの有名な曲は、”大クープラン” と呼ばれたこのフランソワの作品です。



IMG_0001_20150804084905e1d.jpg
レオンハルトによるルイ・クープランの組曲集


変奏曲ではなく、ロンド形式になっている

 ルイ・クープランのクラブサンのための組曲は、同時代のリューティストの作品とかなり近く、その中にいくつかシャコンヌがありますが、これらは前にもちょっと触れましたが、変奏曲ではなく、ロンド形式的な作品になっています。 つまりドイツのケルナーやヴァイスなどのチャコーナとは全く別物ということです。


IMG_0003_20150802153618628.jpg
大クープランと呼ばれたフランソワ・クープランのクラブサン曲を収めたCD(演奏 Olivier Baumont)


IMG_0002_20150802153645723.jpg
ルイ・クープランのニ短調のシャコンヌ。 最初の8小節が何回か繰り返され、ロンド形式になっている。


 確かに、シャコンヌを舞曲として考えれば、変奏曲よりは、ロンド形式の方ほうが使い勝手がよいのでしょう。 変奏曲形式だと、自然に作曲者や演奏者の力量をアピールするものになる傾向があり、どちらかと言えば ”踊る音楽” というより、 ”聴く音楽” といった面が強くなるでしょう。



ドイツには伝わらなかった

 ドイツの音楽家たちは、いろいろな意味でフランスの音楽の影響を受けていますが、この ”ロンド形式のシャコンヌ” は誰も受け継がなかったようです。 つまりドイツの音楽家たちはシャコンヌを舞踏音楽と捉えたのではなく、あくまでも純粋器楽形式と考えたのでしょう。 もちろんその延長線上にバッハの ”チャコーナニ短調” があるわけです。



ルイ・クープランの曲はあまり聴かれないが

 ちなみに、このルイ・クープランのクラブサン曲はリュート音楽を踏襲しているといっても、やはりクラブサンはリュートよりも音域も高く、また制約の少ない。 したがって同時代のリュート音楽に比べて明るく、クリヤーで、耳になじみやすいのは確かです。

 またルイ・クープランの音楽はフランソワ・クープランに比べて、確かに古風な感じはしますが、底に流れている基本的なテイストは共通しているような気がします。 一般にあまり聞かれる音楽ではないのでしょうが、なかなか面白いです。

 音楽をあまり国籍で考えてはいけませんが、 こうして聴いてみると、ヴァイスやバッハの音楽がベートーヴェンやブラームスにつながり、両ゴーティエや両クープランの音楽がショパンやドビュッシーにつながってゆくのは、やはり自然なものと感じられます(ショパンはポーランド出身だが)。

スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する