中村俊三 ブログ

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<バッハ・シャコンヌ再考 19   バッハの無伴奏曲 8 >


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副呈示部はホ短調で終わり、2番目の喜遊部となる。 後半は属調の属音による保持低音部となる。




2番目の喜遊部から対呈示部へ

 平行調(イ短調)による副呈示部はホ短調に終止し、2回目の喜遊部となります。 この喜遊部の後半は「レ」の音、つまり属調の属音による保持低音部となっていて、最後はト長調で終止します。 この保持低音部もフーガ主題を基にしたものとなっています。




ここでも主題反転

 201小節からは、「al riverso」 と書かれているとおり、フーガ主題が上下反転され、対呈示部となります。 後半では”順”の主題と”逆”の主題が組み合わされる点は、第2番のソナタと同様です。 また主題をそのまま反転したわけではなく、最初の音程が2度から3度に変えられているとおり、音程関係は微修正されています。


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 この対呈示部はハ長調で終わり、ハ長調による3番目の喜遊部となります。


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最後のほうは属音による保持低音部となっていて、主調(ハ長調)への強い流れを示す。




フーガの場合でも調性的関係が最優先

 この喜遊部の最後は「ソ」、つまり属音による保持低音部となっています。 対呈示部からは属調(ト長調)から主調(ハ長調)へと、非常に強い流れがあるということになります。 

 フーガは基本的に旋律を組み合わせてゆく作曲技法だと思いますが、バッハの場合はここでも和声的、あるいは調性的関係が最優先されているといってよいでしょう。




最後に冒頭の主要呈示部が再現される

 最後に冒頭の主要呈示部が再現されますが、最初の8小節のみは冒頭のものとは対旋律の付け方が異なります。 同じ主題でも別の対旋律の付け方があるということでしょうか。


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最後の赤丸の「ソ」は普通ではありえないでは?

 

なぜこんなところに?

 9小節以降はまったく同じものですが、最後の和音には上声部に聴いた感じも見た感じも唐突に「ソ」が加えられています。 ヴァイオリンの奏法上、内声部には入れられなかったので、上声部に置いたのかもしれませんが、 音大でも和声法の授業ではありえないことかも。 よくわかりませんが、バッハはこんなことも楽しんでいたのかも知れません。




ギター向きで、意外と親しみやすいかも

 この無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番のフーガは、特に充実したものなので、最初から一通り見てきました。 このフーガは大変高度な作曲技法で作られていることは確かですが、同時にわかりやすい部分もあると思います。 意外と聞きやすい曲かも知れません。

 また譜面を見た限りでは、特に難しそうな点もなく、ハ長調ということもあってギターでも比較的弾きやすそうに見えます。 確かに長いことは長いのですが、特にアレンジしなくてもほぼそのままでも演奏できます。 根気のあるかたは是非やってみるとよいでしょう。



長らくお待たせしていますが

 さて、「バッハ・シャコンヌ再考」というタイトルのわりには、まだバッハのシャコンヌそのものの話には、まだ一言も触れていません。 でも、これまで一般的なシャコンヌとか、バッハの無伴奏曲など、バッハのシャコンヌの周辺的なことをずっとやってきた、つまり外堀を埋める作業に終始してきましたので、 いよいよ”本丸”ということになるのでしょう、バッハ・シャコンヌ・ファンの皆さま、本当にお待たせしました!

 ・・・・・・・しかし念には念を入れて、次回はこれまで書いてきたことをとりあえずまとめることにしましょう。 
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