中村俊三 ブログ

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<音楽基礎講座 on Blog>   速度標語  5



Andante(アンダンテ)



音楽辞典  :  「歩くandare」 から出た言葉で、アレグレットとアダージョの中間の速度を言う。 アンダンテが速い速度に属するか、遅い速度に属するかは意見が一致しておらず、したがって、ピウ・アンダンテ、メーノ・アンダンテ、モルトー・アンダンテなどの場合に解釈が異なる (andare) 

伊和辞典 :   ①行く  ②進む、歩く  ③達する、至る  ④(時間が)進む  ⑤進行する、はかどる 他


<例> 
モーツァルト : ピアノ協奏曲第21番 第2楽章「アンダンテ」
バッハ : 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番より「アンダンテ」
タレガ : ラグリマ            
ソル : 練習曲イ長調Op.6-12
ソル : アンダンテ・ラルゴ作品5
ソル : アンダンティーノ ニ長調作品2-3



片足が4分音符? それとも8分音符?

 ギター曲のほうで、最もアンダンテらしい曲の一つとして、ソルの 「練習曲イ長調作品6-12」 があります。 この練習曲は、セゴヴィア番号では14番で、ソルの練習曲の中でもたいへん人気があり、よく演奏されます。 確かに歩くような感じがしますが、この時、前にも言いました通り、4分音符1個が片足なのか、それとも8分音符が片足なのか、という問題があります。

 少なくとも、この曲を聴いた感じでは、両足で4分音符、つまり8分音符が片足のように聴こえます。 仮に4分音符1個が片足とすると、相当遅く歩いても4分音符=60、急ぎ足だと140を超えるのではないかと思います(歩き方で相当差があるが)。 

 8分音符が片足だとすると、ゆっくり歩くと30、速足で70くらいとなり、だいたいこの曲を演奏できる速度となります。 セゴヴィアはこの曲を、4分音符=68くらいで弾いていて、私の演奏もそれくらいだと思います。 とすれば、結論としては、片足が8分音符と解釈すべきなのか?



≪ ソル作曲 練習曲イ長調作品6-12 ≫


IMG_20151215225652ff2.jpg 確かに歩いている感じだが、その一歩は4分音符なのか? 8分音符なのか?


 本当に歩いている感じがしますね。 どちらかと言えば軽快な歩きと言った感じですが、これはあくまで8分音符が片足と思った場合です。 もし4分音符1個が片足と考えたら、相当ゆっくりした歩きですね。  こんな感じで・・・・・  でも考え事をしながらとか、悩みながらだったら、こんな風に歩くこともありますよね。 まあ、あり得なくもないか。




バッハのアンダンテでは

 さて次はバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番の「アンダンテ」です。 譜面は皆さんの手元にあると思いますが、これを先ほどのソルの練習曲と同じテンポ、つまり 4分音符=68 で弾いたら大変なことになりますね。 このあたり(32分音符のところ)など絶対に弾けないですよね!

 もちろん、この曲は8分音符を1拍としないと弾けませんし、落ち着いた感じも出ません。 実際に多くのヴァイオリニストも8分音符を60台で弾いています。 名盤とされているヘンリク・シェリング盤では64、やや速めに演奏する傾向のある ギドン・クレーメル も66くらいで演奏しています。

 ちょうどソルの練習曲の半分といったところです。 同じ歩きでも、こちらは物思いにふけりながらゆっくり歩く感じでしょう。 でも立ち止まらず、先に進んでゆく感じはあります。 私の演奏もだいたい同じくらいのテンポです。



≪ バッハ作曲 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調BWV1003より「アンダンテ」 ≫



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8分音符=60~70 くらいでないと弾けない




「アンダンテ・ラルゴ」という速度標語を使うのはソルだけ?

 アンダンテとされたギター曲はたくさんありますので、このアンダンテは念入りにやっておきましょう。 ソルは単にアンダンテではなく、「アンダンテ・ラルゴ」 といったように、ラルゴと組み合わせて使うことがたいへん多いです。 これはソル以外の音楽家はあまり用いないようで、音楽辞典などにも載っていません。

 ”アンダンテ風のラルゴ” なのか、”ラルゴ風のアンダンテ” なのかどっちなんだろうと悩むところですが、これは後者の ”ラルゴ風のアンダンテ」と解釈した方がよさそうです。 つまり ”遅いアンダンテ” と解釈すべきかも知れません。 遅いけれども、先に進んでゆく、そんな感じなのでしょう。

 有名な「魔笛の主題による変奏曲」の序奏もこの「アンダンテ・ラルゴ」で書かれていますが、ここでは美しい小品である「アンダンテ・ラルゴ作品5」を演奏しましょう。 この曲は私が高校生のころから弾いている曲で、個人的にも思い入れのある曲です。



≪ ソル作曲 アンダンテ・ラルゴ作品5 ≫ 


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 なかなかよい曲ですね、それなりに人気のある曲です。 今の私の演奏では、8分音符=72 くらいで弾いていますが、セゴヴィアはじっくりと、58くらいです。 ゆっくりなのは確かですが、それでも先に進んでゆく感じということで、私はこれくらいのテンポがよいと思います。




ソルのアンダンティーノ

 次は同じくソルのアンダイティーノです。 「アンダンティーノ」 とは 「アンダンテっぽい」 と言ったような表現で、 「アンダンテほど遅くなく」 と言った意味になります。 速めのアンダンテといったことでしょうか。 またソルの曲ですが、なかなかよい曲なので、「6つのディベルティメント 作品2」 からのアンダンティーノを聴いていただきましょう。

 ソルには、よく教材などに用いられる「アンダンティーノ ホ長調作品32-1」などもありますが、今日はこちらのアンダンティーノを聴いていただきましょう。



≪ ソル作曲 アンダンティーノ ニ短調作品2-3 ≫


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 私の演奏では4分音符=58~60 くらいで弾いていますが、セゴヴィアは56で弾いています。 数字上は先ほどのソルの練習曲より遅いですが、16分音符が多いので、それなりに軽快に聴こえ、やはり、「アンダンテ」ではなく「アンダンティーノ」として聴こえるのではないかと思います。 

 この曲を70~80くらいで弾くと、まず弾くのが難しいのと、聴いた感じも軽快どころか、かなり忙しく聴こえ、「アンダンティーノ」といいた感じにはならないでしょう。 因みに「ホ長調作品32-1」の方は 4分音符=70~80 くらいが適当でしょう。
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