中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<音楽基礎講座 on blog >  速度標語 9


Allegro(アレグロ)


Mauro_Giuliani_(1781-1829)_201512200912576b4.gif



ジュリアーニの大序曲

アレグロとされたギター曲はたくさんありますが、ギター演奏は、テンポの速い曲をたくさん書いた、マウロ・ジュリアーニの曲にしましょう。 ジュリアーニの曲としてはたいへん人気のある 「大序曲」 です。 この曲は序奏が「Andante Sostenute」、 主部が 「Allegro maesutoso」 となっています。

 ソステヌートは「なめらかに」と言った意味で、マエストーソは 「威厳を持って」 と言った意味です。 序奏は、2段目の低音に乗った16分音符を考えると、あまり速くは出来ず、私の場合、 4分音符=56 くらいです。



IMG_0004_2015122009202829e.jpg



 ほとんどのギタリストも、だいたいこれくらいのテンポでしょう。 中には、出だしは、やや速めに始まるものの、この16分音符が出てくるところからテンポを落とすギタリストもいますが、これはあまり良くないでしょう。




「アレグロ・マエストーソ」は、アレグロの中でも中庸

 「アレグロ・マエストーソ」 とは、まず 「力強く、堂々と弾く」 ということが重要ですが、テンポとしては”中庸なアレグロ” といったところです。 あまり速すぎても、遅すぎても良くないでしょう。 マエストーソ単独でも速度標語となることがあり、その場合はモデラートと同じか、やや遅いテンポと言われます。

 多くのギタリストは、このアレグロ・マエストーソを、 4分音符=120~130 くらいで弾いています。 私の場合も120くらいで弾こうと思いますが、下の譜面の1段目、3小節目の ”上からのアルペジオ” はたいへん難しく、ここでテンポを落としてしまうギタリストの少なくありません。


IMG_0005_201512200924477bb.jpg




 私の場合はテンポは落ちないのですが、クリヤーに弾けるかどうかが問題です (要するに『空振り』しやすくなる)。 それではちょっと長いですが、演奏しましょう。


≪ マウロ・ジュリアーニ作曲 大序曲イ長調作品61 ≫





 うん、 やはり、ちょっと ”かすっちゃった” かな?  しゃべりながら弾いているから調子が出ませんね。   言い訳するな、それなら別な曲を弾け?    確かに。 でもこれ来年やる予定なので・・・・     練習する場ではない?     ・・・・・・






Allegretto(アレグレット)



 気を取り直して、次にゆきましょう。 「アレグロほど速くなく」 といった意味の 「アレグレット」 もよく使われる速度標語です。 先ほども出てきた「田園」の第5楽章を例にとってみましょう。

 通常、アレグレットは、やや速く、軽快な感じということなのですが、この田園の最終楽章は、軽快な感じというより、とても落ち着いた感じで、こころ和むと言った感じです。  ”神に感謝する” といった内容にも関係あると思います。 



≪ベートヴェン作曲 交響曲第6番「田園」 第5楽章 アレグレット ≫  演奏 ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮  ウイーン・フィルハーモニー  1967年の録音


IMG_0006_20151220205119077.jpg



 8分の6拍子で、このイッセルシュテットの演奏では、8分音符=155、 つまり、付点4分音符=50 くらいです。 ベートーヴェンの指示は、付点4分音符=60で、もう少し速く演奏することを指示しています。

 しかし、20世紀の多くの指揮者は、「神への感謝」 ということで、その指示よりも遅めのテンポで演奏しています。 最近の指揮者はベートーヴェンの指示に近いテンポで演奏しているのは、他の曲と同じです。




速くない「アレグレット」もある?

 ベートーヴェンのアレグレットといえば、交響曲第7番の第2楽章が有名で、これも聴いてもらいましょう。 これも同じくイッセルシュテットの演奏です。



≪ベートヴェン作曲 交響曲第7番 第2楽章 アレグレット ≫  演奏 ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮  ウイーン・フィルハーモニー  1967年の録音


IMG_0007_201512202051538a8.jpg



 どうですか、あまり ”アレグレット” じゃないでしょう。 これならアンダンテか、せいぜいアンダンティーノ、あるいはラルゲットくらいに聴こえますね。 それもそのはず、この演奏ではなんと、4分音符=58くらいで演奏しています。

 ベートーヴェンの指示は76で、それほど遅くは指示していませんが、 この76でも、あまり軽快な感じにはなりません。 交響曲の場合、普通かならずゆっくりした楽章が一つは入るのですが、このベートーヴェンの交響曲第7番には、アンダンテなどのゆっくりした楽章は一つもありません。



実質上、緩徐楽章扱い

 この楽章はメロディが美しく、初演当時から人気のあった楽章と言われています。 アレグレットではありますが、他の楽章はすべてかなり速い楽章となっているので、実質上の遅い楽章扱いとなっています。 

 そうしたことを考慮してこれまでの多くの指揮者は、作曲家の指示より、さらに遅いテンポをとっているのでしょう。 アレグレットと書いてあっても、あまり速くないこともあるということは考えておくべきでしょう。 そう言えばしみじみ歌う感じのシューマンの 「トロイメライ」 もアレグレットと書いてあったと思います。




こちらが”正統派”のアレグレット

 ちょっと順番が逆になってしまいましたが、通常、アレグレットは前述の通り、「アレグロほど速くなく」 と言った意味で、「やや速い」 といった意味に解されます。

 ハイドンやモーツァルトのメヌエットは、自動的にアレグレットとなり、だいたい 4分音符=100~120 くらいのテンポで演奏されます。 このテンポはめちゃ速いというわけではありませんが、軽快な感じで、速いか、遅いかと言われれば、誰しも 「速い方」 と答えるテンポでしょう。

 モーツァルトの有名な「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」の第3楽章「メヌエット」 も、ブルーノ・ワルターは 4分音符=113くらいで演奏しています。 これくらいがまさに ”アレグレット中のアレグレット” といった感じでしょう。
 


≪ モーツァルト作曲 「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」 第3楽章「メヌエット」 ≫  ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団




セゴヴィア編 ハイドンの「メヌエット」

 さて、ギター演奏のほうでは、ハイドンの交響曲第96番「奇跡」の第3楽章「メヌエット」をアンドレス・セゴヴィアの編曲で聴いてもらいましょう。 ハイドンやモーツァルトの場合、前述のとおりあえて書いてなくても、交響曲中のメヌエットといえば、「アレグレット」と決まってしまいます。

 セゴヴィアはアレグレットとしてはやや速めの、120くらいで弾いていますが、それくらいの方が活気があってよい感じです。 私もそれくらいのテンポで弾きたいと思います。  


≪ ハイドン作曲 交響曲第96番「奇跡」 第3楽章「メヌエット」 アンドレス・セごビア編曲 ≫

 セゴヴィアのアレンジなので、ギターっぽいでしょう? でも原曲の感じはしっかり出ています。 私もあえてセゴヴィア風に弾いているところもありますが、結構好きな曲です。 
スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する