中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<和音>

外声部=メロディ、低音

 和音の中でも外声部、すなわち最高音と低音は聴き取りやすいと思いますので、これは確実に聴き取れるように、また聴き取るようにして下さい。それに比べ内声部を聴き取るのはなかなか難しいかも知れません。Eの和音、つまり⑥弦の「ミ」、③弦の「ソ#」、②弦の「シ」、①弦の「ミ」の和音で話を進めましょう。①弦と⑥弦のミは聴き取れると思いますが、はっきりしない場合はまず単音で①弦のミを弾き、その後で和音全部を弾きます。その時、ミ-ミと、①弦のミの音が同じように聴こえてくればよいわけです。和音の最高音は普通メロディになることが多いですから、当然これははっきり聴こえなければなりません。

 ⑥弦のほうも同様に行いまが。和音の最低音は和音の中で最も大事な音で、その和音を代表する音となります。コード・ネームでこの和音のことを「Eメジャー・コード」と言っているのは、この和音の最低音が「ミ」、英語式の音の読み方で「E」だからなのです。また低音は和音の他の音を包み込むように、しっかりと鳴っていなければなりません。



内声部

 内声の方も同様に行うわけですが、それでも聴き取れない場合はその反対をやってみる方法もあります。つまりその音だけ抜いて弾いてみるわけです。先ほどの和音をまず普通に全部弾いてみて、その後で③弦のソ#だけ抜いて弾いてみます。そうすると③弦のソ#が入った場合と抜けた場合の違いがわかり、結果的にソ#が聴き取れるようになると思います。 ソ#が抜けるとミ、シ、ミの和音となり、これは5度関係の音しかなくなって、確かにきれいには響くが、和音らしくない、つまり温かみのない和音になってしまいます。また長和音か短和音かもわかりません。これは通常和音として成立しませんから、ソ#が聴こえるか、聴こえないかは、かなり大きいと思います。

 シの場合はさらに聴き取るのが難しくなります。というのもこの音はあってもなくてもそれほど違いがないからなのです。この音を抜いて弾いたとしてもそれほど響きの違いは出ません、しいて言うなら少々膨らみに欠ける程度です、ですから実際にも省略されるこも結構あります。ただしその曲の前後関係上、とても重要になる場合もあります。



一つの和音を弾くだけで

 この和音は③弦の1フレットを押さえるだけで弾けますから、とても簡単な和音です。もしかしたら全くギターをやったことのない人でも弾けるかも知れません。しかしこの和音を聴いただけで、それを弾いている人の演奏能力について、かなりの程度わかってしまいます。一番わかるのはその人の音を聴き取る能力で、すべての音を聴き取れる人なのかどうか、はよくわかるでしょう。聴き取れている人は聴き取れているように、聴き取れていない人は聴き取れていないように聴こえてきます。さらにその人の音色感とか、音の「とおり」などと言ったりもしますが、各音のクリアーさなどもわかります。また軽快な音楽を好むのか、重厚さを好むのかなどということも若干わかるでしょう。



低音もメロディのように

 また一般に曲の中では、低音は単独で存在するのではなく前後に繋がっている場合が多いですから、その低音どうしを繋げて聴くことが出来たら、つまりメロディのように聴くことが出来たら、それぞれの低音の大きさがそろえられ、他の和音の音とのバランスもよくなるはずです。よく他の音と同時に弾く低音は小さく、単独で弾く低音は大きくとなってしまう人がいますが、この場合は低音を前後関係で、つまりメロディのように聴き取れていないからなのです。

 また曲によっては内声部も同じようにメロディ・ラインとして聴き取らなければならない場合もあり、この場合はより難しくなるわけですが、よく聴き取れない時にはまずその声部だけに集中し、聴こえてきたら他の声部も聴くというようにするしかありません。確かにギターは他の楽器に比べて各声部をメロディ・ラインとして聴き取ることの難しい楽器と言えるかも知れません。



<まとめ>

素直に聞いて(聴いて?)ほしい

 私はよくレッスンの時「そこのところの音よく聴いて下さい」というと、これを「この音を間違えるな、と言っているんだな」とか「この音が弱いから、強く弾けと言っている」と言うふうに自分なりに翻訳して私の話を聞いてしまう人も多いようです。しかしこれはその言葉どおりに受け取って、ともかく「聴いて」ほしいと思います。確かにそういう時というのは何か問題があったり、注意すべきことがあったりする場合ですが、でもその音を聴き取ることで、ほとんど解決することが多いのです。何らかの問題もすべて自分の音が聴き取れていないことから生まれているので、それが聴こえさえすれば解決します。例えば⑤弦を弾くところを⑥弦を弾いてしまっている時、「そこは⑥弦じゃなくて⑤弦」と思うだけだったら、また間違える可能性は高いですし、また別の曲でも同様なことが起きてしまいます。例えある程度間違えたとしても「今の音で良かったのかな、いや、違ったみたいだ」と判断出来るようになれば、自然と弾き間違えはなくなるはずです。



聴き取ろうとする意志が大事

 仮になかなか自分の音が聴き取れなかったとしても、「自分の音を聴き取ろう」とする意志はたいへん大事です。聴き取れなかったら、聴き取れるような弾き方をすればよいわけですし、そうすることにより少しずつ聴き取れるようになってきます。また自分の演奏を聴いている人にとっても聴き取りやすい演奏になるでしょう。



最後は録音で

 いろいろ聴き取るための方法を話しましたが、それでも自分で弾いた音をすべて聴き取るのは難しいことです。特に自分の演奏の全体像というのはなかなかわかりにくいものです。そんな場合には録音してみるというのが最も良い方法です。録音して後から自分の演奏を聴いてみると、いろいろなことがたいへんよくわかります。人間は直接自分の姿を見ることは出来ませんから、自分の姿をを見たい時には当然、鏡か、あるいはヴィデオなどで見るでしょう、それと同じことだと思います。また自分の演奏を他人になったつもりで、客観的に聴いてみるのはたいへん良いことだと思います。そのことにより、それまでよくわからなかった、細かいところから、全体像に至るまで、いろいろなことがよくわかるのではないかと思います。



本当の努力

 愛好者の中には、ギターを弾く時、音を聴くより指を動かすことの方に強い関心をもつ人もいますが、もちろんギターは音が「聴こえて」みてはじめて演奏になるわけです。確かに小さい頃から何らかの形で音楽をやってこなかった人(実は私もそうですが)は、音を聴き取ることが苦手となってしまうこともあります。しかし一般にそうした人は、努力家であることが多いので、「聴き取る」ことに最大限努力して見てください。そういったことが本当の努力だと思います。決して何度も繰り返して指を動かすだけが努力ではありません。

スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する