中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<バッハ・シャコンヌ再考 26>


第2部(ニ長調の部分)




同じリズムで書かれているが、全く違う印象

 中間部、つまり第2部はニ長調に変わり、その最初の変奏は冒頭のテーマに準じた音価で書かれています。 しかし聴いてわかるとおり、その印象は冒頭は全く違います。 もちろん短調、長調の違いはありますが、テーマのような緊張度の高い和音は出てきません。



IMG_2016021418023758f.jpg
3段目からニ長調になり、テーマと同じリズムで書かれているが、緊張感はない。和声的にも穏やか。 



不協和音の代わりに長3度の重音 =たいへん穏やかな印象

  テーマでは4声で書かれていたものが、ここでは2声となり、テーマでは最初の完全小節の1拍目に、減5度や9度といった不協和音程を含む和音がありましたが、そこには長3度の重音があるのみです。 以下も鋭い響きや、緊張感のあるリズムは現れず、おおらかにメロディを歌う感じになっています。 




普通のチャコーナぽい?

 変奏そのものも、同じような和声進行で、分散和音化したものや、音階にしたものなど、かなりシンプルなものになっています。 言ってみれば ”普通のチャコーナ” ぽくなっているといってよいでしょう。

 低音も レ ⇒ ド# ⇒ シ ⇒ ラ と簡略化されていて、 なお且つ省略もされています。 因みに、ギターで演奏する場合は、その省略された低音、つまり隠れた低音を付け加えるのが自然と思われます。

 いろいろな意味で最初のニ短調の部分(第1部)と、この二長調の部分では、全く違ったコンセプトで曲が書かれていることがわかります。



運命ぽい?

 160小節(譜面の小節数と1小節ずれている)からは「ラ」の音が3回刻まれますが、以下4つになったり、「レ」に変わったりしながら、175小節まで変奏が作られています。 ベートーヴェンの「運命」ぽいですね。 もちろん意味合いは全く違い、こちらは ”運命的” などではなく、ユーモラスな感じです。



IMG_0001_20160214180915d45.jpg
3つの音の連打を基に変奏が出来ている。 ベートーヴェンの「運命」ぽいが、イメージは正反対で、こちはどちらかと言えばユーモラスな感じ。



 次に下降音型を基に8小節書かれており、その後はテーマのリズムを基にした4声のコラールのようになり、最後の部分にはアルペジオの指示があります。 ここは第1部の最後に置かれた長いアルペジオ部分に相当するところで、第2部のコーダに当たる部分と考えてよいでしょう。




第1部の長大なアルペジオ部分に相当するが、他の方法も可能

 この最後の部分は、音は分厚いですが、不協和音は現れず、雄大で落ち着く感じになっており、前後の短調の部分と完全に対照的となっています。

 ところで、この ”アルペジオ” の指定がしてあるところは、ほとんどのヴァイオリニストが下のな音型で演奏していますが(譜面はギター用)、これは特にバッハの指定ではなく、他の方法も考えられるでしょう。 特にギターで演奏する場合はたの方法の方がよいのではとも思います。 チェンバロで演奏しているレオンハルトは別の音型で演奏しています。



IMG_0002_201602141759437f6.jpg
ほとんどのヴァイオリストやギタリストはこのように演奏しているが、他の方法も可能(譜面はギター版)。


スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する