中村俊三 ブログ

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中村俊三ギター・リサイタル ~19世紀のギター作品

  5月15日(日)14:00  茨城県石岡市ギター文化館




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 当ブログにはあまり花の写真は似合いませんが、今年もきれいに咲きました。 当家では今が最もよい季節です。


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 私の5月15日のリサイタルは「19世紀のギター作品」ということですが、まずはごく大雑把にギターの歴史についてひと通り触れておきましょう。




ギターの歴史(大雑把に)




イスラム圏からスペインに伝わった

 ”張った弦を、指ではじいて弾く” といった楽器、つまり撥弦楽器は、おそらく文明の発祥とともに存在したのではないかと思います。 スペインなどを中心に、現在のギターの形に近く、また、「キタラ」 とか「ギターラ」 と言ったようにギターぽい名前で呼ばれるようになった楽器の存在が認められるようになったのは、12~13世紀頃と言われています。 当初はムーア風ギターと呼ばれ、イスラム圏からの由来は確かのようです。




フランスを中心に広まった4コース複弦ギター

 ギターための作品として(リュートなどではなく)譜面(タブラチュア)が残されるようになったのは16世紀になってからです。 この時代までのギターは ”4コース・複弦” で、16世紀半ばのフランスでは、この4コース・ギターのための曲集や教本などが盛んに出版されていました。



スペインでは6コースのビウエラ

 本家のスペインでもアロンソ・ムダーラなどが4コース・ギターのための作品を出版していますが、 この時代は少なくとも4コースギターの限ってはフランスが最も盛んだったようです。 そのスペインでは、4コースギターよりも一回り大きく、形としては相似形の6コース複弦の 「ビウエラ」 と呼ばれる楽器がより好まれました。 

 ビウエラはチューニングなどはほぼリュートと同じで ”ギター型のリュート” といったところもあり、スペインではリュートはあまり好まれなかったようです。 ビウエラの作品を残した作曲家としては、前述のムダーラの他、ルイス・ミラン、 ルイス・デ・ナルバエス などが挙げられ、彼らの作品は現代でもギターで演奏されています。

 


5コース・バロック・ギター

 17世紀になるとギターは5コース複弦 (第1コースのみ単弦になることも) となり、現在では ”バロック・ギター” と呼ばれています。 スペインの ガスパル・サンス やフランスの ロベルト・ド・ヴィゼー のように当時のリュートやチェンバロなどと同じく対位法的で高度レヴェルの作品を残したギタリストもいましたが、 一般には歌や踊りの伴奏として和音をかき鳴らしていたほうが多かったようです。 



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華麗に装飾されたバロック・ギター



どちらかと言えば、記号でコードをかき鳴らしていた

 当時ギターで和音を弾く場合、五線譜やタブラチュアではなく、和音にアルファベットの記号を付け、今日のコード・ネームのようなもので弾いていたようです。 しかし同じアルファベットのコードネームでも、現在のコード・ネームとは全く違うシステムで、今日的な読み方では弾けません。




6単弦ギター ~ギターの黄金期

 18世紀末頃から現在のギターと同じく6単弦のギターが一般化されるようになり、これまでに比べて格段にギターが愛好されるようになります。
 
 複弦から単弦に変わったことにより、一般の愛好家でも手軽にギターに触れることが出来るようになり、また、フェルナンド・カルリ、 マウロ・ジュリアーニ、 フェルナンド・ソル、 ディオニシオ・アグアードなど、私たちが良く知るギタリストたちが表れ、多数の演奏会用作品とともに練習曲や教本が生まれることになります。



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6単弦ギター  ルネ・ラコートの作品


練習曲などは誰でも弾いている

 特にその練習曲や教本は今日のギター教室などでも盛んに用いられており、クラシック・ギターを習ったことのある人なら、必ずこれらの教材を使っているのではないかと思います。



卵が先? ニワトリが先? 

 もっとも、6単弦になって楽器が扱いやすくなったから愛好者が増えたのではなく、ヨーロッパ社会が変化し、趣味としてギターをやる人が増えたので、楽器も手軽に弾けるように単弦となったと考えるほうが合理的かも知れません。

 確かに、それまでの楽器(バロック・ギター)はきらびやかに装飾が施され、工芸品と言った感じだったのですが、6弦ギターのほうは機能本位で、飾り気はあまりありません。


  
ギターの衰退期?

 19世紀半ばから末にかけては、かつて ”ギターの衰退期” と言われ、タレガの出現まではギターと言う楽器は不遇の時代を過ごした、と言ったようなことが言われていました。 しかし、今回の演奏会でも演奏する、ジュリオ・レゴンディ、 ヨハン・メルツ、 さらにナポレオン・コスト、 アントニオ・カーノ、 ホセ・ブロカ、 ホセ・フェレール、 さらにタレガの師でもあるフリアン・アルカスなどすぐれたギタリストは多数存在し、間違いなく今日のギター音楽へと継続し、発展していっています。



19世紀ギターの復権

 確かに20世紀の半ば頃まで上記のギタリストの作品は、一部の教育的作品を除いてあまり演奏されませんでしたが、現在では再評価され、ギター・リサイタルなどでもたいへんよく演奏されるようになりました。 今回の私のリサイタルのように19世紀の作品をメインにした演奏会は、特に珍しいものではなくなりました。



一言では語れない多様化の時代

 20世紀以降については、あえてお話するまでのないかかもしれませんが、かつて(20世紀半ば)はクラシック・ギターは、すべてタレガ=セゴヴィアの延長戦上で語られていましたが、今現在では多数の系統が存在し、またポピュラー系の音楽の影響もたいへん強いものとなっています。 まさに多様化の時代といったところで、一言では語れないのが現在のギター界でしょう。
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