中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<中村俊三ギター・リサイタル ~19世紀のギター作品>

 5月15日(日) 14:00   石岡市ギター文化館




ヨーゼフ・カスパル・メルツ : 愛の歌




ナポレオン・コストと比較される

 ヨーゼフ・カスパル・メルツ(1806~1856) は現在のチェコ出身のギタリストです。 ナポレオン・コスト(1805~1883)と並んで、かつては ”ギターの衰退期” といわれた19世紀の半ばに活躍しました。 生まれがほぼ同じなので、いろいろな面で、このナポレオン・コストと比較されます。

 この二人のギタリストは同じ時代を生きただけに、その作風は対照的でもあります。 ソルの後継者とも言われ、対位法や和声法にこだわり、内声部などを緻密に作曲したコストに比べ、メルツはより聴衆にアピール出来るように華やかでヴィルトーゾ的な作品を残しています。



ジュリアーニ派?

 コストはソルに直接師事し、ソルの影響がその作品に表れています。 一方、メルツは直接師事したわけではありませんが、強いて言えばジュリアーニの音楽に近いところもあり、コストがソルの継承者なら、メルツはジュリアーニの継承者といった感じもあります。

 ソルとジュリアーニの関係が、そのままコストとメルツの関係に引き継がれているとも言えます。 因みにメルツとコストは親交がありましたが、ソルとジュリアーニは、ほぼ同時代ながら、特に親交はなかったようです。



出版当時から人気があった

 この 「愛の歌」 は 「吟遊詩人の調べ作品13」 に含まれます。 この 「吟遊詩人の調べ作品13」 は出版(1846年)と同時にたいへん人気が出たらしく、後から曲が追加され、最終的には30曲となっています。 難しさなどが手頃で、プロ・ギタリストでも、アマチュアでも弾けると言った点が人気ポイントだったのでしょう。 もちろん今現在でもよく演奏されます。

 メルツの演奏会用の曲は低音弦を追加した10弦、あるいは11弦ギター用となっていますが、この吟遊詩人の調べに関しては、すべて通常の6弦ギターとなっています。 なるべく多くの愛好者を対象としたためでしょう。 「愛の歌」 はこれらの30曲の中で最も人気のある曲で、熱く愛を語る曲となっています。






ジュリオ・レゴンディ : 序奏とカプリッチョ作品23



8歳でデビューした天才ギタリスト

 ジュリオ・レゴディ(1822~1872)と言えば、画像のとおり、子供がギターを弾いている絵でお馴染みだと思います。 名前はイタリア人ぽいですが、スイスに生まれ、主にロンドンで活動しました。 8歳の頃から演奏活動を始めたという、まさにギター天才少年といったところです。

 レゴンディの幼少期、おそらく演奏会デビューした8歳前後の肖像画は何種類か、残されています。 しかしレゴンディは50歳まで生きていて、演奏活動も40代まで続けていたわけですから、当然青年期や熟年期のレゴンディも存在したわけで、それらの30代や40代の肖像画もあってよいはずですが、それらを見たことがありません。  


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レゴンディの肖像画はいくつかあるようだが、すべて幼少期のものとなっている。 40代くらいまでは演奏活動していたはずだが。




現在入手出来る作品はごくわずか

 レゴンディは演奏が主で (「コンサーティーナ」と言う楽器も演奏していたと言う)、 作曲はあまりしなかったと言われています。 しかしこの作品は ”作品23” となっっているわけですから、それなりに作品数もあったとは思いますが、今現在入手出来るのは作品19~23までの5曲と、 「10の練習曲」 のみです。



フレット上を駆け回る

 この「序奏とカプリッチョ」 はホ長調の序奏と、ホ短調のテーマをもつロンド形式のカプリッチョからなります。 曲全体に左手がローポジションからハイポジションまで激しく移動するのが特徴でしょう(多くの場合グリサンド奏法を伴う)。 この時代を反映した和声が用いられていますが、アルペジオが多用され、対位法的にはシンプルで、メルツの作風に近いと言えます。

 サンサーンスのヴァイオリン名曲 「ロンド・カプルチョーソ」 を彷彿させる感じがあり、ロマン派の音楽の香り高い曲で、聴きごたえ十分の曲となっています。  作曲年代などは不明ですが、状況からすれば、かなり幅を持った1850年前後、だいたいメルツの「愛の歌」と近い年代と考えられるでしょう。
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