中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<中村俊三ギター・リサイタル ~19世紀のギター作品>


使用楽器


ヘルマン・ハウザーⅢ 1983年




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代々引き継がれて?

ヘルマン・ハウザーと言えば、何といってもアンドレス・セゴヴィアが長年使っていた楽器です。 もちろんセゴヴィアが使っていたのはハウザーⅠですが、セゴヴィアの高弟で、私の師でもある松田晃演先生も、一時期ハウザーⅡを使用していました。 そして私もこハウザーⅢを使い始めて30年近くになります。

 この流れからすると、私の生徒さんの誰かはハウザーⅣを使うことになるのかな? 今のところそんな生徒さんはいなそうですが。

 私の場合、特にハウザー党というわけではなかったのですが、一時期、楽器に迷ったことがあり、何だかんだと、この楽器にゆきついてからは、他の楽器に目移りもせず、ずっとこの楽器を使っています。 時にはもっと別の楽器がいいかなと思うことがあっても、結局のところ、やはりこの楽器の方が自分のイメージを最も忠実に反映してくれるように思い、買い替える気にはなりませんでした。

 几帳面で、若干性格の ”きつい” ところもあるが、私の気持ちなどは、他の誰よりもわかってくれる奥さん   ・・・・・・・なんてところでしょうか (現実の家内は、全くそう言うタイプではありません、因みに)。



やや硬めだが、遠くまで音が届く

 このハウザーは他のハウザーに比べ、高音が良くでるのですが、その分、音色がちょっと硬めで、しっとり感はあまりありません。 低音もよく出ますが、ちょっと軽めで、重厚とか、拡がる感じはありません。 

 最も特徴的なのは、中音、つまり1~3弦のロー・ポジションがよく出るところでしょうか。 他に私が使っているポール・ジェイコブスンなどに比べると、特に音量が大きいという訳ではありませんが、音が硬質な関係で、音が遠くにまで伝わりやすいようです。 ホールなどの後ろの方で聴くと、ジェイコブスンより、このハウザーの方がよく聴こえます。



実力さえあれば、たいへん美しい音が出る

 音色が固め、ということは音がクリヤーとも言え、解像度は高いのですが、柔らかく、美しい音を出すのはなかなか難しい楽器です。 しかし技術が高ければ、確かに美しい音が出ます。 この楽器は創(はじめ=長男)も、小学生の頃使っていたこともありましたが、その頃はなかなかよい音は出せませんでした。

 その後パリに留学し、一時帰国したとき、ちょろちょろと弾いたその指からは、これまで聴いたことのないような、透明感のある、とても美しい音が聴こえてきました。 その頃はリタイヤ直前で、意欲を全くなくしていた時でしたが、それでも、力のほうは順調に付いていたのかも知れません。

 また、私の生徒さんの、Tさんがこの楽器を弾くこともありますが、Tさんもこの楽器でたいへん美しい音を出します。 要するに本当に実力のある人だけが、この楽器から美しい音が出せるようです。  ・・・・・私の場合はどうかな?



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特にネックの裏側の塗装がかなり痛んでしまった、まさに歴戦の跡。


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表面版にもだいぶキズが付き、弦の穴も拡がってしまった。



酷使され、ボロボロになってきた

 私の考えでは、楽器を大事にするということは、ともかくなるべくたくさん弾くことだと思っています。 その結果、この楽器も約30年間にわたり酷使に酷使を重ね、塗装などボロボロになってきました。 フレットも1度打ち直したのですが、また相当すり減ってしまいました。

 そこで、このリサイタルが終わったら、これまでの労をねぎらう意味で、塗装などを中心にメンテナンスを行いたいと思っています。 そして ”栄光の傷跡” ということで、特に塗装が痛んだネックの裏側の写真を撮っておきました。 メンテナンス後はきれいになっていると思います。









高橋達男  2015年


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ソルとメルツの3曲演奏

 今回のプログラムのうち、ソルの「ラルゴ・ノンタント」、「ソナタハ長調」、 メルツの「愛の歌」 の3曲は県内のギター制作家、高橋達男さんの楽器を使用します。 この楽器はギター文化館所蔵のアントニオ・トーレスの採寸で作った楽器だそうですが、構造などは高橋さんのオリジナルだそうです。



19世紀楽器風で、押さえやすい

 モデルとなったトーレスが19世紀ギター風なので、この高橋さんの楽器も19世紀楽器風の音が出ます。 高音は軽めですが、低音などは逆に重量感があります。 こうした19世紀の音楽には向いているのではと思います。

 またたいへん押さえやすく、ソルのラルゴなど、ハウザーでは音を出すのに結構苦労するのですが、その点、この楽器で楽に出ます。 この楽器を使用するということを前提に、ラルゴをプログラムに入れたとも言えます。
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