中村俊三 ブログ

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<ジョン・ウィリアムス コロンビア録音全集>  8

John Williams Plays Bach The Complete Lute Music on Guitar


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収録曲

バッハ : リュート組曲全4曲、 プレリーュドニ短調BWV999、 フーガBWV1000、 プレリュード、フーガ、アレグロBWV998

録音 1975年




アグアード ⇒ フレタ ⇒ スモールマン

 ウィリアムスが使用した楽器の話は、前にもしましたが、 大ざっぱに言って、デビュー(1950年代末)から1970年代前半くらいまではアグアード、1970年代半ば頃から1980年代始め頃まではフレタ、それ以降はグレッグ・スモールマンを使用したようです。 

 このLPのジャケットの写真からは、フレタかアグアードかは区別が付きませんが、前回紹介した「さくら」のLPジャケット写真では、明らかにフレタを弾いていますので、そうしたことからすればフレタ使用なのではないかと思います。



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前回紹介した1973年録音の「さくら」のLPジャケットだが、ここに写っているのは明らかにイグナシオ・フレタ

  



プロは聴いただけで楽器がわかる?


 もっとも、 「プロだったら、聴けばフレタかアグアードかなんて、わかって当然!」 なんて言われそうですが、これが残念ながら聴いただけでは全く区別が付きません。 テレビ番組でも、プロ・ヴァイオリニストが、何億円もするストラディバリと安物のヴァイオリンとの区別が付かなかったようですから(そのヴァイオリニストは日頃トラデバリを弾いている)、楽器の音など、それほど簡単にはわかりません。



どれを弾いてもウィリアムスの音はウィリアムスの音

 生演奏でもわからないくらいですから、まして録音となればわかるはずもありません。 また、フレタもアグアードも杉材で、どちらもスペイン系の楽器と言うこともあって、よく似ているといえば似ているでしょう。 また、楽器は弾く人によってかなり変わり、楽器の違いよりも演奏者の違いのほうが、音としては変わるでしょう。 要するに、どの楽器を弾いてもウィリアムスの音はウィリアムスの音ということでしょう。



アグアードだったとは思うが、ただ美しかったことだけが確か

 因みに、私は1971年に虎の門ホールで、ウィリアムスの ”生音” を聴き、その美しさに感動したわけですが、 その時使用した楽器は、聴いた話ではアグアードのようです。 ただ本当に確かめたわけではないので断言は出来ません。 その後ウィリアムスの生音は一般ファンにとっては ”幻” となる訳ですが(リサイタルでもアンプを使うため)、 ウィリアムスの生音は極めて美しかったのは紛れもない事実です。

 


スモールマン使用になってからは生音では演奏しなくなる

 1983年頃からは、CDのジャケット写真からするとグレッグ・スモールマン使用のようです。 スモールマンは他の二つの楽器に比べて異質な音がするので、CDでもある程度判別できます。 特にスモールマンを使用するようになってからはリサイタルなどでもアンプなしには演奏しなくなったようです。  ・・・・・・スモールマンと言う楽器は生でもアンプを通したような音がします(あくまで個人的な感想ですが)。


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ウィリアムスは1983年以降、ほとんどグレグ・スモールマンを使用している




バッハのLPに話を戻す。 ~流麗で完成度の高いバッハの演奏


 話が楽器の方に行ってしまいましたが、演奏の話に戻しましょう。 1975年と言えば、ウィリアムスの円熟期と言ってよく、このバッハのリュート作品全集のLPは完成度の非常に高いものです。 技術的な完成度は言うまでもありませんが、さらにたいへん流麗なバッハを聴かせます。



私自身たいへんよく聴いた演奏

 今現在ではギター、及びリュートによって、このバッハのリュート作品全集がかなりの種類出ていますが、この時点ではこうした全集はほとんど録音されていなくて、そういった意味でも貴重なLPでした。 私自身もギターで弾くバッハのリュート作品としては、これまで最もよく聴いたものかも知れません。 たいへん荘快感のあるバッハの演奏です。



最近の演奏スタイルとは違う


 最近ではこうしたバッハのリュート作品を演奏する場合はそのギタリストなどによって装飾を施したりするのが普通ですが、そうしたものはこの録音にはありません。 この時代にはそうした装飾を付ける演奏まだ主流とはなっていませんでした。 要するに演奏スタイルとしては ”1970年代的な演奏” と言えるでしょう。



フーガBWV1000などが復活したのはたいへん嬉しい

 この2枚組のLPは、後に4つの組曲のみを1枚のCDにした発売されていました。 つまり小プレリュード、フーガBWV1000、プレリュード、フーガ、アレグロが外されてしまったわけです。 今度この全集が出されたことにより、てそれらの曲が復活し、往年のファンとしてはたいへん嬉しいことです。
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