中村俊三 ブログ

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クイーン・ヒミコ・ストーリー  ~なあんちゃって  1



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西暦1××年、北九州イト国宮殿、王の間にて


  「おお、 姫、 まいったか、 入れ、 もっと近こう。

 
 ・・・・・・お前たちは下がりなさい、しばしの間、姫と二人だけにしてくれ。

   ・・・・・・ああ、その件についてはまた後で聴く。 


  今日は何をしておった、姫、 女官たちとでも遊んでおったか?」




  「いえ、 お父上様。

  先日、カラより船が入りまして、

  お頼み申しておりました書物などが手に入りましたので、

  目をとおしておりました」




  「そうか、 この宮廷でもカラの書物を読めるのは、

  お前の他には渡来人しかおらぬ。

  私も渡来人の助けがないと、どうも・・・・」




  「そうでございますね、 カラでは同じ文字でも国や場所によって、

  あるいは書かれた時代によってかなり読み方も、

  また書き方も違ってまいります。

  書物を読む場合は、いつ、どこの国の人が書いたものかを、

  考えなければなりませんので、本当に難しいものです」




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  「なるほどな、でも私にはそこまではよくわからん。

  それにしても姫はまだ年端もゆかないというのに、よくそこまで学んだのう。 

  まさしく、このイト国の才女中の才女である。 

  いや、倭国全土でも並ぶものはおらん」




  「まあ、お父上様!  

  お父上さまにそう言っていただけるのは、この上ないことではありますが、

  私より読み書きが出来るものなど、このイト国にも、

  また倭国全土にも、あまた、星の数ほどいらっしゃいます。 

  私の読み書きなど、まだまだ取るに足りないもの。 

  ただ、私は書物を読むのが好きだけでございます。

  書物などで、今まで知らなかったいろいろ知るにつけ、

  本当に自分は無知であることも知ります。

  でもそうしたことも、とても楽しいのでございます」





  「まあ、いいだろう、これは親バカというやつかな。

   ・・・・・ところで、姫はいくつになった?」




  「今年、数えで14になりました」




  「そうか、14か・・・・・・

  それにしても、だんだんお前の母に似てきたな。

  こうしてお前と話していると、なにゆえか、

  お前の母と話をしているような気になる、不思議な気持ちだ。 

  私が初めてお前の母に出会ったのは、

  母がちょうどお前くらいの歳だった。  

  美しかったなあ、 透き通るような肌で、

  本当にお前の母はお前とそっくりだったよ。

  そうして緋の衣をまとったところなど」




  「この衣は母が着ていましたものを、仕立て直したものでございます」




  「なるほど、合点がゆく」




  「この衣を着ていると、

  いつも亡き母がそばにいてくださるような気がしますので、

  ついつい、幾度となくこの衣をまとってしまいます。。

  母が亡くなった時、私は5歳でしたが、

  母に抱いていただきました時のぬくもりは、今だ忘れてはおりません」



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ヤマトの地へ


  「本当に、もう少し長く生きていてくれればのう・・・・・・・・・ 

  姫、 改まってではあるが、 今から私の話を聴きなさい。

  お前は年が明けたらキビの国の、さらに東のヤマトと言う地に行きなさい。 

  そこで日の神の妻となり、そしてヤマトの国の王となる。 

  ヤマトには倭国全土の宮が設けられる。

  つまりヤマトの国のみでなく、倭国、あまねく倭の諸々の国々の王となる」 




ヒミコは父の言葉の意味がよくわからなかった。




  「父上様。  日の神の妻になるのは、

  このイト国の女子にとってこの上ない誉に存じます。 

  しかし、 されど、 なにゆえ、 ヤマトの国に?

  私は、このイト国において、日の神の妻となるものと、

  伯母上様から、幼少より教えられてきました。

  そして、なにゆえ私が王に?

  王は男子がなるものでは? 

  それにヤマトにはヤマトの王がいらっしゃるのでは?

  父上様のお言葉はにわかには、はかりかねるものでございます」





  「そうじゃのう、 俄かにはわかりかねることかも知れん。

  話は長くなるが、よく聴きなさい。

  私の先々代の王まで、倭の諸国はこのイト国を中心にまとまっていた。 

  我がイト国の王が漢に使者を出し、漢から倭王の称号も得ていた。

  しかしその後、天変地異や、相次ぐ戦などで、この倭国は乱れに乱れた。

  漢から授かった倭王の称号も、いまやその体をなしていない。

  その大漢帝国さえ、いにしえの威光はなく、風前の灯とも言える」




  「倭国では、かつて、たいへん苦難な時代があったことは存じております。

  漢も黄巾の乱をきっかけに大いに傾いていると、渡来人より聴き及んでおります」




  「倭国でも、今はそれぞれの国ともかなり旧に復してきたが、

  これからの倭国を考えた時、誰しもこのままではいけないと思っている。

  それぞれの国の王も、官も、また民も。

  やはりこれからはこのイトをはじめ、キビやイズモやコシなど、
  
  諸国がばらばらに営んでいる時代ではなくなる。

  倭国全体の王を決め、倭全体が一つの国とならなければならないと、

  多くの者が考えている」




  「そうでございますね」




霊力優れた我がイト国の王女を諸王の王に

  「これまで、何度も諸王たちが集まって新たな国作りの話し合いがもたれ、

  なんとかまとまりかけていたこともあった。

  しかし、実際に誰かが王になろうとすると、、

  必ずそれに反対するものが現れる」




  「諸王とも、他者を自らの王とし、その王に従うことは難しいのでしょうね」




  「そういうことであろう。 

  そこで、キビの王が中心となって新たな案が出された。

  それは、まず倭国の新たな宮を、

  これまであまり強い王がいなかったヤマトの三輪山の麓に設ける。

  ヤマトはこの倭国全体の中心でもある。

  そしてヤマトの王は倭国全土の王となり、

  これまでの諸王はその新しく決められたヤマトの王に従う。

  そしてそのヤマト、及び倭国全土の王には、

  古より霊力に優れていると言われている、わがイト国の王女がなる」




  「我がイト国の王女が、でございますか? 何故に?」




  「諸王も、そのキビの王の考えに賛同の意を表した。

  イト国の王女とは、まさしく姫、お前のことを言っている。

  私はお前にはこのイト国で日の神の妻となり、

  ずっと私のそばで神託を受けてほしいと思っていた。

  お前が私のもとを離れ、遠い地に行ってしまうなど、私のは耐えられない。 

  もちろん私は強く反対した。

  しかしキビの王を始め、諸王ともこの倭国の王となれるのは、

  イト国の王女である姫、お前しかいなと言う。 

  私は当初強く拒んだが、多くの者の話や、考えを聴いているうちに、

  この難題を背負えるのは、やはり姫しかおらぬと思うようになった。

  私はまさに、断腸の思いではあるが、最後には皆の考えに従うことにした」  





大八洲の王、民たちの母に

  「父上様、 

  父上様のお話は、私の身の丈で測るにはあまりにも大きく、解しかねます。 

  無論、私のゆくすえは、かねてよりお父上様の御心次第と存じております。  

  されど・・・・・」





  「お前の抜きんでた霊力、また知識や美しさなどのうわさは、

  倭国の諸王たちにも届いているようだ。

  皆、口をそろえて姫の素晴らしさを賛美し、

  そして姫以外に王の座につけるものはいないと言っている。

  
  されど、私は極めて心痛である。 

  今からすでに、姫のいない日々をどうやって過ごそうか、苦慮している。


  しかし、わが姫以外にこの重責を担える者などおらん。

  やはり私の手もとに留めておくことは許されぬこと。 

  今となっては、ただ姫が優れた霊力を持ってしまったことを悔いるしかない。  


  我が姫!  我が姫はヤマトの地に行きなさい!

  ヤマトの地で、あまねく大倭国の王となりなさい!

  そして大八洲の諸王と民たちの母となりなさい!」


 
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