中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 ・・・・・・・つづき 


 90年には創(私の長男)のためにイギリスの楽器のポール・フィッシャーを買いました。
これはふくよかな低音で、高音にも気品が漂う感じでしたが、やはりハウザーのほうが音が前に出るので、創がコンクールに出る場合はハウザーのほうを使わせ、その間は私がこポール・フッシャーを弾いていました(現在この楽器は後関新一さんが所有)。


 94年に別な用事で東京の楽器店に行きましたが、そこでぼろぼろのポール・ジェイコブソンを見ました。
たいして古くないのに表面板などかなり傷んでいます(今は修理していますが)、よほど使い方の荒い人がオーナーだったのかも知れませんが、でもとても気に入りました。
ジェイコブソンはアメリカの楽器で、杉材を使用し、明るくよく鳴る楽器で、スコット・テナントなどが使用して知られるようになりました。
このジェイコブソンはさらにソフトで、甘い音色感があります。私の好みで選んだ楽器でしたが、創に弾かせると、ハウザーより合う感じでしたので、結局創の楽器ということになりました。
音量があるので、曲の強弱が付けやすく、確かにコンクール向きで、また甘い音色は当時の創に合っていたと思います。
この楽器で創はクラシカル、東京国際、アレッサンドリアの3つのコンクールで入賞しています。


 2002年に創が水戸芸術館でリサイタルを開くことになりますが、それを機に福田先生の勧めでホセ・ルイス・ロマニロス&サン(1993年)を買いました。
創はこの楽器で水戸芸術館をはじめ、いくつかのリサイタルを行い、またフランス留学にも持って行きましたが、今はギターから遠ざかっているので、この楽器も私の手元にあります。
ロマニロスは基本的にアントニオ・トーレスをモデルにした楽器と言われ、この時期のロマニロスは低音が太いのが特徴です。


 今現在、手元にある主な楽器はヘルマン・ハウザーⅢ(1983年)、ポール・ジェイコブソン(1991年)、ホセ・ルイス・ロマニロス&サン(1993年)、創がクラシカル・ギター・コンクールの時にいただいた桜井正毅(1996年)となっています。
こう振り返って見るとこれまで確かにいろいろと迷走してきて、無駄な出費とか、家族に迷惑をかけたりもしてきたと思いますが、今思えば必要な経験だったかも知れません。
特に楽器のことで生徒さんからアドヴァイスを求められた時などは、その経験がたいへん役に立っています。
何事にも「無駄」はとても「重要」なのでしょう、矛盾する言い回しですが。



 前述の通り、今はハウザーをメインに使っていて、重要なコンサートはこれを使っています。
私のホーム・グランドとも言えるひたちなか市文化会館との相性もよく、そこでのコンサートの録音を聴いてみると、なかなかいい音をしていると思います。
音の「通り」もよく、大きな会場でも遠くまで通る音をしていますが、柔らかい音を出すのは難しく、弾き方によっては硬めでノイズの多い音になってしまいます。

 ジェイコブソンは低音、高音ともよく鳴りますが、鳴りすぎてしまう音もあるので注意が必要です。
スペイン系などの華やかな曲に合いますが、ピアノ曲のアレンジものもよく合うと思います。
また日頃のレッスンや練習、また合奏にとたいへん便利な楽器です。

 桜井は安定した太めの音で、各ポジションともよく出て使いやすい楽器ですが、音が太い分、微妙なニュアンスを出すのは少し難しいようです。時々練習や、レッスンに使ったりしています。
 
 ロマニロスは低音が「深い」響きをするので、和音などは美しく、自然に響きます。
中、高音の音量はあまりないので二重奏や合奏には向きませんが、弾く人の技術があって、音響のよい会場だと中、高音もきちんと響き、なんといっても美しい音が出ます。
現在はこれらの楽器を曲目や演奏会場など、あるいはその日の気分などで使い分けています。



 私自身の考えでは、楽器は、楽器自体が優れた楽器であるかどうかということよりも、自分のイメージを、なるべく忠実に具体的な音に換えてくれるかどうかと言うことが一番重要だと思っています。
どんなに評判の高い名器でも、あるいは高価な楽器でも自分のイメージに合わなければ無用の長物となります。
また、どんなよい楽器でも一長一短があり、オールマイティーな楽器はないと思います。
名器といわれる楽器ほど個性も強くなり、したがって合うか合わないかもはっきりしてくると思います。
結局のところあまり一般的な評判などには惑わされることなく、自分に合った楽器を選ぶのが大事なのでしょうが、そのためにはやはりいろいろ経験してみるのがたいへん重要です。
なにはともあれ、いろいろな名器を弾いてみるのは理屈ぬきに楽しいものだと思います。
ギターをはじめた以上、弾けても弾けなくても、やはり名器には触れてみたいと思うのは人情?でしょう。
また、その名器によって自分のイメージそのものを上げてゆくことも可能ではないかと思います。


  おわり
スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
http://mitoguitar.blog85.fc2.com/tb.php/8-3c657091
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック