中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

クイーン・ヒミコ・ストーリー  ~なあんちゃって 3




イトの港を出る

 
ヒミコは半年ほど前にイト王である父からヤマトの国で王になることを告げられ、

多くの女官、渡来人、兵士、船乗り、そしてヒミコのたっての願いにより、

同母弟を伴い、イトの港を出た。 

イト王は同行せず、5歳年下のヒミコの妹はじめ、

多くの官や兵士などと共に港まで見送りに出た。 

王の目は心なしか、潤んでいた。

ヒミコが父の顔を見たのはこの時が最後だった。



ヒミコが倭国の女王となってからは、

自由にいろいろなところに行くことや、

様々の人に自由に合うことは出来ないということなので、

ヤマトまでの行程は、なるべくゆっくり、各地を見聞したり、

また各地の王たちに会ったりしながら、ということになった。




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誰しも倭国の女王は、この王女しかいないと思った


ヒミコを乗せた船団はナガト、スオウ、アキ、イヨ、などの港に停泊し、

その地の王などに会った。

どの地でも一行は大歓迎され、豪華な食事などが供応された。

どの王も、初めてヒミコを見た時には、

その目の輝きと、言葉の美しさ感動すると共に、

華奢な体と、まだあどけなさの残る顔には、

今後倭国の運命を委ねることになる女王してふさわしいのかどうか、

一抹の不安を隠せなかった。

しかし一行がその地を去る時には、

誰しもが倭国の最初の王はこの王女しかいないと、確信するに至った。

 


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ヒミコは今現在、倭国で最も勢いのあるキビ王にも会うことになった。

港からキビ王の宮に行く途中、いくつかの墳丘を見た。

聴くと先代の王のたちの墓だという。

この墓を見るだけでも、このキビ国が倭国最大、最強の国だあることが力がわかる。

また、その勢力はキビ地方にとどまらず、ハリマやアキの一部にも達している。

その勢力はイト国とは比べ物にならない。




20130505001255!楯築墳丘墓_頂上





キビ王の宮にて


  「これは、これは、おおきみ(大王)さま、

  ようこそ、このキビの国にお越しくださいました。

  さぞ長旅でお疲れになったことでしょう。

  このキビの宮でゆっくりなされませ、

  ヤマトでのお住まいが出来るまでには、まだまだ月日がかかりますゆえ」




 「まあ、 キビ王さま、 ”おおきみ” なんておやめ下さい、

  私のような年端もゆかない娘子に」



 「何をおっしゃる、ヒミコさまは、

  すでにこの倭国全土の王とお決まりになっておられます。

 私などが拝謁出来ますことは、誠に恐れ多いことであります。

 それにしても、お美しい。 

  イト国王殿が、あれほど手放したがらなかったことが、まことにうなずけます」



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  「やめて下さいませ、あまりざれ言が過ぎると、

  今度の件、ご辞退申し上げますよ!

  いえ、ご安心下さい、そんなこと出来申さぬことはよくわかっております。

  キビ王さまには、多少なりとも私の気持ちを、ご察し存じますれば」



  「いや、 まあ、 なんと申しましょうか、

  イト国王殿とヒミコさまには、今度のことでは、ただただ感謝の限りでございます。 

  倭国の王は、何といってもヒミコさましかおりませぬ。 

  こうして直接拝謁させていただいて、 

  そのことはいっそう、このキビ王の心に刻み付けられました。

  倭国全土と王や民も、すべてヒミコさまが女王になられることを喜んでおります」

 


  「それはそうと、今度の旅は急ぐものではないので、

  ここまでの道すがら、いろいろな国に立ち寄ってまいりました。

  見るもの、聞くもの、はじめてのものばかりで、身も、心も踊っております。

  疲れなど、どこ行く風といったところでございます」





  「ヒミコさまのお口に合うかどうか、

  この地で美味、珍味とされているものをいろいろ取り揃えました。

  また当地の歌や踊りなども、後ほど披露させていただくつもりです」



  「厚かましいとは存じますが、お言葉に甘えて、連れのものと共に、

  幾晩か逗留させていただきます。

  なにとどよろしゅうお願い申し上げます」



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  「父から布など、預かってまいりました。 

  キビ王さまには、くれぐれもよろしくと、お伝えするように申し使っております。

  これらは筑紫の国の特産でございます」



  「これはまた、たいへん貴重なものを。

  筑紫の布は、それはまた、格別なものでございます。

  わがキビでも最近では養蚕なども行うようになってまいりましたが、

  まだまだ筑紫のようにはまいりません、有り難く拝領いたします。

  何か月か前、イト王殿と余人を交えず、

  腹を割ってゆっくりとお話することが出来ました。 

  イト王殿は、さすがかつて漢から倭王の称号を得た王一族とあって、

  本当に出来た方だ。

  イト国だけでなく、倭国全体のことをいつも考えておられる。

  今もって、イト国は倭国の盟主でございます」




  「我がイト国は、かつて漢から倭王の称号を得ていたことは、

  父などから聞き及んでおります。

  しかし、それは昔日のことで、

  今はどの国が最も力があるかといった時代ではありませぬ。

  ただ、父は自身のことよりも、常々、民たちのことを考えて、

  またイト国だけでなく、倭全体のことも考えておられます」




この先100年まとまることはない

  「イト王殿も、今度のヒミコさまの件につきましては、

  格別の苦慮があったと存じますが、

  最後は倭国のためと、折れていただきました。

  ヒミコさまを倭の大王として頂くことは、

  このキビ国はじめ、諸々の倭国の王と民の喜びです」




  「昨年父から、この話を最初に伺いました時には、

  父が何をおっしゃっているのか、全くわかりかねました。

  だんだんその意味が解るにつけ、その重大さに身も、心も打ち震え、

  幾晩も寝付かれませんでした。

  このような恐れ多い大役、私ごときにつとまるはずもございません。

  もしお断わり出来るものでしたら、

  なんとしてでもお断りしたいところでしたが」




  「初代の大倭国王はヒミコさまをおいて、他にはだれもおりませね。

  これは私だけの考えではなく、諸王、

  また諸国の民たちの考えでもあります。

  ここでヒミコさまにお断りされますと、

  倭国がまとまることはこの先100年はありませぬ」




  「確かに、先ほども言いましたとおり、私がお断り申せば、

  これまで多くの方々がご苦労なさって、まとまりかけた話も、

  水泡に帰すと聴かされております。

  また、私のゆくすえは父にゆだねております。
 
  その父がお受けした以上、

  私としては父の命に従う以外の道は、あろうはずもござりませぬ」




  「まことに、これからヒミコさまには、

  いろいろとおすがり申し上げることとなるでしょう。 

  どうか、この禿頭に免じて、このキビ国も、また倭の諸々の国々も、

  くれぐれもよろしくお願い申し上げます」




  「まあ、滅相もございません、 頭をお上げください。 キビ王さま」




  「イト国はまさにカラへの玄関口であります。

  イト王殿にはこれからも一大率の長として、

  倭国のために働いていただくことになるでしょう。  

  何といってもカラとの通商は、

  イト王殿抜きには成しえようもありません」




  「父には大役をいただきまして、キビ王さまはじめ、

  諸王方に厚く御礼申し上げます。

  父も、これからはイト国のためだけでなく、

  倭国のすべて王や民たちのために働くのだと申しております」




イトの日向峠とヤマトの三輪山

  「ヤマトのほうにはすでに私の息子たちが行っておりまして、

  宮の造営にかかっております。 

  人夫なども、多数このキビから出しておりまして、

  今このキビでは、田畑などに行っても人影がまばらになっております。

  イズモやオウミ、オワリなどからも多数人が出ております。

  おそらく、今は倭国の中で、ヤマトが最も人があふれたところと存じます。

  何分、これまで倭国では見たこともないような、

  まるで、漢の洛陽の王宮のような宮を建てるつもりでおります。  

    ・・・・といっても見たわけではありませんがね、ワッハッハッハ。

  そのように、多くの人手を出しても、まだ少し日にちがかかります。

  また宮の周りには運河を掘って、

  人や物の行き来の便を図りたいとも思っております」




  「まことに、キビ王さま始め、キビ国のみなさま、さらに諸国の方々には、

  申し上げる言葉もございません。

  ところで、ヤマトには三輪山という神山があると聴くのですが?」



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  「そうでございます。 いま宮を建ております、ヤマトの纏向というところでは、

  三輪山と竜王山の間あたりから毎朝日が昇り、

  宮もそちらを向くように建てております。

  ヒミコさまには、あちらに行かれましてからは、

  その三輪山や竜王山越しに日の神にお祈りしていただくことになります」




  「そうですか、 イト国にいた時には、毎朝、

  日向峠に向かって日の神に拝礼しておりました。 

  これからは日向峠の代わりに、三輪山ということになるのでしょうね。

  日の神は、この世のいずれの地にも等しく日を照らし奉りますので、

  どの地で拝しても変わらぬことと存じます」
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