中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

偽作の名曲いろいろ



名曲になってしまった偽作

 偽作にもいろいろあって、ポンセの作品の場合は作曲者、またはその関係者が意図的に作り出したわけですが、意図的にではないが、結果的にそうなってしまったものや、その作曲家の真作であるにも関わらず、偽作の疑いをかけられてしまったものもあります。 また、真作か偽作かはっきりわからないグレーな作品なども数多く存在します。

 そうした作品の中にもたいへん優れたものや、また人気の高い作品などもあります。 今回は、そんな ”偽作の名曲” の紹介をしましょう。





 弦とオルガンのためのアダージョ : トマゾ・アルビノーニ



バロック名曲集の看板曲だが

 ”アルビノーニのアダージョ” の名でバロック音楽の名曲中の名曲として知られている曲で、たいへん美しいメロディで人気の高い曲です。 「バロック名曲集」 としたLPやCDのアルバムには必ずと言ってよいほど取り上げられ、写真のようにメイン・タイトルにもなったりします。 

 この曲は、まさにバロック音楽を代表する曲の一つといった扱いをされてきた訳ですが、その曲が本当はバロック時代の曲ではないと言う訳ですから、世の中何を信じれば・・・・・



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イムジチ合奏団のバロック名曲集のCD。 こうしたバロック名曲集のアルバムにはこのアルビノーニのアダージョは欠かすことが出来ないのみでなく、このようにメイン・タイトルになることもよくある。  ・・・・でも本当はバロック作品ではない




当初から ”編曲” とはされていた
  
 しかし当初からこの曲は 「アルビノーニが残した数小節の断片を基に、アルビノーニの研究者であるレモ・ジャゾットが弦とオルガンのために編曲した曲」 とされていて、最初から完全なアルビノーニの作品ではないとされていたので、まあ、そのショックも半分くらいといったところでしょうか。




アルビノーニの名を知らしめるため?

 前述のとおり、真の作曲者のレモ・ジャゾットはアルビノーニの研究家ということで、もしかしたらアルビノーニの名を一般に知らしめるためにこのような作品を世に出したのかも知れません。 そうだとするとその試みは十分過ぎるくらいに成功したのではないかと思います。

 実際に、多くの音楽愛好家がこの作品でアルビノーニと言うイタリア・バロックの作曲家を知ることになたのではと思います。 さらには、ヴィヴァルディの 「四季」 や、パッヘルベルの 「カノン」 などとともに1960~70年代のバロック・ブームの隆盛に大きく貢献した曲とも言えます。




ギター二重奏でもよく演奏される

 また、この曲はギター二重奏にもよく合い、伝説のデュオ、プレスティ&ラゴヤのレパートリーにもなっていました。 昨年私もコンサートで弾きましたが、なかなか評判がよかったです。




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    ギター二重奏版(中村編)




アルビノーニの真作は

 ”真作”よりも ”偽物” で有名になってしまったアルビノーニですが、アルビノーニの真作についても若干触れておきましょう。 トマゾ・アルビノーニ(1671~1751) はイタリアのベネチアの作曲家で、時代的にはヴィヴァルディやバッハとほぼ同世代となります。




協奏曲集や室内楽などのCDが入手できる

 主な作品としてはオペラなどの声楽曲ですが、現在ではそれらはあまり演奏されておらず、CDなども出ていません。 他にヴァイオリンやオーボエのための協奏曲や、室内楽などの作品も多数残されていて、それらの録音は、現在かなり出ています。




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アルビノーニの作品7と作品9の協奏曲集のCD




ヴィヴァルディよりは旋律的

 アルビノーニはヴィヴァルディど同世代で、しかも同じベネツィアで活動したということで(交流はなかったようだが)、 作風などは近いところもありますが、アルペジオなどの同じ音型を繰り返すヴィヴァルディの作品に比べると、アルビノーニの作品はメロディを歌わせるタイプが多いようです。




やはりアダージョとは若干感じが違う

 協奏曲の両端楽章はヴィヴァルディ的に明るくシンプルな感じですが、第2楽章はしっとりと歌う感じで、確かにジャゾットの「アダージョ」と近い感じもありますが、さすがにアダージョほどロマンティック、あるいは感傷的な感じはなく、やはりジャゾットの作品とはちょっと印象が違います。



ジャゾットのアダージョがなかったら

 確かにアルビノーニの作品はたいへん優れたもので、ヴィヴァルディの音楽よりも耳になじみやすい点もありますが、一方で一般の音楽ファンの耳に止まるような、これといった特徴的な作品はなく、もしジャゾットのアダージョがなかったら、一部の専門家やコアな音楽ファンを除いて、この作曲家が注目を浴びることはなかった可能性もありますね。

 
 
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