中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

落ちる話 2




しきたりを守らねえやつは


  「隕石として空から落ち来るものには、小惑星以外に、彗星というのもある。 尻尾の付いた、いわゆる “ほうき星” ってやつだね」 


Halley’s20Comet_20Credit20NASA



 「小惑星と彗星はどう違うんすか?」



  「小惑星は岩石で出来ていて、大ざっぱに言えば地球や火星などと同じで、さっき言った通り、主には火星と木星の間の軌道を回っている。 その軌道も他の惑星と同じく円に近い楕円で、他の惑星の軌道と一面上にある。 

 ほぼ同じ軌道にたくさんの小惑星が回っているわけで、時々小惑星どうしが近づき過ぎたり、衝突したりして軌道が乱れ、他の惑星に近づいたりするものもある。 そうしたものが地球へとやってくるわけだ。

 彗星の方は、岩石成分も少しはあるが、主に氷で出来ている。 太陽に一番近い水星から金星、地球、火星、小惑星、木星、土星、天王星、海王星の太陽系の惑星は、ほぼ同一平面上をほぼ相似形の軌道を周回しているが、彗星の場合はそれ等とは違った軌道を取ることが多い。




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 ただし、ケプラーの法則といって、太陽系に属する天体は、皆太陽を一つの焦点とした楕円軌道を取る。 惑星の場合は円に近い楕円だが、彗星の場合はかなり細長い楕円になっていることが多い。 太陽系の天体は楕円軌道でさえあれば、別に同一平面上でなくても可能なのだが、惑星などの主要な天体はお互いの引力の影響でほぼ同一平面上になっている。

 惑星の場合は、円軌道の関係で、常に太陽との距離はほぼ一定だが、彗星の場合は太陽から非常に離れる場合と、接近する場合が極端になる。 つまり彗星は一般的な太陽系の天体といろいろ違ったふるまいをする。 それで惑星などとの衝突も多くなる訳だ」



 「要するに、彗星は太陽系の ”しきたり” をあまり守らねえってことですかね、だからあっちこっちで喧嘩沙汰になるんすかね」





一見さんお断り


 「そうかもしれないねえ。 彗星は基本氷で出来ているから、太陽に近づく度に水分などが蒸発してしまう。 それが彗星独特のあの長い尾になるわけだ。 彗星も太陽から遠いところにある場合は尾を曳かない。 そして太陽に近づくたびにやせ細ることになり、ある程度の回数、太陽に近づくと水などの揮発成分を失い、完全に尾を曳かなくなる。

 なかには非常に大きな軌道で回っている彗星もあり、太陽系の果てまで言ってしまうこともある。 また数百万年に一度くらいしか太陽に近づかないものもあり、そういったものは一度きりしか観測されない」

 太陽に近づく時もあるのだが、かなり遠くにまで言ってしまう時もある。 中には数百万年に一度くらいしか太陽、つまり地球の近づかないものもあって、たった一度しか観測されない彗星も結構ある」



 「“一見さん”ってやつですね、そう言うのは 『一見さんお断り』 っていって、断わっちゃいましょう、常連さんの紹介がねえとダメだって。 で、小惑星と彗星、どっちの方が恐いんで?」



 「それはなんとも言えんな。 印象的には、彗星は氷だから、衝突の威力は岩石で出来ている小惑星より弱そうな感じがするが、地球への影響は、かえって重大かもしれない。

 6500万年前の話も、これがもし小惑星ではなく、同じくらいの大きさの彗星だとすると、多量の水分、つまり水蒸気を大気中にばらまくことになり、強烈な温暖化をもたらし、生物への被害はさらに大きかったろうとも言われている。 



「ただの氷の塊だなんて、バカにはできねえってことすね」






恐竜長屋

 「落下したのが小惑星だったので70%の絶滅で済んだのかもしれないね。 ともかく、当時はネズミくらいの大きさだったと言われている、我々の先祖の哺乳類は生き残ったわけだ。 恐竜の方では、鳥類の先祖となるものだけが生き残ったようだ。 もしその時落下したのが彗星だったとしたら、我々の先祖たちもどうなったかわからない。

 まあ、恐竜たちには気の毒かも知れないが、私たち人間を含む哺乳類が現在生態系の頂点にいるのは、あの小惑星の衝突のおかげといってもよい。あの隕石衝突がなかったら、地球は今でも恐竜に支配されていたかもしれない」



 「じゃあ、小惑星がおっこってこなかったら、この長屋には恐竜の大家さんと、恐竜の熊公や、あっしなんかが住んでいたってことですかね?  そうすると大家さんはちょっとばかし動きが鈍いので、草食恐竜の ”ブロントサウルス” ってとこですかね、 あっしは結構すばやいから ”ヴェロキラブトル”  熊公は肉食系の代表、ティラノで決まりかな?」




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  体長40メートルにもなる最大の草食恐竜。 かつてはブロントサウルスの名で親しまれてきたが、最近ではアパトサウルスと同種であるとされ、この名では呼ばれなくなった。





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ヴェロキラブトル  体長2メートルほどの小型恐竜だが、極めて機敏で、獰猛。 鋭い鍵爪が武器。 小型の動物にとってはティラノサウルスなどよりも脅威だったかも。





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肉食恐竜というより、恐竜の代表とも言えるティラノサウルス。 かつてはこのように頭を上げて、ゴジラのような姿で描かれていたが、最近では下のようにT字型のやじろべえのゆな姿に描かれる。 このように描かれると、恐竜と鳥類は非常に近く感じる。


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こまけえこといっちゃいけねえ

 「八つぁん、やたら詳しいね?  さっき 『トカゲのお化けみたいの』 なんて言ってなかったっけ?   ・・・・ううん、何だか怪しいね、小惑星を小学生と言い間違えたのも。   なんか、妙にわざとらしかったし」



 「まあ、いいじゃないですか、落語なんだから。 そう言うこまけえこといっちゃいけね」



 「でも、そういう見え透いたボケはだめだよ、見え透いたやつはね。 最近の落語のお客さんは目が肥えているんだから」



 「まあ、まあ、  おかげで大家さんの大好きな ”うんちく” を好き放題語ることが出来るってもんすよ。 うれしいでしょ。 それはそうと、その大昔におっこってきたみてえな ”でかいやつ”  またおっこてきたりはしねえんすかね。 今じゃアメリカの方にナサだか、カサだかあって、その辺はちゃんと見張っていると違うんすか?」



 「懲りずにやっているね。 確かに最近では地球に近づきそうな小惑星などは主要国の研究機関などで監視するようになった。 でもそれは本当に最近になってからだ。

 アリゾナのクレーターや、20世紀に起こったシベリア・ツングースの大爆発、例の恐竜の絶滅が、小惑星などの落下によるものとはっきり断定されたのはわりと最近で、信じられないかもしれないが、ちょっと前まで、6500万年前の大絶滅が、隕石の落下によるものということを、ほとんどの学者は本気にしていなかった。 素人が面白半分に考えたことくらいにしか思ってなかったようだ。

 それらのことが小惑星などの落下によるものとはっきり断定されるようになったのは1990年代になってからだが、ちょうどその頃、木星に “シューメーカー・レヴィ第9彗星” というのが衝突した、1994年だ。



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他人事ではない

 衝突した場所が地球とは反対だったので、衝突そのものは観測出来なかっが、木星の自転で衝突地点が地球の方を向いた時、その破壊の影響が直径12000キロの範囲に及ぶことがわかり、天文学者や各国政府機関などが、改めてその破壊力に驚いたと言う訳だ。 直径12000キロといえば、地球の大きさにも匹敵する。




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 この彗星はかなり前から木星のすぐ近くを回っていた訳だが、木星の非常に大きな重力による潮汐力により砕かれ20個以上の破片になったので、地球から見ると細長くなった。 その映像などはテレビでも放映していたから、見た人も多いと思う。

 木星には、その後もこの彗星ほど大きなもはないが、かなり頻繁に彗星が落下していることがわかった。 木星は地球の300倍以上の質量があるので、それだけ彗星などを弾きよせやすいということはあるのだけれど、しかしこうした事を、理屈ではなく、実際の映像として見せられると、当然我が地球も他人事とは言えなくなってくる。 そうしたことで、現在は地球に近づきそうな小惑星や彗星はいろいろな機関で監視されるようになった」




「じゃあ、とりあえずは安心てとこなんすか」



 「今現在は、比較的大きな天体なら把握出来ているようだが、4年前のロシアの隕石落下は、実際に落ちてくるまで、全くわからなかった 。落ちたのが昼間だったこともあるが、直径10メートル程度だと全くのお手上げ状態だ。

 それにしても地球には大気があってよかったね、この程度の天体なら、たいていの場合、大気の摩擦熱により空中で爆発して小さな破片となって落ちてくる。 ロシアの隕石だって、空中で爆発せず直接おちてきたら相当な衝撃だったろうね、人的被害の可能性は十分にあった」


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