中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 落ちる話  3




もし、衝突するとわかったら

 「それでもし、 『もしかして、この大きめの小惑星、地球にぶつかるんじゃねえのって』 ってなった時、どうすんですか? みんなで火星かどっかに逃げようったって、そう簡単に逃げられるもんじゃなさそうだし、 しょうがねえからみんなで最後の晩餐でもやるしかねえんすかね。  ・・・・そん時は何食おうかな」



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 「そううだね、大きな小惑星などが地球に衝突する可能性が非常に高いと分かった時、どうすればいいのかってことになるね。 ただ黙って運命に身を任せるでは人間らしくないかも知れない。

 その点については、今現在いろいろ議論されたり、いろいろな考えが出されているが、決定的な対処法はまだないといっていい。 こうした天体の衝突を真面目に議論されるようになったのはごく最近だから、やむを得ないところだろうね。 そこで、まず考えられることとしては、核ミサイルで破壊するか、すくなくともその爆発の威力で軌道を変える、という方法だろう」




「その手があったか、違った意味で“核の平和利用”ってやつですね」




 「しかしそれほど簡単ではない。この前、例のお隣さんでミサイルを高度2000キロまで上げたといって驚異となっている。 確かに人工衛星や宇宙ステーションなどの高度からすると2000キロというのはだいぶ高いけど、地球の直径、約13000キロからすれば、キュウイ・フルーツの毛の先みたいなもんだ。

 そんなところで核ミサイルを小惑星に当てたら、すべて地球に降り注ぎ、被害を拡大することになって、絶対に使えない。核を使う場合は、まずは地球からは十分に遠いところで使うしかない。 軌道を変えるにしても、かなり遠いところでないと効果がないだろう」




 「やっぱり、核を使うと、回りまわって自分のところにも災いが降ってくるというところですかね」





送りオオカミ

 「核を使う場合の最善の方法としては、その小惑星が地球に衝突するとしたら、その前に何回か地球の近くを通ることが多い。その帰り道、つまり地球から遠ざかる時を狙うのが、最も効果的と言われている。

 この方法だと破壊した惑星の断片などは地球から離れてゆく方向に進むので、放射能を帯びた物質などが地球に降り注ぐことはない。 またそれほど地球から離れてなくてもよい。 ミサイル、ないしはミサイルを搭載した宇宙船が小惑星に接近するのも、この方法のほうが最も確実だろう」




 「帰り道を狙うなんて、まるで “送りオオカミ” っすね。  『お嬢さん、夜道はあぶねえから、あっしが家までお送りしましょう、 まあまあ、遠慮なんかいりやせん』 ・・・・なんてのが一番あぶねえ」





 「この際、人類の存亡がかかっているからね、卑怯だの、やり方が汚いとか言ってられないだろうね」





ちょっとばかし道を

 「核とか、そう言う物騒なもの以外に、もっと穏便な方法はねえんですかね、穏便なものは。 例えば・・・・・・・・・

 『こらまた、彗星の旦那! 今日はどちらへ? 相変わらずこちらの旦那はいつも見ても粋で、いなせで! ええ、 それにしてもまた、ほれぼれする見事な尻尾で。 その長さと言い、色と言い、つやと言い、ええ、 ホントに。  ハレーだの、ヘールポップだの、目じゃないすね、彗星といったら、もうこちらの旦那で決まりで、ええ、ホントに。

 ハレーの旦那なんかも、一時期、えらく羽振りもよかったんでげしょうが、この前見た時なんぞ、本当に評判倒れで、ええ。 落ち目になっちゃおしまいっすね。 そこいくとこちらの旦那は、まさに売り出し中、人気絶頂っすね。 地球の女連中も、あの尻尾に巻かれてみたいって、そりゃあ、もう、メロメロですよ、ええ、ホントに。

 ところで、ほんのちょおっとばかし、おねげえ ・・・・ちゅうてもなんすが、 この先、ちょっとばかし取り込んでおりやして、ええ。  ちょっとばかし通り道を変えていただけねえでしょうか?  ええ、もう、そりゃあもう、ほんのちょっとで結構なんで、ええ。

  このまま進んで行っちまうと、旦那のほうにもいろいろ、ご迷惑をおかけすることになるんじゃねえかって、 ええ、 いろんな人が言うもんで。  こちらの彗星の旦那にもしものことでもあれば、この太陽系の町内は火が消えたようになっちまうってもんで、 ええ、 ええ』



Halley’s20Comet_20Credit20NASA




 ・・・・・・・・・・なあんて、説得できねえんでしょうかね」






 「真面目に答えることじゃなさそうだけど、もちろん説得出来る相手でも、おだてに乗る相手でもないのは確かだ。 また彗星の意志で地球に近づく訳でもなく、彗星とすれば、ただ太陽の大きな引力に引っ張られているだけだ。 地球から見れば彗星がぶつかってくるということになるが、彗星からみれば、自分の公転軌道に地球が入り込んできて、地球こそ迷惑な相手かも知れない。




猫の首に鈴

 それはともかくとして、仮に衝突の可能性がある天体が彗星だとすると、その彗星に太陽の熱を吸収するパネルを張って氷を少しずつ融かし、その彗星の質量が変化することにより軌道が変化することを狙うなどと言ったことも考えられているようだ。 また、帆を取り付けて太陽風の圧力で軌道変える方法なども考えられている」




 「でも、どうやってパネルや帆を、彗星に取り付けるんすかね? まるで“猫の首に鈴”ですね」




 「ちょっと前、例の「ハヤブサ」が、小惑星「イトカワ」から試料を持ち帰ってきた訳だから、技術的には十分可能なじゃないかな。 他に、宇宙船をそっと、その天体のそばに寄せて、その宇宙船との引力で若干軌道を変えると言う方法も考えられている、かなり小さな引力だが」





 「また地味なやりかたですね! 熊公のカミさんの着ている物くらい地味だ!」




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江戸時代には頻繁に贅沢禁止令が出され、庶民の着物の色は茶色や灰色などの地味な色に限定された。





結局、神頼み

 「結論としては、さっきも言った通り、今のところは決定的な対処法がないのが事実のようだ。 多分、あと50年か100年くらいしたら、なんとか具体的な対策が出来るようになるじゃないかな。 それまでは、ただ、大きな天体が落ちてこないように祈るしかない」




 「結局は神頼みすか、まだまだ世の中、進んでいるようで進んでねえなあ」

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