中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。


 今日(3月4日)水戸市の佐川文庫で、パヴェル・シュタイドルと宮下祥子さんのジョイント・ギター・リサイタルを聴きました。佐川文庫でコンサートを聴くのは初めてですが、いつもは室内楽や、ピアノなどを中心に質の高いコンサートを催しているそうです。確かに、いつもよくお会いするギター愛好者以外にも、おそらく一般の音楽ファンと思われる方々もたくさん来ていました。

 宮下さんの独奏(アラビア風奇想曲、アルハンブラの想い出)で始まりました。私は前から2列目というたいへん良い席だったのですが、音のほうは実際の距離(4メートルくらい)のわりには遠く感じられました、ギター文化館などに慣れすぎているからなのかも知れません。でも演奏者の間近なので指などはよく見えます。宮下さんはトレモロを通常とは反対のpimaの順で弾いているそうですが、それがよくわかります。確かに人によってはこの方がよいのかも知れません、もちろんたいへん美しい音で演奏していました。

 シュタイドルはプロフィールによれば1961年、チェコの生まれで、1982年にパリ国際ギター・コンクールに優勝しているそうです。レニャーニのカプリースを弾いたCDを持っていたので、多少は知っていたのですが、聴いてびっくり、見てびっくりでした。プログラムではパガニーニの曲から始まることになっていたのですが、実際にはメルツのロマンツァから始まりました。楽器はシュタウフェルのレプリカだそうですが、軽くよく響きます。シュタイドルの演奏は音も表情豊かですが、顔のほうもたいへん表情豊かです。パガニーニのソナタはギター独奏用の曲だと思いますが(たぶんMS84-21他)、かなりヴルトーゾ的な曲で、しかもヴァイオリン曲のように聴こえます。原曲とはかなり違うようですが、それにしてもものすごいテクニックです。ジュリアーニのロッシニアーニ(第1番)は相当な難曲のはずですが、軽々とというか、軽快で楽しい感じに聴こえます。

 宮下さんとの二重奏のソルの幻想曲はコスト編の方ですが、それにシュタイドルが自由に即興を加えて演奏していました。

 なんといっても圧巻は自作の「オブロフスカ賛歌」でしょう、どう表現していいかわかりませんが、超絶技巧の連続といった感じで、ともかくギターをやっている人というか、ギターに興味のある人は一度聴いてみる、あるいは見てみるしかないと思います。普通、ギターは左手で押さえて、右手で弾くということになっていますが、そんな常識も関係ない感じで、右手は右手、左手は左手といった感じです。おまけに笛か何かの音が聴こえてきたと思ったら、本人が声を出しているではありませんか! しかも重音で!

 もっとも演奏しながらずってハミングのような声はずっと出しているのですが、ここでの声はそれとは全く違います。どこかで重音を出す唱法があるという話を聞いたことがありますが、シュタイドルはギターを弾きながらそれをやっているわけです。

 ちょっと長くなりましたが、シュタイドルは私がこれまで聴いたギタリストとは全然違ったタイプのギタリストでした。今日のコンサートは「未知との遭遇」といった感じです。そういえばこのギタリスト、どことなく宇宙人ぽいかな。

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