中村俊三 ブログ

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バッハ:平均律クラヴヴィア曲集 4



第1巻を完成させても、まだ満足しなかった?

 バッハは24の調によるプレリュードとフーガからなる第1巻が完成してからも、この形で作品を書くことの意欲は衰えず、さらに第2巻をまとめます。第2巻の完成時期は不明なようですが、晩年の1740年代と考えられています。

 それにしても凄いですね、24の調でのプレリュードとフーガ、計48曲による 「平均律クラヴィア曲集第1巻」 を書いても、まだまだ物足りなく、さらにもう一度同じ規模の第2巻を完成させたわけですから。 バッハの作曲意欲というのは、最近の言葉で言えば  ”ハンパない” ですね。



第2巻は、1冊の本のようにはなっていない

 この第2巻は第1巻のように音楽帳の形にはなってなく、したがって巻頭の言葉もありません。 それぞれの曲が1枚の紙の裏表に書かれており、個々の作品についての作曲年代も若い時のものから晩年のものまで、かなりの幅があるようです。 



曲集としてのまとまりは第1巻に分が

 第2巻は、個々の作品については第1巻よりも内容の濃いものがあるとしても、1冊の音楽帳にはなっていない分だけ、やはり24曲全体のまとまりは、第1巻に比べるとやや希薄かも知れません。



最後のロ短調は超重量級な第1巻に比べると、かなり軽い

 第1巻においては、プレリュードもフーガもシンプルなもので始まり、最後のロ短調はプレリュード、フーガ共に長大で、この曲集を締めくくるのに相応しいものになっています。 その一方で第2巻の最後のロ短調のプレリュードとフーガは、24曲を締めくくるにしては、拍子抜けするくらい軽く、短いものになっています。



私自身では第2巻の方をよく聴くが

 長大な内容のものが2つあるということで、やはり一般的にも第2巻の方が印象が薄くなるのはやむを得ないところかも知れません。 バッハ愛好者でも、第2巻の方に親近感を持つ人は少数派でしょう。 ただ、私自身としては特に最近は第2巻を聴くことの方が多くなっています。



抜粋して個々の曲の話も

 今回の記事は作品について語るというより、CDを聴いた感想を主に書きたいと思いますが、それでも一応個々の曲のことも書いておきましょう。 といっても、計96曲の曲集ですから全部書いていたのではたいへんなので、印象的な曲、あるいはオススメの曲だけを書くことにしましょう。




第1巻の第1番ハ長調

 やはり最初の第1巻、第1番ハ長調は触れておかないといけないでしょう。ハ長調のプレリュードはご存じのかたも多いと思いますが、全曲アルペジオで出来ていて、19世紀の音楽家、グノーがこのプレリュードの上にメロディを付け加え「アベ・マリア」としています。



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第1巻 第1番ハ長調のプレリュード  全曲アルペジオで出来ている



グノーの「アベ・マリア」の原曲

 確かに原曲ではアルペジオのみなので、言ってみれば ”伴奏だけ” みたいな曲です。 主旋律がないので、確かに付け加えたいという気持ちもわかります。 因みにシャルル・グノーは19世紀のフランスの作曲家で、代表作としては、オペラ「ファウスト」などですが、このアベ・マリアの方が有名でしょう。


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アメリカのギタリスト、クリストファー・パークニングはキャスリ・バトルとこのグノーのアベ・マリアを録音している。 このCDには他にヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ第5番」や、グラナドスの「ゴヤの美女」なども録音している。




和声の移り変わりがすべて

 もちろんバッハの傑作を単なる伴奏扱いにしてしまうのは、今現在なら考えられないところですが、でもこういったはっきりとした主旋律のない曲はどう聴けばよいのか、ということになります。 

 結局、こういった曲では “和声の変化” がすべてで、それを楽しむと言うことになるのでしょう。 もちろんそれが楽しめる人とそうでない人がいるとは思いますが。



最もシンプルな形から作曲を始めた

 バッハとしては、この長大な計画の第一歩はハ長調という、もっともシンプルな調で、アルペジオのみという最もシンプルな音楽を書いたと言うことなのでしょう。 シンプルではありますが、しかし音楽的には深い内容の、レヴェルの高い曲と言えるでしょう。 もちろん私もこの曲を聴き始めた頃は、その良さはあまりわかりませんでした。




ギター・バージョン

 因みにこの第1番ハ長調のプレリュードは、クリストファー・パークニングを始め、いろいろなギタリストが弾いています。 私もアレンジを試みたのですが、原曲のハ長調ではなかなか難しく、ニ長調にアレンジしてみました。 バッハは調にこだわったわけですから、移調するのはあまりよいことではないかも知れませんが、背に腹は代えられないということで。



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第1番のプレリュードのギター・バージョン(私の編曲)  ハ長調で弾くのが最もよいとは思うが、最後のほうは、かなりりキツイ。オクターブ下のドがあればよいのだが、⑥弦をドにしてしまうと、他のところがたいへん。




 ハ長調とニ長調でどちらが弾き易いかということですが、譜面としてはハ長調の方が読みやすいですが。特にド(⑤弦)の1オクターブ下の音が出せないので、音域がかなり狭くなってしまいます。 ⑥をドに下げてしまう方法も考えられますが、それでは他の和音が弾けなくなってしまいます。




⑥弦をレにしてニ長調にしたほうが

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6弦をレにしたニ長調バージョン  ニ長調にしてもそれほど弾き易くはならないが、最後のところが楽で、原曲に近い響きとなる。




どうせ頑張るなら

 ニ長調にして⑥弦をレにすることで、音域の確保が出来ますし、まあまあ弾き易くなります。 でもあまり簡単ではないので、どうせ頑張って弾くなら、他のバッハの曲にしておいた方がいいかなとも思います。 ギターでは簡単そうで、簡単ではない曲といえるでしょうね。

 
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