fc2ブログ

中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

バッハ:平均律クラヴィア曲集 9



第7番変ホ長調



変ホ長調といえば、「英雄」、「皇帝」 などの名曲があるが


 変ホ長調と言えば、ベートヴェンには 「英雄」、「皇帝」、「7重奏曲変ホ長調」 と言った名曲があります。 モーツアルトも変ホ長調で交響曲第39番、ピアノ協奏曲第22番などを書いていて、古典派時代では、変ホ長調は比較的ポピュラーな調です。 

 しかしバッハの曲では変ホ長調はあまりないようですね、とりあえず思いつくのは 「無伴奏チェロ組曲第4番」 くらいしかありません。 同時代のヘンデルやヴィヴァルディにもほとんどありませんから、バロック時代では変ホ長調というのはかなり珍しい調だったのでしょう。



バロック時代には使われない調が結構ある

 クラシック音楽としては結構ポピュラーな変ホ長調でさえ、こんな感じですから、この平均律曲集で書かれている24の調のうち、ほとんどこの曲集でしか出てこない調がかなりあることが想像出来ます。



おおらかな感じがする

 プレリュードは16分音符中心に書かれていますが、のびやかな感じがします。途中で32分音符があることからも、おそらくそれほど速いテンポは想定されていないでしょう。 その32分音符のパッセージの後、4分音符と2分音符中心のコラール風の部分が表れます。 その後再び16分音符中心の比較的長い部分となります。 



IMG_0001_20170816171510930.jpg
このプレリュードは結構長い。 このあと4分音符や2分音符で書かれたコラール的な部分となり、その後に16分音符でかかれた ”一見” フーガ風の部分となる。





フーガのようでフーガではない?

 この部分は模倣的で、ちょっと聴いた感じではフーガのように聴こえます。 しかしよく譜面を見ると音型は微妙に変えられ、フーガにはなっていません。 そう言えば前にフーガらしくないフーガというのもありましたが、こちらはその逆と言った感じです。

 このプレリュードの後半部分はその直前に出てくるコラール風の部分と関係があるのは確かなのですが、単純に変奏や装飾と言った感じではないようです。 いずれにしてもプレリュードとしては力の入った曲で、長さもこの曲集の中でも1,2を争う長さになっています。



モーツァルトやベートーヴェンにも通じるところがある

 ”本物” のフーガのほうも明るくおおらかな感じで、テーマにはアルペジオなども含まれていて、声楽的というよりは器楽的、あるいは鍵盤的と言った感じと言えるでしょう。 やはりバッハも変ホ長調と言う調には明るく、のびやかな印象があるのでしょう、これらの印象はモーツァルトやベートーヴェンの曲にも通じるところもあります。 楽しい感じのフーガなのですが、エンディングは半音階で、そっと消えるように終わります。



IMG_0002_2017081617183132e.jpg
プレリュードは声楽的だったが、フーガは器楽的で、軽い感じ。







第8番変ホ短調



変ホ短調など、この曲集で初めてみる人も

 フラット3個の変ホ長調でさえ、バロック時代にはあまり作品がなかったわけですから、フラット6個の変ホ短調など、おそらくこの時代にはほとんど使われなかったでしょう。 当時としては変ホ短調など、この平均律曲集で初めて見る、などという人も少なくなかったでしょう。



IMG_0003_20170816171921083.jpg
なんか、ギター曲ぽい。 フラット6個で、ギター愛好者には読みにくいと思うが、6個のフラットを無視して、ファをシャープとすれば、ホ短調となる



プレリュードはアランフェスぽい?

 プレリュードのほうは2分音符で和音をならしながらメロディを歌わせるタイプになっています。 なんだかギターぽいですね、アランフェス協奏曲の第2楽章みたいな感じです。 ギター独奏だとちょっと厳しいですが、ギター二重奏にはすっぽりとはまってしまいそうですね。 



ギターだったら当然ホ短調

 今のところあまりやっている人はいませんが、そのうちやってみようと思います。  ・・・・・・その時は、フラット6個の変ホ短調ではなく、当然のことながら半音上げて、シャープ1個のホ短調でしょうね。





単独のテーマによる長大なフーガ

 フーガの方は、これぞフーガの主題といった、悠々とした声楽的なテーマによるフーガです。 オルガン、または大編成のコーラスが似合いそうな堂々としたフーガですが、第4番のフーガのように3重フーガではなく、単独の主題によるフーガです。



IMG_0004_20170816172002038.jpg
正攻法で堂々とした感じのフーガ。 オルガンや合唱が似合いそう。




 単独の素材を極限まで使いつくした、正攻法、あるいは求心的なフーガと言えるでしょう。 最後の半音階での ”せり上がり” も迫力満点。

 この平均律曲集のフーガはどちらかと言えば、軽妙なものが多いのですが、この第8番のフーガは第4番のフーガと並び、重厚で長大なものになっています。 この第8番はプレリュードもフーガも聴きごたえ十分なものです。

スポンサーサイト



コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する