中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<進路>


受験の物理は得意だったが


 子供の頃から将来は理科系の仕事に就こうと思っていました。当時は工業高校が人気が高く、私も小学生くらいの頃は将来工業高校に進学するつもりでいましたが、だんだんに自分は電気関係や機械いじりなどはあまり好きでないことに気づき、中学生の頃には普通高校に進もうと思うようになりました。はっきりと物理学を意識するようになったのは高校に入ってからで、同じ理科系の科目でも数学や化学などはイマイチだったのですが、なぜか物理だけは成績がよく、自分に合っているように思いました。特に大学の受験問題などでは難問とされているような問題でも解けない問題はあまりなく、模擬試験などでも物理だけはかなり高い点をとっていました。しかしこれが大きな誤解だったことはまた後でお話するかも知れません。「受験の物理」と本当の「物理学」とは全く別物です。また前にお話したとおり、地理も結構得意だったのですが、将来の仕事となるとあまりイメージが湧かなかったので、こちらのほうは将来の進路としては考えませんでした。



その意味を理解するには

 大学のほうは国立の金沢大学、茨城大学、私立の東京理科大のそれぞれ理学部物理学科を受験しました。面談の時、担任の先生から「お前なんで物理学科だけ受験するんだ、○○大学だったら工学部のほうが評価が高いんじゃないか。それにお前の成績だったら○○大学の○○学部のほうが確実なんじゃないか」と言われ、「でも自分は物理学をやりたいと思っていますので・・・・・」と言うと、先生は「そうか、でも物理ってあんまりよくないぞ、結構苦労するしな」と付け加えましたが、それ以上目の前にいる小柄で色の黒い生徒に、自身の考えを押し付けることはしませんでした。私がその先生の言葉の意味を理解するには、それから約3年ほど必要でした。ちなみにその担任の先生も物理学科卒業です。


その町が気に入って

 最初に受験した金沢大学は城跡がそのまま大学構内になっていて、さらに堀を隔てて日本3大公園の一つ、「兼六園」もあり、ほとんど観光地です。雪の兼六園は確かに美しいものでした。また3泊ほどした旅館はなんとも風情があり、夫妻の言葉使いや立ち居振る舞いも品があり、さらに20代と思われるそこの娘さんも、その旅館にぴったりの日本的なしとやかな女性でした。私はすぐにこの町が好きになり、ぜひともこの大学に入学したいと思いました。試験の初日は国語と社会でしたが、苦手な国語はいつになく快調で、得意な地理は相変わらず絶好調。初日を終えた段階で、内心合格を確信していました。


金沢大学で滑る

 当時、大学構内へとかかる橋のたもとに「金沢大学」と書いた建て看板がありました。二日目の朝、私は身も心も軽く、旅館を出て、橋を渡って大学構内へ行こうと、その看板の横を通りかかりました。その時、横目でその看板を見ながら「これから毎日この看板を見ることになるかも知れないな」と心の中でつぶやきました。すると突然、私の体は宙に浮き、次の瞬間、尻に強烈な痛みを感じました。


よそ者

 3月上旬ではこの地方はまだまだ雪が残り、雪のシーズンは地元の人たちは皆、長靴を履いています(今はどうかわかりませんが)。老若男女、美しく着飾った女性でも足元を見ると皆長靴です。いわゆるブーツなどではありません。普通の靴を履いている人がいたら、それはみなよそ者ということになります。この「金沢大学」の看板の前は傾斜している上に、足元の雪は受験生などによって踏み固められ、アイス・バーン状態です。そんなところを革靴で、しかもよそ見をしながら歩いている者などいれば転倒しないはずはありません。物理的にも、精神的にも「地に足が付いて」いなかった私は格好の餌食になってしまったわけです。


そんなの出来すぎ

 とても痛かったのですが、それよりも恥ずかしい方が先にたちました。まわりを歩く受験生たちは「これで一人落ちたな」と思ったでしょう。まわりが気になって痛がることも、尻に付いた雪を払うことも出来ず、しばらくそのまま歩いてから雪を払いました。「え、冗談だろ! 看板の前で滑る=試験不合格、 そんな馬鹿な、 出来すぎだろ、そんなの! 馬鹿な! 受かるってことじゃないの、逆に! 」などと自分に言い聞かせながらその日の試験に臨みました。二日目以降の得意としていた理科系の科目は、確かに多少手こずった感じがありました。「若干イマイチの科目もあったが、まあトータルそこそこだろう、大丈夫! 」と思いながら初めて乗る寝台列車で栃木の家に帰りました。それから10日ほどして合格者の新聞発表がありましたが、自分の名前がありません。それでも「物理学科だけ発表が翌日なんじゃないか」などと、合格しなかったことがすぐには信じられませんでした。
 
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