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中村俊三 ブログ

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バッハ:平均律クラヴィア曲集 25


第2巻





長いフーガ

 今回は、平均律クラヴィア曲集第2巻の中の、長めのフーガに注目してみます。 第1巻の方では第4番、第8番、第12番など、”4の倍数番” で、短調の声楽的なテーマを持つフーガが長いものになっていましたが、この第2巻ではどうでしょうか。







第10番ホ短調



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 3連符、16分音符、付点音符などが使われ、リズムの変化のあるフーガになっている。




器楽的で、リズムに特徴

 前述のとおり、第1巻では、短調で長いフーガには声楽的なテーマが用いられていましたが、この第2巻の第10番ホ短調のフーガのテーマは、短調でで長いフーガでありながら、テーマは声楽的でなく、器楽的のものと言えます。

 このフーガのテーマの特徴は、何といってもそのリズムにあるでしょう。 3連符、16分音符、付点音符が用いられ、さらにバッハの手により楔型のスタッカート記号が書かれています。

 バッハがこのような記号を書きこむのは珍しく、それだけ、この曲においては、リズムに力点が置かれているのでしょう。 この曲だけでなく、第2巻においては、リズムへのこだわりが強い曲が多くなっています。








第11番ヘ長調




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16分の6拍子というあまり見かけない拍子となっているが、別に変わった拍子、あるいはリズムで書かれている訳ではない。



長調だが

 第1巻では長調のフーガに長いものはありませんでしたが、この曲は長調でありながら、99小節と比較的長いフーガとなっています。 ただ、16分の6拍子で速めに演奏されることが多いので、小節数の割には演奏時間は短く、聴いた感じでは長いフーガといった印象はありません。




なぜ16分音符で?

 ”16分の6拍子” とあまり見かけない拍子記号ですが、要するに8分の6拍子になるところを、8分音符の代わりに16分音符で書いたと言うことで、特に変わった拍子ではありません。

 でも、なぜバッハは8分音符で書かないで16分音符で書いたのでしょう。 速めのテンポを取ることを意味しているは確かと思いますが、他に16分音符は8分音符よりも”軽い”イメージがある)(たぶん)。 そうしたことなどで、バッハは16分音符でこの曲を書いtのでしょう。

 この曲も第10番同様に楔型のスタッカート・マークを書いていますが、音符的にはほぼ全曲16分音符で書かれているので、リズムの変化はあまりなく、またフーガとしてもシンプルなほうで、練習曲的な感じがあります。






第14番嬰へ短調



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第14番嬰へ短調はアリア風の美しいプレリュードを持つ。 フーガの方も充実した3重フーガとなっていて、第1巻の第4番嬰ハ短調と似ている。




声楽的なテーマを持つ3重フーガ

 この第14番嬰ヘ短調は、プレリュードについても書きましたが、たいへん美しいアリア風のプレリュードでした。 フーガの方もそのプレリュードに合わせるかのように声楽的な、堂々としたフーガです。 





第1巻の第4番嬰ハ短調を思い起こさせる

 プレリュードがアリア風で、フーガが3重フーガになっている点は第1巻の第4番嬰ハ短調を思い起こさせます。 新しい感じのする曲が多いこの第2巻にあっては、久々の古風で正統的なプレリュードとフーガといったところでしょう、いかにもバッハらしい曲です。




最後は短和音でも、長和音でもなく

 第1巻においては、短調の曲でも最後は長和音で終わるようになっていました。 この第2巻においては短和音で終わる曲もいくつかあるといってことを前に言いましたが、このフーガでは、最後は和音でなく、オクターブの主音のみとなっています。 短和音のままでは終わらないが、かといって長和音にもならないというところでしょうか。







第16番ト短調


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このフーガのテーマは、ポツリ、ポツリと、隙間の多い音符で始まるが、4小節目の同音が6回続くところから、音楽が一気に進み出す。




6個同じ音が連続

 このフーガのテーマの特徴は、何といっても4小節目で同じ音(ド)が6個続くということでしょう。 前回同じ音が3個続くテーマの話をしましたが、これはその2倍の6個と言う訳です。

 同じ音を6回繰り返すというのは、曲を作る時、意外と勇気のいることかなと思います。 同じ音を6回も繰りかえすと、なんか、工夫と創意がないように思われたりして。  ・・・・・・もちろんバッハ場合には関係のないことと思いますが、でもあまり聴かないですね、こういったフーガのテーマは。




推進力

 この曲においては、この6個の音が、曲を前に進める強い推進力となっているようです。 もちろんこのフーガ自体は声楽的ではなく、器楽的で、リズムが大きな存在感を持つ曲となっています。 また最後のほうでは3度のユニゾンが多用されていて、個性的なフーガの一つと言えます。



 



第18番嬰ト短調


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  こちらは本当に”8分の6拍子” 



こちらは8分音符で書かれ、穏やかな曲

 こちらは本当に8分の6拍子で書かれていて、穏やかな感じです。 確かに第11番よりはゆっくり目のテンポが似合うでしょう。
リズム的にも穏やかですが、半音階が多用されているのが特徴でしょう。 3声のフーガですが、その、半音階の使用と、3声ともフルに動き回るので、あまりシンプルな曲ではありまあせん。




次のプレリュードと似ている?

 余談ですが、このフーガは次の第19番のプレリュードとちょっと似ています。 つまり同じような感じの曲が2曲続くわけです。 たぶん ”たまたま” だと思います。



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第19番のプレリュードは、前の18番のフーガと似たような音型で始まる。 あまり意図的なものではないと思うが、第2巻においては、曲集全体のことはあまり考えなかったので、このようになったのだろう。








第22番変ロ短調




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第1巻においては、最後の24番ロ短調のフーガが堂々として規模の大きいものだったが、第2巻ではこの第22番のフーガが第2巻中、最大の規模のフーガとなっている。 4声の3重フーガ。




これぞバッハのフーガ!

 この22番のプレリュードは、前にも書きましたが、郷愁を誘うような美しいメロディの曲でした。 フーガの方も、この第2巻の中で最も規模の大きいものと思います。 あとでも触れますが、最後の24番のフーガが結構軽い曲なので、その分この22番に重心が移っているのかも知れません。

 テーマは譜面を見てもお分かりの通り、声楽的で、堂々としていて、いかにもフーガのテーマと言った感じです。 さらに4声の3重フーガということで、まさにバッハのフーガらしい、正統的極まるフーガと言った感じです。


 
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