美術の沖山先生 3
=美人教師とメガネ中学生のお話=
待ち合わせの駅で
ナカムラ君は次の水曜日の朝、家の近くの駅から一駅ほど電車に乗り、待ち合わせの駅に行きました。
ホームに降りると、ナカムラ君と同じ中学校の制服を着た女の子がいました。

リボンの色で2年生だということがわかり、今日一緒に行くことになっている女子に間違いないかなということで、その女子のほうに少し近寄り、
「あの、シノダさんですか? 2年生の?」
「ハイ」
「あの、ナカムラです、3年の、一緒に行くことになっている・・・・ あの、沖山先生は?」
「沖山先生は、まだ来てないみたいです」
「そうですか」

長身のイケメンと
ナカムラ君は、また少し距離をとり、線路の方に向き直りました。
それから数分後、沖山先生が改札口の方から現れました。 沖山先生は一人ではなく、男性と一緒でした。
その男性については、「この人も一緒に行くことになったから」 と沖山先生はナカムラ君たちに言っただけで、それ以上の詳しいことは言いませんでした。
その男性は長身の沖山先生よりさらに長身で、今の言葉で言えばかなりの “イケメン”。
沖山先生とは、よく似合う感じでした。 その親しげな様子に、 ・・・・・きっと彼氏か、婚約者なのかな?・・・・・ ナカムラ君は思いました。

美術展の会場
ナカムラ君たち4人は電車に乗ると、特に会話もなく30分ほどで宇都宮の駅に着きました。
美術展の会場となっているデパートは、駅舎と一緒になっていて、会場はその最上階にありました。
エレベーターを降り、先生たちの後を歩いて行くと、版画のコーナーとなり、ボードや壁に非常にたくさんの版画が掛けられていました。
ナカムラ君にとって、ともかく美術展などと言うものは、はじめての経験。 目はキョロキョロするも、どこに焦点をあわせてよいやら。

教室の風景
想像以上に会場は広く、・・・・・・県の美術展って言うのは、本当に大きな催しなんだな・・・・・と思いました。
それらをゆっくりと歩きながら見てゆきましたが、・・・・・やはり入賞作品は凄いな、銀賞とか銅賞でもすごく上手だ・・・・・
金賞受賞作品は会場の奥の方にありました。
「お前の版画、あそこにあるだろ」
沖山先生が指さした方向に、ナカムラ君が描いた版画が掛けてありました。
その版画には「教室の風景」と題名が付いていました。
沖山先生が付けたのでしょう、彼は自分の版画がこのような題名になっていることを、ここで初めて知りました。
こんなところで見るなんて
ナカムラ君は自分が描いたものをこんなところで見ることが、とても不思議な感じでした。
そして、なんだか自分が描いたものではないようにも思えました。
その版画はA3よりやや大きいくらいのもので、版画としては大きめなものです。
自分で考えたように思っていたが
基本的には自画像で、中央やや右下に机に座っているナカムラ君が左を向いたように描かれ、その空いた左上のスペースには、クラス・メイト二人がお互い言葉を交わしているように描かれています。
人物や物の立体感、衣類や皮膚などの質感、人物と背景との距離感なども表現されています。
もちろんすべて沖山先生の決め細かく、適切な指導によるものです。
ナカムラ君としては題材の選択から構図など、自分で考えたように思っていましたが、実際には沖山先生の巧みな誘導によるものと言えます。
=美人教師とメガネ中学生のお話=
待ち合わせの駅で
ナカムラ君は次の水曜日の朝、家の近くの駅から一駅ほど電車に乗り、待ち合わせの駅に行きました。
ホームに降りると、ナカムラ君と同じ中学校の制服を着た女の子がいました。

リボンの色で2年生だということがわかり、今日一緒に行くことになっている女子に間違いないかなということで、その女子のほうに少し近寄り、
「あの、シノダさんですか? 2年生の?」
「ハイ」
「あの、ナカムラです、3年の、一緒に行くことになっている・・・・ あの、沖山先生は?」
「沖山先生は、まだ来てないみたいです」
「そうですか」

長身のイケメンと
ナカムラ君は、また少し距離をとり、線路の方に向き直りました。
それから数分後、沖山先生が改札口の方から現れました。 沖山先生は一人ではなく、男性と一緒でした。
その男性については、「この人も一緒に行くことになったから」 と沖山先生はナカムラ君たちに言っただけで、それ以上の詳しいことは言いませんでした。
その男性は長身の沖山先生よりさらに長身で、今の言葉で言えばかなりの “イケメン”。
沖山先生とは、よく似合う感じでした。 その親しげな様子に、 ・・・・・きっと彼氏か、婚約者なのかな?・・・・・ ナカムラ君は思いました。

美術展の会場
ナカムラ君たち4人は電車に乗ると、特に会話もなく30分ほどで宇都宮の駅に着きました。
美術展の会場となっているデパートは、駅舎と一緒になっていて、会場はその最上階にありました。
エレベーターを降り、先生たちの後を歩いて行くと、版画のコーナーとなり、ボードや壁に非常にたくさんの版画が掛けられていました。
ナカムラ君にとって、ともかく美術展などと言うものは、はじめての経験。 目はキョロキョロするも、どこに焦点をあわせてよいやら。

教室の風景
想像以上に会場は広く、・・・・・・県の美術展って言うのは、本当に大きな催しなんだな・・・・・と思いました。
それらをゆっくりと歩きながら見てゆきましたが、・・・・・やはり入賞作品は凄いな、銀賞とか銅賞でもすごく上手だ・・・・・
金賞受賞作品は会場の奥の方にありました。
「お前の版画、あそこにあるだろ」
沖山先生が指さした方向に、ナカムラ君が描いた版画が掛けてありました。
その版画には「教室の風景」と題名が付いていました。
沖山先生が付けたのでしょう、彼は自分の版画がこのような題名になっていることを、ここで初めて知りました。
こんなところで見るなんて
ナカムラ君は自分が描いたものをこんなところで見ることが、とても不思議な感じでした。
そして、なんだか自分が描いたものではないようにも思えました。
その版画はA3よりやや大きいくらいのもので、版画としては大きめなものです。
自分で考えたように思っていたが
基本的には自画像で、中央やや右下に机に座っているナカムラ君が左を向いたように描かれ、その空いた左上のスペースには、クラス・メイト二人がお互い言葉を交わしているように描かれています。
人物や物の立体感、衣類や皮膚などの質感、人物と背景との距離感なども表現されています。
もちろんすべて沖山先生の決め細かく、適切な指導によるものです。
ナカムラ君としては題材の選択から構図など、自分で考えたように思っていましたが、実際には沖山先生の巧みな誘導によるものと言えます。
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